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アヴェスターにはこう書いている?
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斯波義信 『東洋叢書9 中国都市史』(その1)

全体を知るという面では、都市行政史とこの都市集落史の流れをかみあわせて述べてゆかねばならないのである。(p.5)



大幅にはしょって引用したが、「中国都市史」を知る上では従来の研究にありがちだった都市行政史(公的制度とそれに関する歴史的展開)だけでは足りず、私的セクターの活動などの集落のありようについても同時に知らなければならない、といったことが書いてある。

日本で言えば、80年代頃から歴史学はアナール派などの影響のもとで社会史の研究が盛んになったが、これもある意味では政治史や経済史に対する補完的な役割というか、すべてが組み合わさらなければ、全体像が見えないという意味があったと思われる。そうした歴史研究一般の動向と並行する思想が本書にも流れている。




 唐朝300年弱の世のうち、繁栄と安定の日々はせいぜい100年たらずだった。しかし久々の統一と平和、制度の充実がさいわいして、社会経済は唐代のなかばから清代にいたる長い上昇の周期に向かった。そのいくつか考えられる駆動力のうち、筆頭にくるものは大運河効果だろう。八本の公路はおおむね河川に沿ってはいるが陸道のシステムで、飛脚と早馬の世界である。610年に完成した大運河は内陸水運時代の幕開けであった。東西方向の黄河、淮河、長江(揚子江)が今や南北につながり、華東そして淮河・長江から広東・広西以北にわたる“江南”(華東南部と江南を合わせて“東南”ともいう)が中国全土のなかでも経済効率の高い地域として浮上した。水運は陸運よりも10-20倍も安く、早く、安全で大量の輸送をもたらすからである。大運河の副産物として、それが通過する江蘇省の低地や沿海部で塩田がひらけ、これがやがて水田になり広域にわたる低地の干拓がうながされ、“東南”の物産として低地の米・塩、山地の茶・漆・藍が、華北の市場に向けて特産化した。当然に交通の要所や難所、人口の多い地域に交通業が育ち、これに同調して「客商」(遍歴商人)がその活動を広げた。唐代なかばには中国南北の人口配分が北に4.5、南に5.5になった。(p.27)



登録人口の分布は、漢のときに北方に9、南方に1の割合だったものが、後漢・三国から魏・晋・南北朝時代には北に7、南に3に変ったとされる(p.23)。これが唐代になると南方の方が人口が多い地域に変ったというわけだ。

この後、大きな流れとしてみると、都が長安から北京に移っていく。陸上交通が主体だった時代には内陸にあり、遊牧地帯と農耕地帯の中間にあった長安に地の利があった。大運河と水運の比重の大きさによって、長安の地の利は小さくなり、防衛の要望を満たしながら、南部の豊かな物資を手にすることができる北京が浮上したという流れを描くことができる。




 つぎに宗・元代の都市史において見落とせないのは、海港都市が成長をはじめたことであろう。東南海岸ぞいには漢代以来、広州が海港として知られてきたが、福建、浙江、江蘇、山東の沿海域を南北に往来する海上交通は長く不振であって、逆に内地の府州域・県城の大半が実際は内河の港市であったのと対照的であった。日本、朝鮮半島、あるいは遠く東南アジアにまでも渡る大型のジャンク船(200-500トン)が定期周航をするようになるのは、唐末からであって、広州以外に泉州、福州、温州、台州、寧波、定海県(舟山)、乍浦、かん浦鎮、青浦鎮、劉家港、上海鎮、海州、楚州、密州板橋鎮(膠州)が、宗-明代にかけてあるいは市舶務、あるいは市舶場の置かれる海港として登場したことは、画期的なことである。これは、大運河がその南端の杭州以南において山地で行く手をさえぎられ、海に向かって延伸してゆき(O.ラティモア)、これと軌を一にして海運がおこったと考えれば理解しやすい。(p.46-47)



上の引用文と繋げると概要が理解しやすい。

中国地域の中核部は、北から南へ、そして沿海部へと展開していった。
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