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アヴェスターにはこう書いている?
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朝日新聞経済部 『不安大国ニッポン 格差社会の現場から』

日本は今や、世界の主要国でも所得格差が大きい国の一つになってしまった。
 それを示すデータもある。
 経済協力開発機構(OECD)によると、その国の平均的な世帯所得の半分以下しかない人の比率を示す「貧困率」(00年)は日本が15.3%。OECD諸国平均の10.2%を大きく上回り、5%前後にとどまるデンマークやスウェーデンなど北欧諸国と比べれば、3倍にのぼっている。
 ・・・(中略)・・・「経済活力を引き出すため」との理由で相続税や所得税の最高税率を大幅に引き下げるなど、政府がどちらかと言えば金持ち優遇の政策を進めてきたことも要因になっている。(p.21-22)

 日本は1400兆円の個人金融資産がある、世界で最も豊かな国の一つだ。そのすそ野でいま、貧困が広がっている。日本経済研究センターの白石小百合研究員らの調査によると、ほぼ5世帯に1世帯が貯蓄50万円未満で「無貯蓄」に近い状態に陥っている。
 個人金融資産を単純平均すれば、一人当たりの蓄えは、お年寄りから赤ちゃんまでを含めても1千万円を超す計算になる。ところが金融資産という「富」の分布は、所得の分布以上に富裕層に偏っている。白石さんらの試算では、日本の個人金融資産の半分、700兆円が上位1割の富裕世帯に集中し、その他9割の世帯で残りの半分を分け合うという構造になっていた。単純平均ではじいた「みせかけの豊かさ」では見えてこない深い亀裂が横たわっている。
 こうした富の偏在はこの10年前後で加速し、「無貯蓄」層の増加へとつながった。・・・(中略)・・・
 その懸念が現実の問題になっていることを示しているのが生活保護世帯の急増だ。・・・(中略)・・・
 全国の受給世帯の1割余りが暮らす東京都のまとめでは、この10年で、保護開始の理由が様変わりした。90年代前半に8割余りを占めていた「傷病」が約6割に減り、代わりに5%ほどだった「失業や収入減」が2割近くへと膨らんだ。受給者の年齢も、ひとり暮らしの高齢者の増加に伴い60歳以上の世帯が倍増するとともに、20~30代の若年世代の受給者が2.4倍に達した。(p.29-31)


若年層の生活保護世帯の増加は、単に所得や資産の格差だけでなく、就業機会の不平等という「機会の不平等」が増大したことを示していると思われ、興味深い。

「格差」を是認・容認する人は、大抵、現実に機会が平等であると前提するか、あるいは機会が平等でなくてもこれから平等にしていけば良いと考えて、現状を無視する傾向があるが、この現実をしっかり見据えた上で、どのように対応すべきか具体的な案がない限り、所得格差などを容認する議論をすべきではない。というのは、それはほとんど誰も望まないであろう帰結へと「現実」を誘導してしまう議論だからである。

「起業ブーム」とも言われる。だが実際には、30~40代の働き盛り世代の開業は減少傾向にある。35~44歳の自営業者の数は約80万人で、20年前の半分以下に落ち込んだ。デフレ経済下で事業リスクが高まったことが原因と見られている。(p.152)


この自営業者数の減少は、20年前には団塊の世代がこの世代に含まれたために母集団が大きいという面はあるが、2倍の差はないので減少傾向にあることは事実である。

このほか、世界最小歯車を作る中小企業社長、松浦元男氏へのインタビューは印象的なフレーズに満ちている(p.156-159)。

特に共感を覚えるのは「人の真価を理解するには1~2年かかる」という見方である。この言葉は、面接をせず、先着順で社員を採用するということへの答えだが、それだけでなく、短期的な「実績」によって業績を評価しようとする成果主義や能力主義のような考え方の誤りとも関連している。

だから、松浦氏が社員の査定もやめ、賃金は完全な年功序列制、昇給その他を平等にしたことは正しい。定年がないというのも面白い。

いずれにせよ、現在の日本で社会に流布している言説は余りに視野が短期的なものに縛り付けられすぎている。松浦氏のような長期的な視野に立ってものごとを考える必要がある
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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