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アヴェスターにはこう書いている?
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尾形勇、岸本美緒 編 『新版 世界各国史3 中国史』(その2)

 1274(至元11)年、クビライ政権はついに日本に向け、高麗駐留モンゴル軍と高麗の連合軍二万七000を発進させた。モンゴル側の集団戦法は個人戦闘を主とする鎌倉武士たちを圧したが、日本側も善戦した。博多湾の兵船にいったん後退したところを暴風が襲い、モンゴル・高麗連合軍は戦闘継続を無益とみて、高麗へ帰投した。日本でいう「文永の役」である。
 さらに、七年後の1281年(至元18)、第二回の日本遠征が実施され、高麗から発する東路軍四万、江南から発する江南軍一〇万という、おそらく世界史上で最大の船団が送られた。しかし、日本側は石築地などの周到な準備により上陸を許さず、海上に浮かんだ大船団は八月一日の台風によって大半を失った。いわゆる「弘安の役」である。
 第一回の日本遠征は、対南宋侵攻作戦の一環であった。モンゴルとしては、日本が南宋と連動しなければ、それで十分なのであった。二回目は事情が異なる。南宋国をほとんど無傷のまま接収したクビライ政権にとって、その戦後処理のうち頭を痛めた問題のひとつは、四〇万以上にのぼる旧南宋の職業軍人たちであった。失職したまま放置すれば、社会不安の原因となる。少しでも実戦にたえるものは西方・北方戦線や広東・広西の鎮定に振り向けた。残った老弱兵については、本人の希望によって海外派兵にあてた。江南軍10万はその最初のケースであった。彼らがおもに携えていたのは、日本入植用の農器具と種籾であった。江南軍は移民船団に近かった。東路軍が先着して戦ったのは当然であった。こちらは水手や給仕兵を考えれば、人数も内容も第一回目とほとんど変わりがない。日本軍が優勢だったのは、むしろあたりまえだったのだろう。
 第三回目の日本遠征も、幾度か企画されたが、ついに実現しなかった。その最大の原因はのちに述べるナヤンを中心とする左翼諸王たちの大反乱であった。最大のパトロンの反逆に、クビライ政権は存亡の危機にたたされ、日本遠征用の諸軍団をすべて北方戦線に投入せざるをえなかったからである。(p.237-239)



いわゆる元寇に関する部分の叙述。元という大帝国にとって日本はそれほど意味がない存在だったことが分かる。妥当である。

初回は南宋との連携を牽制できればよく、二回目は余った軍人のための入植活動にすぎなかった。重要な問題が生じたら日本などに構っていられなくなった。

 クビライの大元ウルス政権は、陳朝安南国、チャンパー、緬国(現ミャンマー)、ジャワにも数次にわたって遠征部隊を送った。しかし、陸上進攻だけでかたづいた緬国遠征のほかは、炎暑と疫病などのため、いずれも軍事上は撤退するかたちで終わった。だが、これらの遠征は、征服・支配よりも、服属や来賓をうながしたり、通商ルートを把握することを主目的としていた。実際には、遠征の企画から兵員・糧秣・武器・艦船などの準備にいたるまで、ムスリム商人団が陰に陽に介在していた。ジャワ遠征軍などは、ほとんど貿易船団に近く、こうした遠征活動そのものがムスリム商人たちにとって営利事業であった。
 モンゴル進攻を退けた東南アジア諸国からシンハラ・ドヴィーパ(現スリランカ)、インド西南端のマラバール海岸までの港湾国家も、1287年ころまでには、入貢してクビライ政権と正式の経済・政治関係を取り結んだ。日本と琉球を除くアジアの海域諸国は、モンゴルの傘のなかにはいった。これまで、この点に注意していないのは、いぶかしい。沿岸各地の主要港市には、クビライ政権側の貿易担当官も駐在し、ここにフレグ・ウルスがおさえるイランのホルムズやペルシア湾にいたる海上ルートがモンゴルの統制下にはいった。インド洋上ルートの東西通商は、モンゴルの誘導もあって非常に活発化した。内陸と海洋の両ルートがついに統合し、ユーラシアを循環する交通体系と「世界通商圏」が出現する。クビライ政権の末期には、モンゴルの勢力圏は頂点に達し、まさに陸と海の巨大帝国となった。(p.239)



日本と琉球がそのまま残されたのは、関心や活動の中心がインド洋から東南アジアにあったからだろう。ムスリム商人の活動が重要な位置を占めていることからもそれは明白である。
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