アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

丸川知雄 『現代中国の産業 勃興する中国企業の強さと脆さ』(その2)

 さらに、技術は秘匿せず積極的に教えあうべきものという計画経済の理念、そして設計を統一しておいたほうが修理にも便利という現実的な理由から、自動車とエンジンのコピー生産が積極的に行われた。1980年代から90年代にかけて中国では計画経済体制が打破され、市場経済への転換が進むが、そうしたなかでもよい技術があればコピーしても構わないのだという計画経済時代以来の考え方は簡単には改まらなかった。(p.191-192)


中国がコピー大国だというのも、こうした過去のビジネスモデルの影響を受けている可能性もあるのかもしれない。もちろん、実利的な理由が第一だろうが。



 以上の経緯をまとめよう。中国の自動車産業は、ソ連流の垂直統合型産業としてスタートしたが、地方分権によって地方政府が自動車メーカーを設立し始めたことによって、垂直統合型の国有大メーカーと、垂直分裂型の地方小メーカーとが並存する構造になった。後者にエンジンを供給したのは、農業機械化のために全国に設立されたエンジン専業メーカーだった。地方の小自動車メーカーとエンジン専業メーカーの世界では技術のコピーが盛んである。
 こうして先進国の自動車産業の常識とはまったく異なる産業構造が中国の計画経済体制のもとで生み出された。この構造は1980年代以降の市場経済化のもとで衰退するどころか、かえって市場経済にマッチしていっそうの発展を遂げたのである。(p.192)



計画経済体制で作られた構造が、グローバル化の進む市場経済に適応しているというのは面白い。思うに、こうした独特の産業構造を持つことによってグローバル化に対してある程度の耐性を持っていることが中国の強みではないだろうか。

資本移動はある程度規制されているというのもあるが、その点を抜きにしても中国の市場に参入しようとするときに、他国とは異なる閉鎖された環境が過去にあったために、異質な世界に参入しなければならず、外国企業はそこに適応するために試行錯誤をかなりしないといけないからだ。その間に中国の企業側は学ぶべきものを学んで取り入れたり、対策を練ることもできる。

もちろん、中国の産業が活況なのは、産業構造が主な原因であるわけでなく、世界経済における位置づけとして重要な位置にあるからだ(資本移動が自由化した中で安価な大量の労働力の供給地であると同時に、将来的には世界最大の消費市場となると見込まれることなどが主な要素だろう)。産業構造はこの優位性を補助したり、妨げない要因として位置づけられると私は捉えている。




 中国企業の経験を企業戦略の形でまとめると次のようになる。第一に、積極的に他社の力を利用し、産業のなかで取りかかりやすい分野から参入する。第二に、基幹部品を他社から購入する場合でも、複数調達を行うことで特定メーカーへの依存を避け、自立性を確保する。(p.231)


本書が示すように、こうした中国企業の戦略は日本を含む他国の企業にとっても採用しうる戦略だと思われる。
スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/236-bd0c0a7e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)