アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

関岡英之 『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』(その1)

 アメリカは、本来外交的に中立であるべき国際機関WTOへの加盟承認を政治的に利用し、あたかも自分が主宰する親睦クラブの会員審査を行うかのように振る舞っている。そしてアメリカの要求に従うか、さもなくば「国際社会」から締め出される道を選ぶのかと、れっきとした主権を持つ国々に圧力をかけているのである。(p.24)


IMFにせよ世銀にせよ国連の機関にせよ、こうした傾向は見られることだ。比較的どうでもいいところで言えば、世界遺産などの登録認定も妙に「欧米好み」のものに集中していると私は感じるが、そうした点からも国際機関というものの性格がどんなものなのか、推測されるというものだ。




「仕様規定」から「性能規定」への変更を主眼とする建築基準法の改正は、建築審議会が答申書で法改正を提言する七年も前に、日米両国の政府間ですでに合意されていたのだ。・・・(中略)・・・。そこですぐに日本経済新聞や朝日新聞の縮刷版を調べてみたが、1990年6月前後にこの村田・ヒルズ書簡のことを報道した記事を見つけることはできなかった。
 ・・・(中略)・・・。あきらかにこれはアメリカからの内政干渉だ。しかもそれが日本の審議会制度などを利用して構造的に行われていることになる。
 しかし不思議なことに、アメリカの公文書にはこのことが至極当然のことのように堂々と記録されているのだ。例えば、アメリカ通商代表部が作成した『外国貿易障壁報告書』2000年版には、日本の建築基準法の改正がアメリカ政府の要求に応じてなされたものであると、はっきりと書かれている。そして通商代表部は、この法改正が「アメリカの木材供給業者のビジネス・チャンス拡大につながった」と、自らの手柄として自画自賛しているのである。
 建築基準法の改正以外にも、たとえば、賃貸住宅市場の整備を目的とする「定期借家権制度」の導入や、中古住宅市場の活性化を目的とする「住宅性能表示制度」の導入なども、アメリカの建築資材供給業者のビジネス・チャンスを拡大することを目的とした、アメリカ政府の日本政府に対する要求によって実現したものであると堂々と宣言されている。(p.48-49)


こうしたことがどれほど積み重ねられているのかを考えると恐ろしいものがある。




 ちなみにこの通商代表部は、いちおうアメリカ政府の一部門ということになっており、トップの通商代表も大統領が任命しているが、もともと1962年にアメリカ連邦議会の提案によって作られた組織なのだ。
 アメリカの外交政策は、政府が代表する対外配慮と、議会が代表する国内利益のきわどいバランスの上で常に揺れ動いてきた。当時アメリカの行政府、なかでも国務省は外交的な気配りを優先するあまり、アメリカ国内産業の利益を犠牲にしていると、議会から不満を持たれていた。アメリカの議員にとっては行ったこともない同盟国(つまり日本)の国益より、選挙区のスポンサー企業や選挙民の声の方がはるかに重要である。そこで大統領や国務省に対するお目付役として議会が通商代表部を新設したのだ。
 通商代表部で代表補代理をつとめたグレン・S・フクシマ氏は『日米経済摩擦の政治学』(朝日新聞社)という本のなかで、通商代表部は「政府の官僚機構というよりは、法律事務所や経営コンサルタント事務所にずっとよく似ている」と書いている。言ってしまえば、官製のロビイスト軍団なのだ。しかも悪名高い通商法によって強力な権限が与えられていた。(p.56)


アメリカ通商代表部の性格はよく理解しておいたほうがよさそうだ。




 アメリカは1970年代のニクソン政権の頃から、対日貿易赤字の原因は日本側にあると非難してきた。そしてGATTの関税交渉、繊維、自動車、半導体、牛肉、オレンジなどの個別分野をターゲットとした二国間通商交渉や円高圧力等々、アメリカはさまざまな戦略を駆使して日本に挑んできたが、結局どれも対日貿易赤字を解決することはできなかった。
 その過程でアメリカは、日本の閉鎖的な市場や民間の“不公正”な取引慣行、そして経済・社会構造そのものに次第に目を向けるようになり、ついには欧米とは異質な日本独特の価値観や思考・行動様式そのものに問題がある、とまで考えるに至った。(p.60)

これこそまさに今の日本で常識化してしまった思考である。この考えを裏返したものが市場原理主義である。アメリカ政府は日本の人々に対して、彼らの考えを押し付けることに成功したのだ。

近年、小泉が首相の座を去ってから、次第に市場原理主義では立ち行かないという反省が地方から出ているが、まだ、市場原理主義への信仰は同時に存在している。これに立ち向かうには、反市場原理主義の立場からも、比較的単純でわかりやすい形で、自らの思想を定式化して訴える必要があるだろう。そのための理論が出てくる必要がある。
スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/231-1d9e14a6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)