アヴェスターにはこう書いている?
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ヤスパース 『精神病理学研究Ⅰ』

 精神的過程は有機体が身体領域に持っている同一の独特な統一を成している。つまり部分は全体によって制約され、それ自身は再び全体を制約する。どの部分も全体の変化がこの変化を伴わないならば変化しない。この論理学者が目的論的と呼んでいる統一の分析は、言うまでもなく互いに交差する種々の観点に従って生ずるが、それらは相互に関与しないのである。さしあたり無意識に用いた分析の諸観点を意識にもたらし、またいっそう厳密な区別をすることが方法論の課題である。これは心理学的な分類に対しても必要であり、その分類は種々の痴呆概念や特に軽視されるが別に検査しなければならない知能のいろいろな部分機能の基礎である。
 このような分析を行ない、類型を立てることに、特別な『方法』の本質がある。このようにしてえられるものは、事実を描写して再現するという意味で『正しい』のでなく、思考産物の体系として役に立つのみであり、一方では観察がその思考の成立に関与し、他方では個々の観察が再びその思考産物と比較される。このような分析や構成は、たとえめったに承認されないとしても、知能や痴呆に関する研究論文のなかで至る所に見いだされる。このような分析を体系的に行なうことが、すでになされている試験の単に積み重ねでなく、それらの試験の関連を示すことであるならば、完全という意味でなく、――それには非常に多くの不備な点があるだろうから――他の体系と並んで何も無関係ではないという意味で、ある体系がきわだってくるであろう。このような体系的検査は、痴呆概念の発展の独自の方法であり、そして知能検査の結果を把握する貴重な補助手段であろう。(p.279-280、本文、傍点→引用文、下線)


ヤスパースの精神病理学は、一見すると、文献学的な印象を与える。病人を観察して診断するよりも、病人の観察に基づいてかかれて記録を診断するようなところがある。そのことはヤスパースの方法論の特徴を決定づける一つの要因であるように思われる。

ヤスパースの精神病理学における方法論は、基本的にマックス・ウェーバーの理解社会学の方法論を踏襲している。「了解」と「説明」の区別などはまさにその典型だと思われるが、この引用文の箇所ではウェーバーの理念型Idealtypusをほとんどそのまま転用している。

あまりにも「そのまま」なので、「こんなのありかよ?」と思ってしまうほどだ。

また、このほかに本書から得た収穫としては、20世紀初頭の精神病理学の水準がある程度見えたことであり、また、少なくとも19世紀以来、精神病理学による精神鑑定の類は19世紀にはすでに行なわれていたこと、犯罪と法律と精神病理学とが相互に関連性があるということ、それは現代にまで続いているということなどがある、そうした意味では科学史的な観点から本書を読むことができる。
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