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アヴェスターにはこう書いている?
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ウィリアム・H・マクニール 『世界史』(その2)

 特徴的だったのは、重要な新製品が作られるたびに、それが他の新しい産業の創設を必要とし、あるいは可能にしたことである。例えば、自動車の発明は、タイヤの需要をよびこみ、その結果ゴム産業に大変革をもたらした。電気産業が鋼産業に与えた影響も同じである。電流用の伝導体として、銅が使われたからである。(p.485)



 第一次世界大戦後の世界について述べている箇所。ブローデルも同じような指摘をしている。この「行為の連鎖」こそ、オートポイエーシスにおけるシステムの作動であると思われる。




第一次世界大戦は日本人にとって絶好の機会となった。イギリスをはじめとする西欧諸国が戦時体制に入ったため、ヨーロッパ製品はアジアの市場からほとんど姿を消してしまった。こうして日本人は、繊維製品などの軽消費財を売りさばくためのアジア市場を手に入れたのである。戦後ヨーロッパ製品がふたたびアジアに入ってきたとき、すでに日本製品は手に入れた地盤を守れるだけの立場にあった。安い労働力と効率的な新式の機械とのおかげで、他の国々には太刀打ちできない低いコストで商品を作り出せたのである。(p.532)



 マクニールにしては珍しく経済が扱われており、世界全体の共時的な関連性にも配慮されている。明らかに世界システム論的な見方の影響を受けた新しい記述(改訂版で加筆された箇所)だと分かる。(たぶん。)

このプロセスの詳細な情報には興味があるところだ。どのようなプロセスで市場を獲得していったのか。このプロセスは、かつての日本を中国に置き換え、かつてのヨーロッパを日本に置き換えると将来、似たようなことが繰り返される可能性がある図式ではなかろうか。




 日本が軍事的征服に着手するやいなや、太平洋における日本とアメリカの利害は衝突しはじめた。日本の意図を阻むため、アメリカは石油や鉄くず(ともに日本は輸入しなくてはならなかった)などの必要物資に対する通商禁止措置をとり、そのことが日本側をアメリカ艦隊への奇襲攻撃という挙に出させるにいたった(1941年)。この作戦の目的は、奇襲によってアメリカの海軍力をしばらくのあいだ麻痺させ、その間にボルネオ、スマトラの油田をおさえて、東南アジアと太平洋南西地域にわたって経済的に自給できる「大東亜共栄圏」を建設しようというものであった。(p.536)



「経済制裁」をされて「暴挙に出た」好例であろう。その自らの失敗を今他国に対して繰り返そうとしているとすれば、愚かなことである。




 ロシアの撤退とアメリカの参戦は、時を同じくしておこった。1917年4月6日に、アメリカ議会はドイツに対して宣戦布告を行った。きっかけは海上における中立国の権利に関する論争であった。これより前、ドイツは潜水艦による対イギリス海上封鎖を宣言していたが、アメリカはこの無制限潜水艦作戦を非合法であると非難し、軍需品や物資を積んだ船舶をイギリスにむけて送りこみつづけていた。それらの輸送船がドイツ潜水艦に撃沈されるにおよんで、アメリカ世論はそれを戦争行為とみなし、全面的な参戦への声が高まったのである。ただアメリカ参戦の可否にからむこうした論争のほとんどは、煙幕にすぎなかった。アメリカが参戦するにいたった根本的な理由は、ドイツが勝った場合ヨーロッパ全土がアメリカに敵対する政府の支配下におかれるのを恐れたからであった。(p.573)



根本的な理由ではなく、より表面的な理由は、現在で言う「集団的自衛権」の議論と非常に近いものがある。日本が近い将来戦争に巻き込まれるケースとしてありそうなのは、これに近いケースであろう。こうした輸送は既にイラクで空自がやっていることではあろうが…。いかにこうした行為が、多くの人々にとっては全く不要である危険を高めるものであるかが分かる事例である。




 政権掌握後ただちにヒトラーがうちだした政策は、憲法を変え、敵対する政治指導者を排除して、独裁権を確保することであった。そのあとヒトラーはドイツをふたたび強国にのしあげるため、再軍備を宣言し、人間と機械をふたたび仕事につかせる一方で、抜け目なく、大胆な対外的駆引きにのりだした。フランスにしろ、イギリスにしろ、こうしたヒトラーの行動に効果的な抵抗を行うことはできなかった。(p.581)



どこかの誰かに似ていると思った人は私だけではないだろう。

 政権掌握後ただちに安倍晋三がうちだした政策は、憲法を変え、論功行賞の人事で内閣と党の要職を独占することで、敵対する政治指導者を排除して、(郵政解散における衆院での絶対多数という恩恵を受けつつ)独裁権を確保することであった。そのあと安倍晋三は日本をふたたび強国にのしあげるため、集団的自衛権の行使を認め、憲法を改正し、再軍備を宣言するつもりであり、人間と機械を残業代なしで仕事につかせようとしている一方で、強硬な対外的駆引きにのりだすつもりである。



みたいな感じだろうか。

とりわけ、ヒトラーと安倍晋三の共通点としては、観念的で情念的なナショナリズムや民主的な憲法(ワイマール憲法と日本国憲法)の改正を狙っていること、他人の意見を軽視して独裁的に権力を振るうこと、再軍備によって強国となることを狙っていることなどがあり、共通点は異様に多いように思われる。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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