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アヴェスターにはこう書いている?
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橘木俊詔、浦川邦夫 『日本の貧困研究』(その2)
所得格差の拡大について、高齢化が進んだことが原因だとする意見に対する一つの批判。

 しかしながら、高齢者世代の所得格差が、就労世代の所得格差を上回るという日本の現象は、他の先進諸国にも共通なものではない点には注意する必要がある。(p.225)



日本では、高齢者の所得保障に関する制度的な支持が弱いことが問題だということになる。




 また、所得上位10%の世帯が手にする所得と、所得下位10%の世帯が手にする所得の比率をとった90/10 decile ratio(=I90/10)が、90年代以降、じわじわと拡大している点も注目に値する。92年、95年には、4.8であったのが、98年には5.4、01年には5.7にまで上昇している。01年においては、所得下位10%に位置する世帯の等可処分所得は97万円であるのに対して、所得上位10%に位置する世帯の等可処分所得は554万円であった。これらの世帯がどちらも4人家族であったと仮定すれば、これらの世帯の可処分所得は、それぞれ、194万円、1,108万円となり、約900万円もの所得差がある。
 このような貧富の格差拡大の傾向は、とりわけ就労世代において強まっていることを図7-3によって示す。・・・(中略)・・・。したがって、全世帯で見た場合の90/10 decile ratioの上昇は、高齢者世帯の世帯に占める割合の増加だけでなく、若年層を中心とした就労世代における貧富の格差の拡大が原因となっていることがわかる。(p.235)



これも90年代以降の所得格差の拡大は高齢化ではなく、就労世代の格差拡大(本書のこれより先の議論で明らかにされるように、所得が低い層ほど所得がより低下したこと)によるものであるとする議論。




 第2に、税と社会保障による所得再分配効果に着目すれば、表7-3-Aで見られるように、税による再分配効果は元々さほど大きくはなかったが、それが今日に至って非常に小さくなっているのに対して、社会保障による再分配効果は現在では相当大きくなっていることがわかる。現在では、税と社会保障の再分配への貢献度は、圧倒的に社会保障制度の方が高いのである。表7-3-Bによると、もっとも大きな再分配効果を持つのが公的年金であり、医療の原物給付等の効果が次に続く。高齢化の進展によって、公的年金給付や医療の原物給付を受給している世帯の割合が増加していることが背景にある。一方、失業保険や生活保護は、公的年金や医療の原物給付と比べると、現状では所得格差を是正する効果は非常に小さい。
 なお、社会保険に関していえば、再分配効果の大半は給付側に依存している。拠出側(すなわち社会保険料)は、例えば国民年金保険料は定額制であるなど、逆進性を持った制度があるため、ジニ係数の改善効果は非常に小さいのである。社会保険料の逆進性についてはこれまで大きく語られてこなかったが、今後はもっと注視してよい課題である。(p.239)



いわゆる格差や貧困を語るときに、常に念頭においておくべき基本的な事項である。




なお、90年代の税率構造の変化は、高所得者だけでなく、中所得者にも相当影響があった。Ishi(2001)、石(2004)は、日本の累進税率構造において、現在給与収入を得ている納税者の約80%(給与収入で約800万円まで)が最低税率10%の所得ブラケットに位置しており、中高所得層にまで税負担の軽減が広がりすぎている点を指摘している。(p.240-241)



基本事項。




95年から98年にかけて所得格差が拡大した一因は、不況の影響をまともに受けた低所得世帯と、それほど受けなかった高所得世帯が混在していたことが、背景にあったといえる。(p.257)



この周辺の記述は重要。90年代の不況では低所得層ほど大幅な所得低下を招いていた。




 阿部の研究でもっとも興味深いのは、相対的剥奪指標がどのグループに関しても、年収が400~500万円より低くなれば急激に上昇することである。・・・(中略)・・・。日本では400~500万円程度を境にして、文化度や社会度の高い生活を送れる人と、そうでない人の二極化を生んでいるのではないか、ということがいえる。(p.295)



以上、メモする。
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