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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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マルコム・グラッドウェル 『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』(その1)

 これら三つの特徴――第一は感染的ということ、第二は小さな原因が大きな結果をもたらすこと、第三は変化が徐々にではなく劇的に生じるということは、小学校での麻疹の蔓延や冬のインフルエンザの伝染の仕方と同じ原理に基づいている。この三つの特徴のうち、第三の特徴――すなわち感染の勢いはある劇的な瞬間に上昇したり下降したりすることがありうるという考え――がもっとも重要である。というのも、この第三の特徴こそが最初の二つの特徴を意味あるものにし、現代における変革がなぜこのようなかたちで生じるのか、その理解を深めてくれるものだからである。
 なんらかの感染現象において、すべてが一気に変化する劇的な瞬間を、本書ではティッピング・ポイントと呼んでいる。(p.19-20、本文ではゴシック体の部分をブログでは強調。)



これまで複雑ネットワーク研究についての本は多少読んできたが、本書はジャーナリストが書いたものであることと、理論的というよりも実践的な観点から書かれている点に特徴がある。本書が特に強調するのは――本書の原著が「ティッピング・ポイント」であることからもわかるように――上で引用したティッピング・ポイントにおいて劇的な変化が起こるという事実である。そして、そのような急激な変化が起こるために何がどのように働いているのかを明らかにしている。

邦訳書の書名からも想像できるように、マーケティングにも使えることはもちろんだが、「政治ブログ」も書いている身としては、政治ブログが有効にメッセージを伝えるための方法論としても読むことができる。少なくとも非常に参考になる内容を含んでいる。その意味で、自Endキャンペーンに参加しているブロガーのみなさんには紹介したい一冊ではある。




 わたしたちは直感的に、生活環境と社会問題は徐々に改善されたり、悪化したりすると思っている。しかし、時としてそれは予想を裏切る。ティッピング・ポイントに達すると、学校はあっというまに生徒を管理する力を失い、家庭生活は一気に崩壊することがあるのだ。(p.25)



学級崩壊などもそうした事例なのだと想起させられるが、「官邸崩壊」も似たようなもんだろう。




「毎日低価格!」などという無意味な貼り紙で消費者をだまそうとする販売戦略に一定の歯止めがかかっているのは、なぜなのか?
 その答えは、消費者の大半が価格を注意深く見ていないにもかかわらず、ごく少数の人はそれを厳正にチェックし、もし適正でないと判断すれば、それなりの行動を起こすということを、どんな店長も心得ているからである。あまりに誇大広告を出しすぎる店があれば、商事改善協会に苦情を申し立て、友人や知人にあの店では買うなと言いふらす人々がいる。こういう人が市場を公正にしているのである。この種のグループが確認されてから10年くらいの歳月がたっているが、経済学者たちはこういう人々を把握するために様々な努力を払ってきた。別名「価格自警団」とも言う。しかし、市場通(マーケット・メイヴン)という呼称の方が一般的になっている。
 ・・・(中略)・・・
 ところで、メイヴンで重要なことは、彼らが受け身の情報収集家ではないという点である。ただたんにコーヒーをどうやったら安く買えるかということに執着しているのではない。彼らを特異な存在にしているのは、どうすれば良い買い物ができるかがわかったら、それを他人に教えたがっているというところなのである。(p.87-89、本文ではゴシック体の部分をブログでは強調。)



本書では、口コミで伝染が起こる際に、コネクター、メイヴン(通人)、セールスマンという3つの種類の人が媒介するとしているのだが、これはメイヴンについて述べている箇所の一つ。

このあたりの記述を読んですぐに想起したのは、「政治ブロガー」や市民運動家の存在である。

彼らに対しては一部の人から「プロ市民」などという揶揄の言葉が作られて、そうしたレッテルが貼られることがある。しかし、ネットワーク理論に基づく本書の枠組みで見るならば、そうした「プロ市民」こそが、政治に最低限の公正さを維持させている貴重な人々だということになる。

上の引用文を言い換えてみよう。

「成長を実感に!」などという無意味な貼り紙で有権者をだまそうとする政党の広報戦略に一定の歯止めがかかっているのは、なぜなのか?
 その答えは、有権者の大半が政治を注意深く見ていないにもかかわらず、ごく少数の人はそれを厳正にチェックし、もし適正でないと判断すれば、それなりの行動を起こすということを、どんな政党幹部も心得ているからである。あまりに誇大広告を出しすぎる政党があれば、選挙管理委員会や裁判所に苦情を申し立て、友人や知人にあの政党には投票するなと言いふらす人々がいる。こういう人が政治を公正にしているのである。
 ・・・(中略)・・・
 彼らを特異な存在にしているのは、どうすれば良い(政治的)選択ができるかがわかったら、それを他人に教えたがっているというところなのである。



むしろ、上記のような活動を揶揄するような輩にこそ、問題があるといわなければなるまい。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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