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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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陣内秀信 『イタリア 小さなまちの底力』(その2)

 そもそも、イタリアの都市社会は、セグリゲーション(隔離)をできるだけ避けようとする。どんな人間も都市の中で一緒に暮らす。これが原則なのだ。そして、1970年代以降、イタリアのよき特徴が明確な形をとてきている。
 ・・・(中略)・・・
 トリエステには、県立の大きな精神病院があったが、それを廃止した。その代わり、都市全体を七つの地区に分け、それぞれに精神衛生センターを設け、旧病院のスタッフをそっくりそこにはりつけて、まさに地域で患者を支える方式がとられているのだ。旧入院患者がまだ旧建物に残っているが、彼らも患者ではなく、オスピテ、つまりお客と呼ばれ、一般市民として扱われているというのである。精神病の人々も特別扱いされず、地域のコミュニティの中に一緒に生活する。人間一人一人の価値を重んじる素晴らしい発想だ。(p.118-119)



「問題を起こす」児童を出席停止という形で隔離しようとしたり、「政府から見たダメ教師」を排除しようとするような日本とは大違いである、と付け加えてみよう。




 これからの都市づくりには、ヴェネツィアのような、一見非機能的に見える都市のあり方をもっと研究することが必要だ。実際、イタリア各地で成功している都心の歩行者空間化にとって、ヴェネツィアが一つのモデルとなったのはいうまでもない。(p.149)



都市のあり方に限らず「一見非機能的に見える」ものについての研究は今の日本ではとりわけ重要であるように思われる。現在の日本ではネオリベラリズムが常識化してしまっている面があるが、こうした研究が後年、こうした傾向を覆す力になっていくだろう。




 そしてまた、案外知られていないナポリのもう一つの魅力が、中世にある。この町には、意外なことに本格的なゴシック建築が多い。フランスのアンジュー家が南イタリアにやってきた時に、盛期ゴシックの様式をもたらしたのだ。(p.281)



これはイタリアを旅する場合には記憶しておいて良いことだろう。




中世初期には、古代のような強大な権力もなく、後の時代のような、道を真っすぐ通す計画手法も発達していないから、地形の変化に合わせながら複雑に入り組んだ構造の町ができるのは、ごく自然だった。他所者(よそもの)の侵入から身を守り、家族や近隣の人々の落ち着いた暮らしの場を確保するのにも具合がよかったのだ。(p.293)



ローマや中国の都市の真っすぐな道や都市計画は強大な権力の存在を前提するといえる。複雑な迷宮都市の構造が「地形の変化に合わせ」てできたという発想は興味深い。今後、様々な都市を訪問する際に注意してみたいところだ。
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