アヴェスターにはこう書いている?
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田岡俊次 『2時間でわかる 図解 日本を囲む軍事力の構図 北朝鮮、中国、その脅威の実態。アメリカの軍事覇権の将来は?』(その1)
2003年に出た本なので、個別の情報はやや古いが、著者の考え方には共感できるものが多い。

 「北朝鮮が核弾頭をまだ保有していないとしても、通常弾頭を搭載した中距離弾道ミサイル『ノドン』が、日本の原子力発電所に落下したら大惨事になるのではないか」という声がある。しかし、その確率はきわめて低い。
 原子力発電所の中核部分、原子炉の格納容器の半径は約20メートル、ノドンの半数秘中界は半径約二キロで、その100倍。面積は半径の二乗に比例するから、原発中心部の面積はノドンの半数必中界の1万分の1になる。しかも、半数必中界とは、発射したミサイルの半分がその半径の円内に入るということだから、二万発のノドンを発射して一発が中心部に当たる確率になる。まさに“万が一”の確率だ。(p.60)



私もここで批判されているような意見を持ったことがあるし、今でもそうした懸念は消えていない。その理由を簡単に述べる。第一に、ミサイルの命中精度は上がりうるのではないかと思うこと。第二に、中心部以外でもミサイルが当たれば、原子炉が異常動作を起こす可能性はあり、原子炉の壁は衝撃や振動にも耐えるが、原子炉の機械自体は振動や衝撃に強くすることができないと聞いていること。

もう一つ、私が原発と防衛との関係で懸念するのは、ミサイル以上にテロの標的にされた場合の懸念である。アメリカの911テロは自作自演だったという説もあるが、仮にそうでないとした場合、同じような攻撃は原発に対しても不可能ではなかろう。原発に勤務している人間にそれを言ってみたら、コンクリートの壁はそれにも耐えるようにできているということだった。しかし、度重なる原発の事故を見ると、それもどこまで信じられるのか?という思いが強い。また、ここでは書かないが、もっとソフトなやり方(攻撃法)もありうると思うので、いずれにしても攻撃対象とされた場合、大きな被害を引き起こしかねない施設であると考えている。

もっとも、原発の場合は戦争より地震の方が危ないとも思っているが。




 日本のTMD(83ページ)にはいくつかの問題点がある。まず第一はコストだ。四隻のイージス艦をSM3搭載用に改造し、航空自衛隊がもっている対空ミサイル「パトリオットPAC2」を、ミサイル迎撃能力を備えた「PAC3」に援装する場合、1兆3000億円かかり、イージス艦を八隻に増やすことになると2兆3000億円かかるとされる。日本の自衛隊の装備費は陸海空合わせて年間9000億円程度なので、他の艦艇も航空機も一切購入せず、すべてをTMDに注ぎ込んで二、三年分という話になる。防衛庁の高官が、「私の家の風呂に象が入ってくるような話」と言ったことがある。五ヵ年計画だとしても、装備費の三分の一から半分をTMDに投じなければならないとなると、日本の防衛力は強化どころか大打撃を蒙ることになるだろう。TMD分の防衛費を増やせば別だが、それも財政危機の中でできそうにない。(p.82)



ミサイル防衛は金食い虫であり、ほとんど役に立たないMDに金をつぎ込むことは、純粋に財政の面から見ても、また、防衛力の面から見ても、マイナスであるように思われる。得をするのは、日本政府にミサイルを売りつけることができる日米の軍需産業(と、そこから接待してもらう防衛官僚、防衛族議員)くらいのものだろう。

そもそも、攻撃用のミサイルを改良する方が簡単なので、どんなにミサイル防衛を頑張ってみても、防ぎきれるものではないのだから、コストパフォーマンスが異常に悪いやり方である。こんな不合理なことをやっているということは、必ず何か「裏」があるということだ。




 NPTが生まれたのは冷戦たけなわの時期で、ベトナムでアメリカが苦戦し、ソ連が北ベトナムに莫大な軍事援助を行っているさなかにも、米英とソ連が核拡散防止では協力したのは、発電用原子炉は輸出したいが、他の国ぐにが核兵器をもつのは困るという双方の思惑、特に経済復興の著しい日本と西ドイツの核武装を阻止したいという狙いがあったためだった。
 NPTの順守を査察するためのIAEA(国際原子力機関)には約200人の査察官がいるが、そのうち約100人は対日査察員だ。東京・九段の事務所には約10人の査察官が常駐し、その他は必要に応じてウィーンの本部から派遣されてくる。現在ではIAEAの業務の二割以上が日本監視だ。ドイツはヨーロッパの原子力機関「ユートラム」に加盟し、その査察を受けているため、IAEAはドイツについては査察の一部だけを担当している。
 インド、パキスタン、イスラエルも核兵器を保有しているが、はじめからNPTに加わらなかった。日本が北朝鮮に続いてNPT脱退を宣言すれば、NPT体制は根底から覆る。旧ソ連の経済力は実際にはアメリカの四分の一程度、フランス並みでしかなく、技術水準もほとんどの分野でアメリカよりも低かったが、日本のGDPはアメリカの約半分であり、独・仏・英を合計した額に近い。全般的技術水準も旧ソ連より相当高いので、日本が核武装に踏み切れば、アメリカにとって旧ソ連と同様か、それ以上の軍事的ライバルの登場とみなされるだろう。
 93、94年頃、北朝鮮の核開発疑惑が出て、米国議会では北朝鮮の核施設に対する航空攻撃が論じられた。一部の政府高官を含む強硬論者は、「北朝鮮の核武装を放置すると、それを口実に日本が核武装する」と危険を訴えた。北朝鮮のような崩壊に瀕した最貧国の脅威を述べたててもアメリカ人の関心は低いが、「日本が核武装」といえば、「それは大変。北朝鮮を早めに叩くほうがましか」と思う効果を狙ったのだろう。(p.88-89)



NPTが日本や西ドイツを封じ込めるための手段だったことは銘記されるべき。

それ以上に、アメリカ(政府も一般の人々)も基本的には日本の核武装に対しては否定的であり、実際の政策から見ても、アメリカ政府に逆らいうるような手段を持つことに対して容認的な態度をとるとは考えにくい。アメリカ政府の中には、日本の軍事力を活用しようという意図はあり、その意味で日本の軍拡を支持する勢力もそれなりにいると思われるが、核武装まですることには否定的な者が多いはずである。

ついでに言っておくと、イスラエルは核を持ってもアメリカに攻撃するのは難しいが、日本の場合は隣国だというのもある。




 「憲法や法律の制約があるから、相手のミサイルへの先制攻撃もできない」と、タカ派の政治家や一部の新聞は言い、「トマホーク」の導入を求める声もあるが、実は法律や攻撃手段以前に、発射前に弾道ミサイルを発見することが技術的に不可能に近いのだ。このため防衛官僚たちはタカ派議員たちを「彼らはタカ派というよりバカ派ですな」と笑うが、正確な答弁を大臣にさせずに、適当に調子を合わして陰で嘲笑するのは責任感に欠ける。しっかり説明すれば、彼らにも国民にもわからないはずがないのだ。(p.91)



日本では軍事や防衛の議論は、何でも法律論になってしまう傾向がある。法律のレベルでの「できる・できない」の議論と技術的なレベルでの「できる・できない」の議論が混同され、整理がつかなくなると、上記引用文のようなタカ派の主張がでてくる。
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