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アヴェスターにはこう書いている?
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上杉隆 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(その1)

 危機意識の欠如、それはこの政権を覆う共通の空気であった。損失を最小限に食い止めるため、即座に手を打つという戦略が採用されることはまずない。誰もが早々と自分とは無関係であると結論付け、第三者の余裕で事の成り行きを見守る。成功に対しては異常なまでに執着するが、失敗が迫り来るとそろって目を瞑る。そして危機が直前まで来た時になって、ようやくその重要性に気付くのだ。もちろんその時には手遅れである。(p.94)



「成功に対しては異常なまでに執着するが、失敗が迫り来るとそろって目を瞑る」という姿勢が、安倍政権を担ったメンバーに見られる傾向だという。実は、(結論から書くと)、これは組織内(組織間)に競争原理を導入するとよく見られる現象であると思う。

もう少し詳しく、微妙に異なる光を当てながら書いてみる。

先ほど、別の本についてのエントリーで「人間は他人の行動を解釈するとき、おしなべてその根本的な性格特徴を過大評価し、状況や背景の重要性を過小評価する」傾向があるという点を引用したが、本書の上記の部分も、この傾向に沿って書かれている。

よって、以上の引用文の内容を、状況・文脈に配慮して少し捉えなおしてみよう。

メンバー個々人の個性の問題もさることながら、チーム安倍(官邸)のメンバーは従来の派閥による推薦による人事とは異なり、組織の後ろ盾がないのだから、彼ら自身の実績や安倍との関係の近さによってしか、自らの地位の安定を得られないことに着目すべきだろう。

小泉政権でも「派閥人事」はなかった(少なかった?)が、安倍政権との違いは露骨な論功行賞の有無だろう。安倍政権の場合、バックボーンとしての組織(派閥)がないだけでなく、安倍の好き嫌いで処遇が決まることがはっきりしている。だから、「チーム安倍」を含む安倍政権の要職にいた者たちは、安倍との関係に常に目を向ける必要があった。その結果、「実績」を上げる(守る)ために、「成功に対しては異常なまでに執着するが、失敗が迫り来るとそろって目を瞑る」ことになるわけだ。

このように考えると、「派閥人事」を行わずに「論功行賞人事」を行ったことが、政権運営の失敗の背景にあると言えるのではなかろうか。(これを政治の世界以外にも通じるように一般化すると最初に述べた結論になるわけである。)




世耕が本を出版したことについて次の記述はかなりウケた。

 ジャーナリストという第三者が書くからこそ、謎に満ちていた彼の評価は上がるのだ。だが、自ら2度にわたって、自身の仕事を自画自賛したことで、広報関係者の間での世耕の株価は一挙に暴落する。一夜にして「切れ者」から「愚か者」になったのだ。(p.143)



なお、「ジャーナリストという第三者が書くからこそ、謎に満ちていた彼の評価は上がるのだ」というのは、鋭い指摘だと思う。




次は、安倍政権はブッシュ政権からもあまり評価されていなかったという話。

 就任前は、前首相の小泉以上に「親米」と見られていた安倍だが、初訪米を見る限り、案外そうでもなさそうである。受け入れ側のブッシュ米政権の空気が微妙に変わる。新しい日本の政権への不信感は日に日に高まっていた。
 不信のきっかけは、就任直後の所信表明演説にあった。米政府関係者の間では次のような疑念が広まる。
 「戦後レジームからの脱却」というフレーズを最初に聞いた時はぎょっとした。それは米国を中心とする現在の国際社会への「挑戦」と受け取られかねない。本人は無意識に使っているのだろう。だが、それが文字通りならば、サンフランシスコ講和条約以降の戦後体制の否定を意味し、米国からすれば絶対に許されない話になってしまう――。
 安倍夫妻の宿泊したワシントンの迎賓館に向かうデモ隊が、小規模ながらも存在したことは、これまでの日米関係との明らかな違いを示している。それは、米政府がこの新しい日本のリーダーに大きな敬意を払っていない証左でもあった。(p.144-145)

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 安倍政権の内実を描いたと評判の『官邸崩壊』(上杉隆著/新潮社)を読んでみた。... 専門家や海外ジャーナリストのブログネットワーク【MediaSabor メディアサボール 】【2007/10/22 23:34】