FC2ブログ
アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

春山昇華 『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』(その2)

 自己資本規制と金融技術の発達によって、住宅ローン・ビジネスのルールは大きく変わってしまった。証券会社は、証券化の材料として住宅ローンをたくさん集める必要がある。住宅ローン・ブローカーは契約を取れば取るほど手数料で潤う。唯一借り手のリスクを吟味していた銀行のリスク監視のモラルは消えた――何が起こるかは誰の目にも明らかであった。契約したローンはどうせ売ってしまうのだ。
 こうして、誰でも良いから住宅ローンを契約させる仕組みができあがった。(p.70)


アメリカ国内におけるサブプライム問題の構図。



 サブプライム問題を金融界の側から見たとき、避けて通れないのが証券化という金融技術である。ここからは、証券化という手法が何を生み出し、何を失わせたのか、その背景について説明していきたい。
 最近は、あらゆるものを証券化して投資商品に仕立てるのが、証券会社の優先的な業務となっている。それほど証券化は利幅が大きいのだ。アメリカで証券化の流れを研究している人に最近会ったのだが、「将来受け取れる配当の流れが予想できるものは、何でも証券化できる。特許権、映画制作など、資金を投入して何かを作って収入が入るなら、すべて証券化が可能だ」と豪語していた。
 証券化のもたらした一番のインパクトは、所有と経営の分離である。たとえば近年注目されている不動産投資信託(リート)もそうだ。
 かつては、不動産に投資してリターンを享受するには、直接不動産を保有して経営するしか方法がなかった。不動産に投資したい人は、不動産を経営する能力がなければ不動産で儲けることはできなかった。
 だが、不動産投資信託であれば、ファンドの投資家は不動産経営をする必要がない。ファンドがプロを雇って不動産経営を任せるから、投資家は安心して不動産のリターンだけを享受できるのだ。
 また通常の不動産投資は、物件を買うために大きな金額が必要だ。しかし、不動産投資信託では、単に小さな持分権を所有するだけ。嫌になったらいつでもやめられる。つまり不動産経営と心中する必要はない。また、1口が数十万円程度と、小分けにされている分、不動産そのものよりも売買がしやすい(流動性の確保)。証券化が持ち込んだ所有と経営の分離は、資金を呼び込む打ち出の小槌だった。(p.133-134)


所有と経営の分離というのは、数年前にテレビをにぎわした言葉「物言う株主」の出現ということとも関連が深いということは想起していいだろう。そして、この所有と経営の分離は、労働分配率が低いこととも絡んでいる。

証券化の効果を、一言で言うと、「流動性を高める」に尽きるのではないか。

そして、こうして高められた流動性は、行き場のない状態になっている。流動性過剰(=金あまり)の状態である。それがバブルだ。だから、証券化が発達してきて以降、世界中のどこかにバブルが常に存在してきた。

日本のバブル崩壊はその序曲のようなものだろうし、97~98年の東南アジアに発する連鎖的な金融危機、00年のITバブル崩壊、そして、07年のサブプライムであり、次は中国が危ないとも言われている。

こうした流動性過剰の状態では、大量の流動性を保有しているアクターが有利な状況になる。流動性は国境をいとも簡単に越えるようになっているから、企業や労働者を簡単に見捨てて飛び去ることもできる。(実際には大きな企業、特にブランドになった企業を捨てるのは簡単ではないが。)弱いものほど不利になり、強いものほど有利になる状況になっている。そして、弱い者のうちでは、投資家にとって「うまみのある弱者」だけがトリクルダウン効果を享受できる。しかし、うまみがなくなれば捨てられるだけだ。

こうした過剰な流動性に対して国際的な規制をかける必要があるのではないか。そうした動きはないのか?G7やサミットなどでそうした話題が本格的に話される日はまだ来ないのか?破滅的な大恐慌が起きるか、大戦争が起きない限り、人類は反省できないのだろうか?

いや。人類というより政治や経済の指導的な立場の人間達の決断の問題だと考えるならば、彼らの置かれる状況を操作することで、彼らを動かすことができるはずである。それは何か?それが反グローバリゼーション、反新自由主義の側にとっての今後の課題であろう。

スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/277-13060b64
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)