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アヴェスターにはこう書いている?
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奈良行博 『五感で味わう中国大陸 道教聖地探訪の旅』

 これで昆明にある代表的な道観は全て訪問し終わったことになるのだが、振り返って総括してみると、そのどれもが真武祠と関わっていることがわかった。これは広東省や湖北省の荊州を除けば他の土地ではあまり例の見られない傾向だ。或いは、明の皇室が真武神を守り神として尊び、真武の顔や姿は実は明の初代皇帝・朱元璋そのものを生き写しにしてあるとも言われているので、真武祠を置くことはそのまま明(漢族)が支配力を固めたことの証となっていて、それが異族王朝の清を経て今に残ったと見るべきなのかもしれない。(p.87-88)


「真武の顔や姿は実は明の初代皇帝・朱元璋そのものを生き写しにしてある」というのは、大同にある雲崗石窟の曇曜五窟の大仏が、北魏の皇帝を象ったものであると言われているのと同じパターンである。宗教的な表象や宗派と政治権力との関係はヨーロッパでも見られるもので、世界中どこであってもやることは大体同じだな、という感じがする。



 さて雲南、貴州、広西の三地域はいずれも少数民族の多い土地である。その中で主たる宗教はといえば、やはり仏教が根強く浸透していて、漢族の統治権力が強まり漢族文化が流入するにつれて道教文化も花咲くようになったと思われる。その最も顕著な例が雲南の巍宝山や秀山に見られ、地域の英雄を祀る“土主廟”から始まり、仏教寺院の建立、漢族支配が強化されて漢族庶民や道士の流入が増加して道教祀廟が増えていっている。道教が教団として開拓的に道観を建てることはまれで、多くは民間祀廟や仏寺などの信仰地としてある種の“祈りの文化”が出来上がっているその弾みを利用して道教徒が活動を始めているようなのである。そして、それらの漢族文化の流入には、交易物資の流動と同じく決まったルートがあるらしく、雲南は四川省成都から、貴州は重慶(旧四川省)や湖北・湖南地域から、広西は広東から太いパイプが繋がっていて、それらには幾つかの類似点があることを指摘できる。もっとも、そのパイプは細いものが網の目のように通っているので、実際の文化流動の仕方はもっと複雑で多様である。ともあれ、中国全土を区分けして、その集合体として中国を理解すべき時代が来ているように思われる。この旅行を終えて、中国を正しく理解するためには是非とも地域研究がもっと進めなければならないという思いを強くしたのであった。(p.221-222)


ここで述べられている3つのルートは、これらの地域への文化流入の一つの理念型として利用可能だと思われる。山が多く峻厳な地形であることが、こうした複数のルートが地域外から通じるパターンを規定していると想像できる。
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