FC2ブログ
アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

岡田充 『中国と台湾 対立と共存の両岸関係』

米国と肩を並べた経済大国、日本は、1990年代初めのバブル崩壊から立ち直れず、自信喪失の中をさまよい続ける。途上国の中国が、「世界の工場」「巨大市場」として経済的にも実力をつけ始めると「脅威」に映る。自信を失った日本人の怨嗟の標的は中国に向く。一党独裁を維持し、人権や民主主義が保障されていない「遅れた国」に対する優越感と重なり合い、倒錯した中国観が一人歩きする。(p.243)

経済低迷の長いトンネルから抜け出せない日本人の、倒錯した劣等感を満足させる格好の標的が、北朝鮮のようにも見える。「ムラ意識」の国際化とでも言えばいいのだろうか。しかし国際化した「ムラ意識」は、恐ろしく「権力」に従順だ。無邪気なまでに無自覚、と言ってもよい。「権力の核心」がどこにあるのか、それが見えないのである。(p.248)



本書は2003年に出された本だが、上記の指摘は国際問題の形で表れる日本の世論の一面を鋭く突いているように思う。

例えば、ナショナリストたちはしばしば「プライド」とか「誇り」という言葉を用いるが、それは彼らが自信や誇りを持てていない(そうした感じが十分でないと感じている)ことの反映である。(自信や誇りがあるなら、殊更「プライド」や「誇り」などを持ち出すまでもないのである。)

岡田氏は「自信喪失」を問題にしているが、私はこの心理状態を次のように捉える。

すなわち、「自信」や「誇りの感覚」の単なる不足感だけでなく、これらの感覚と「将来への不安感」およびこの不安感と結びついた「現状の生活への不満」も混合されているのではないだろうか?と。

失業した人、失業した友人・親類を持つ人、正規雇用からパートや派遣社員のような立場に変った人、こうした境遇の友人・親類を持つ人…。そして、大部分の人は正社員として勤めることはできているが、給料は上がらない…。

このように、自分自身だけでなく自分の周囲に不遇な人を目にする機会が増え、さらにそれをどのようにすれば解決できるかという方針も見えないため、日本の人々は希望を持てないでいるのではないだろうか。

こうした心理状態が広く浸透するにあたっては、岡田氏の言うように90年代以降の経済の不調があったのは間違いないだろう。その意味で岡田氏の見解は妥当である。これに付け加えるとすれば、新自由主義的な解決策が主張されており、それが広く浸透してしまったため、将来的な展望は見えにくくされてしまった。この意味では経済のみならず、政治家やマスコミの非も大きいと私は考える。

それ以降の見解については、岡田氏に概ね同意している。(細部はいろいろ言うことができるが、長くなるのでここでは省く。)ただ、付け加えると、アメリカの大統領がやたらと「民主主義」を振りかざして他国に干渉していく心理とも、上の第一の引用文は関係しているのではないか、とも思っている。

さて、次に移ろう。

外交戦略を考えるうえで求められるのは、特定の二国間・二者間の枠組みの中に押し込んで捉えようとしないことである。日中関係、日台関係、そして海峡両岸関係……いずれもその当事国だけを眺めていて答えが出るようなものではない。・・・(中略)・・・偏狭な視野では表層の現象に惑わされて、結局、偏狭な政策しか生まれない。(p.252-253)


このような考え方は世界システム論などに関心を持ってきた私にとっては馴染み深いものだが、どうもマスコミの報道や「新保守主義的で右翼的な傾向の強いブログ(個人が開設している政治ブログの多くはこのカテゴリーに括られる)」などの見解を見ると、こうした初歩的なところができていないように見える。その意味では掲載しておく価値はある一文である。

私もそう遠くない未来(といっても数ヶ月というスパンではない)に、再度自分のさまざまな見解をまとめなければならないと感じている。
スポンサーサイト




テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/16-57e905f4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)