FC2ブログ
アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

梅森直之 編著『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』(その1)
第一部 アンダーソン講義録 より

 第二次世界大戦後のアメリカの基本的な戦略構想は、基本的にイギリス、フランス、オランダなどのヨーロッパをアジアから追い出し、それをアメリカの全般的なヘゲモニーで置き換えるというものでした。ヨーロッパのどの国をとってみても、そんな大それた目標や能力を、有したものはなかったのです。それを試みた唯一の国が日本です。日本は、1942年から1945年にかけて、徐々に東南アジア全体の軍事的な占領を行いました。しかし、それを維持する能力を持たなかったのです。
 このことが意味するのは、当時アメリカで東南アジア研究のために作られたプログラムが、アメリカの植民地、すなわちフィリピンのみを対象とするものではなかったということです。
 ・・・(中略)・・・アメリカ人の場合は、冷戦状況のなかで、これらすべてを研究しようとしたのです。このことは、東南アジア研究が、なぜ日本とアメリカにおいて先駆的に開始されたのかという理由でもあります。この二つの国のみが、この地域全体を支配下に置くという帝国主義的野心を有していたからなのです。
 学生の視点に立った場合、こうした研究形態の最大の利点は、どこか一国だけについての授業をとろうとしても、それが許されなかったということでした。すなわち、授業はつねに比較を基に行われていました。・・・(中略)・・・。アメリカの帝国主義が、われわれ全員に、比較研究者となることを強いたのです。(p.27-28)



社会の状況が学問研究の形態や対象まで規定していく。




 われわれは、「純粋な」ナショナリズムというのが、きわめてまれなものであるということを認識する必要があります。
 皆さんは、科学の元素表をご存じでしょうか。ナショナリズムは、高い結合力を持つ元素のようなものです。そしてナショナリズムは通常、左派、中道、右派といった、より政治的な外観や思想と結びついています。その理由は、ナショナリズムというものが、定義上、グローバルなコンテクストにおけるネーションについて、何も語ることができないということにあります。ネーションそれ自身については、雄弁なのですがね。グローバルなコンテクストについて話す言葉を持っていないのです。したがって、ナショナリズムは、自らを取り囲む荒々しい世界と自らを結びつけるには、何らかの補足を必要とするのです。
 十九世紀最後の四半世紀において、国際的に主要となった左翼の流派というのは、今日われわれが知っているようなコミュニズムではなく、多様な形態のアナーキズムでありました。(p.86-87)



大変興味深い指摘。

ナショナリズムはグローバルな文脈におけるネイションについて語る言葉を持たない。

確かにそうかもしれない。

そして、ナショナリズムは様々な傾向の思想と結びつきうる。興味深いのは、アンダーソンが初期グローバル化の時代とする19世紀後半には、ナショナリズムは左翼、それもアナーキズムと結びついて国際的に広まったものがかなりあるという指摘だ。

ナショナリズムというと即座に右翼と発想しがちだが、必ずしもそうではない。これは今でもそうだろう。左派的な思想の人々――ここでは個人の人権の実現と保障を重視する傾向の人々を念頭においている――であっても、ナショナリズムをある程度擁護する人は結構いる。本当に愛国的なのは「愛国心」を法律に書き込もうとしている人ではないという方向の議論などなど。

まぁ、政治の言説について言えば、右翼的な言説ではナショナリズムの言説がより前面に出がちなのは確かだろうけれども。


また、思うに、いわゆる右翼とか国家主義者、国粋主義者の論理が簡単に破綻するのは、その自己中心性の強さ(いわゆる自民族中心主義的な傾向が強く、国の名前を入れ替えたときにも常に通用するような論理を構築できずに――簡単に主張の反証事例を出されて――自爆しがちなことなど)もさることながら、彼らの言説の大部分がナショナリズムの言葉になっているために、グローバルな問題について語る言葉が乏しく、そのせいで問題をグローバルなレベルで捉えることができないところに求めることもできそうだ。
スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/196-64459b16
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)