アヴェスターにはこう書いている?
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C.G.ユング 『元型論』
「元型――とくにアニマ概念をめぐって」 より。

 さて、宗教的なイメージは、歴史が証明しているように、暗示や情動を引き起こす最強の力をもっている。私が宗教的イメージという中には、もちろんすべての「集団表象」、すなわち宗教史に出てくるものや、またおよそ主義と名のつくものすべてが含まれている。主義というのは歴史上では宗派と言われていたものの現代的な変種にすぎない。いかなる宗教的理念も持たないという信念に忠実な人はいるかもしれない。しかし[その社会の]支配的な「集団表象」を何一つもたないことは人間でなくなることであり、そのようなことはありえない。ある人が唯物論、無神論、共産主義、社会主義、自由主義、主知主義、実存主義等々をもっていることは、まさしくその人が無害ではないことを証明するものである。彼はどのみちどこかで、公然とにせよひそかにせよ、なんらかの上位理念に取り憑かれているのである。(p.87)


ユングは心理学者だけあって、捉え方が内面的な傾きがあるが、私の考えもこれに近いところがある。

主義も宗派もある特定の思想を共有する人間のネットワークを前提するから、その意味で同列のものである。このネットワークにおいて共有されているイデオロギーが、宗教であれば教理であり、そうでなければ何らかの主義として名づけることができる。

一つの見方を言えば、今の日本ではナショナリズムとネオリベラリズムは、かなり深く浸透していると言うことができる。いずれも明文化された形では部分否定されるが、より無意識的なところでは無防備に受け入れられているところがある。明示されたときに否定されるから、それはマジョリティではないかもしれないが、これらのイズムが根深く根付いているという点ではマジョリティを形成していると見る。

さらに言えば、意識化されたところでは、これらのイズムに激しく反対している人もまた、かなりの程度、この観念を共有しており、だからこそそれに対して強く批判せざるを得ない面もあるのだろう。



「心の本質についての理論的考察」 より。

無意識によってわれわれにもたらされる元型的イメージを、われわれは元型それ自体と混同してはならない。元型的イメージはさまざまに変形されており、それ自体の具象的な形をもたない基本型から生じたものである。この基本型は一定の形式要因と一定の原理的な意味を持っているのが特徴だが、しかしそれらについてはおおよそのことが分かるにすぎない。元型それ自体は類心的な動因であり、いわば心のスペクトルの不可視の紫外線部に属している。(p.346、本文の傍点部には引用文では下線を付した。)


「元型それ自体」というのは、イデアや物自体(Ding an sich)を想起させる表現だが、心的システムの作動と深く関わるものだと捉えられる点の方が興味深い。心的システムを作動させ、それが作動することによって心的イメージが構成素として産出されると捉えれば、オートポイエーシスにも通じるように思われる。

作動のあり方を振り返ってみてみれば、それは「形式」があることになるだろうし、作動によって産出されたものを見れば、それが「内容」ということになるだろう。

ユングの理論も――もっと観察者的かと思ったがやはり臨床の場で作られてきた理論だけあってか――意外とオートポイエーシス・システム論によって解釈ができる部分はありそうだ。次の箇所も同じように捉えられる。

元型は観察したり経験したりする中ではじめて姿を現わす、つまり元型はイメージを配列することによってその存在を明かすのであるが、配列はそのつど無意識的に行なわれ、それゆえわれわれはそれをいつも後になってはじめて知ることができるのである。(p.364、本文の傍点部には引用文では下線を付した。)


元型それ自体は、元型的イメージが「配列され」た「後になってはじめて知ることができ」る。元型それ自体は、この配列する働き(作動)である、と。

こんなところだろうか。
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