アヴェスターにはこう書いている?
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興梠 一郎 『中国激流 13億のゆくえ』(その2)

 中央政府は、経済全体に大きな打撃を与えるバブル崩壊を警戒しているが、地方政府は投資を拡大すればGDP(国内総生産)数値が上がり、役人の昇進にもつながるため指示にしたがわない。リスクの高い過剰な投資の背景には、こうした地方政府の「政治的衝動」があるため、中央政府による完全なコントロールは難しい。
 もっとも、根底には中央政府自身が「経済成長は最大の政治任務」としてきたため、地方政府の指導者が数字合わせをするという一面もあり、その意味で政治システム全体の問題なのだ。(p.130)


政治システム全体の問題に帰するあたりはやや強引な論の進め方である。しかし、地方政府と中央政府の「利害」の相違があり、それが一つの懸念材料であるとする点は理解できる。しかし、中央政府と地方政府のこうした緊張関係は、日本にもあるしどこにでもある。制度やおかれた状況によって、その対立や緊張の現れ方は違うが。

例えば、日本の場合、90年代の財政赤字の拡大がとめられなかった大きな背景として、中央政府があまりにも簡単に地方政府を動員できる体制であるという「政治システム全体の問題」があったわけだし、小泉内閣以後、財政再建を新自由主義的な手法で行なおうとする際には、それをそのままひっくり返したやり方をしている。どちらにしても地方政府にほとんど自律性がなく、中央政府が、権限だけでなく財源を用いてコントロールできる体制が、日本のリスク要因の一つであり、見事なまでにそれが悪い方に出続けている、というのが、ここ15~20年ほどの状況である。

中国の場合、バブルは中国政府の改革開放政策と世界経済の金融グローバル化との整合性が根底にあるのだから、上記引用文のように、国内的な政治体制だけを問題視するならば、問題の捉え方として不十分であるといわざるを得ない。



 農村は人口では大半を占めるが、収入が少なく消費できない。消費レベルを示す「社会消費財小売額」に占める割合は、毎年減っている。2002年で見ると、農村は人口の61%を占めるが、同小売額では37%だ。人口の39%を占める都市は、逆に小売額の63%を占める。農村の家電普及率を見ても、都市と15年の格差がある。(p.150)



1月24日のasahi.comによると、2007年の中国の小売額総額の伸びは16.8%。投資などと比べると伸びは小さいが、それでもかなりのものだ。この内訳はどのようなものなのか、大変興味がある。

ちなみに、上記の引用文の内容から判断すると、農村の一人当たりの消費は37/61≒0.6に対して、都市の消費は63/39≒1.6という比率になるから、農村:都市≒1:2.7 くらいということになる。比較の単位は違うが、日本の都道府県別の消費税額の比率(最低の沖縄県:最高の東京都)は1:2くらいだったと思う。



 北京大学の林毅夫教授は、「地域格差は国有企業改革と関連している」と指摘する。
 東部は製造業、中部は農業、西部は天然資源である。国有企業を援助するため、政府は農産物や資源の価格を低く抑えてきた。農産物価格を抑えれば、都市部の労働者の支出は減り、企業も賃金を抑えられる。資源の価格を抑えれば、企業の生産コストは下がる。中西部の貧しい地域が、工業化のために豊かな東部を支えてきたというわけだ。(p.151)


基本的な構図が簡潔に示されている。西部大開発などで対策をしているという説もあるが、それほどの効果はない(西安などの大都市が潤うだけ)という声もある。

ただ、それほどの大都市ではないところにも、若くてもそれなりの所得を持つ人びとがいた(中国に行ったときに会った)ことから考えて、不十分ながらもそれなりの効果はあるのではないか、という気がしている。

最近半年ほど中国についてはいろいろ読んできたが、経済に関しては、まだ、あまり手がついていない。これから読めれば読みたいところだ。
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