アヴェスターにはこう書いている?
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春山昇華 『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』(その3)

 アメリカの不動産価格と世界経済の関係を述べるには、最初に第2次世界大戦後の「アメリカを中心として構築された世界経済の構造」を理解する必要がある。
 アメリカ以外の好景気は、常にアメリカの貿易赤字(=輸入超過、つまり日欧の輸出ブーム)のおかげであった。戦後、アメリカは市場を開放して、外国の貿易品を受け入れる自由貿易体制を採用していた。その背景には、戦後の国際社会で、アメリカが自由主義陣営の覇権を維持して、社会主義大国ソ連と対抗する必要があったからだ。覇権維持のために、アメリカは国内の消費者や企業が欲しがるものを、日本や欧州、アジアといった子分に作らせて物を買った。一方では、防衛や金融の仕組みなどを押さえ、親分(宗主国)として振舞うという主従関係を築いたのだ。
 こういう「もちつもたれつ」の主従関係は、ローマ帝国、大英帝国、そしてアメリカ帝国に共通する姿である。進んで他国の商品を輸入(=自国市場の開放)するということは、それとひきかえに何か重要なものを得るためなのだ。そこには国際政治を考える上で戦略的に重要な判断がある。戦後のアメリカは内需主導の経済政策を戦略の中心に据えたのだ。
 一方、日欧が戦後、内需中心の経済運営を経験したことは一度もない。内需主導経済を採用する政治的理由が存在しないからだ。(p.181-182)


この構造は日本やヨーロッパではアメリカと比べて「消費者が冷遇されている」ことと深く関わっている。アメリカは日本や西欧を共産化されないために経済発展させなければならず、そのためにそれらの地域に物を作らせて、それをアメリカが買うという構造にしなければならなかった。

例えば、西欧に対するマーシャル・プランはまさにそうした復興策だったし、日本についても1ドル360円という円安の固定レートに設定され続けたことは、この流れに沿ったものだった。日本が戦後の「高度経済成長」が可能だったのは、こうした世界経済の構造があったからであると理解しなければならない。

この構造が失われれば、当然、こうした構造によって支持されていた状態は維持できなくなる。それが90年代以降の経済の低迷であり世界の中でのプレゼンスの低下である。自国に有利な世界の構造を作っていかない限り、そうしたプレゼンスの向上はありえない。もっとも、私はそんな無理をする必要はないと思ってもいるが。

80年代頃からしばしばアメリカから日本に「内需拡大」をしろという命令が来ていた。90年代のバブル崩壊後は、それにしたがって日本はアメリカに630兆円の公共投資を行なうことを約束した。90年代の景気対策として行なわれた公共事業はアメリカの要求でもあったことは一応頭の片隅においてもいいと思っている。

あの時代の公共事業が内容的にあまり深く考えられたものではなく、かなり場当たり的に、しかも、中央政府が地方政府を半強制的に動員して行なわせたという性格の一部は、こうしたところに由来すると私は考えている。

なんか話がそれてしまった感じもあるが、引用文にある世界経済の構造についての理解は概ね正しく、今の日本の状況もこの構造が変わったことからかなりの程度説明できる、ということが言いたかったこと。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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【2008/02/11 20:55】 | # [ 編集]


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