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アヴェスターにはこう書いている?
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田岡俊次 『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(その7)

 米国は、日本に対しては中国への警戒を訴えて自国に引き付けつつ、中国に対しては日本を材料として親密になろうとする魂胆すら見える。中国の巨大市場を巡っては日米は競争関係にあるから、日中の対立は米国に有利だが、同時に米国は中国、日本双方と良好な経済関係を保つ必要がある。安全保障面でも日中が親密化することは防ぎたいが、日中が完全に対立してどちらかを選ばざるをえなくなっても困る――と考えるのは当然だ。米国では日中離間策を公然と論じる人もいれば、それはかえって損との反論も出る。秘かにささやき合うのではなく、日本人も読める雑誌などにそれが載るのがアメリカのおかしなところだ。
 日本の外務省が毎年行っているアメリカ人の対日意識の世論調査では、06年には「アメリカにとりアジア地域で最も重要なパートナーは」との問いに「日本」と答えたのは、一般市民で45%、有識者で47%、「中国」と答えた人は一般市民で33%、有識者で43%だったが、政財官、メディア、学界など有識者の間では「中国」と言う人が急増しつつある。02年には「日本」が72%、「中国」が20%と大差があったが、年々「日本」と答える人が減る一方で「中国」が増加しており、まもなく逆転されそうな気配だ。中国と同様に米国でも、指導層はすでにイデオロギー的世界観から脱却していることを示す一つの例で、日本人だけが冷戦時代の既成観念にとらわれているのはまったく愚かと考えざるをえない。(p.252-253)



前段のようなアメリカによる巧妙な「日中に対する分割統治」に対して、日本の右派はどう対応するつもりなのか是非伺いたいところである。

また、嫌中派とでも言うべき人々もネット上ではよく見かけるが、「アメリカにおけるこうした意識の変化に対してどうやって対処すべきかまともに考えたことがあるのだろうか?」と問いたくなる。

今のまま日米中の三カ国の経済関係は相互依存的で相互補完的な関係が成り立っていると思われる。その中で現状を放置しておくと一番損をするアクターは日本である。

中国はいずれ「ものづくり」の技術が発達して高度な技術にも手が届くようになると日本の役割は縮小する。日本は中国経由でアメリカの市場でものを売っているという側面があるのだから、その部分が次第に縮小し、中国とアメリカの二国間関係が次第に強化されることになろう。

また、日本とアメリカに関しては三角合併が解禁されてアメリカ企業による乗っ取りがまもなく開始されるだろう。そうなれば日本の企業は体力(財力)を奪われることになる。ますます日本企業の世界経済におけるプレゼンスは低下するだろう。

こうした動きに対抗するには、やはり日中関係の緊密さのレベルを、差し当たりは、日米関係とまではいかずとも、最低でも米中関係の親密さのレベルまで高める必要があるというのが私見である。(例えば、相対的に弱い日中政府が米国政府に対して連携して対応すればどうなるだろうか?)そこまでいけて初めて対等の駆引きに参加できる条件の一つを獲得できるだろう。

そこまで考えずに、まず「中国嫌い」という(感情的な)結論ありきの右派の言説の馬鹿さ加減を見ると、「バカ派」という言葉を拡大解釈してそちらにも適用したくなるのである。(実際、バカ派と嫌中・嫌韓の連中、さらに言えばコアな改憲派はほとんど重なっていると見てよかろう。)

ちなみに、私の立場は日本がよくなればそれで良いというものではない。世界全体としてのパワーバランスを考え、その中で特別不幸な人々が出ないようになるのが良い、というスタンスである。根本的には国境などない方が良いと考えるが、現在確立している国際秩序はすぐには変わらないので、「あらゆる変化をソフトランディングさせる方向で推移させる」のがよいというのが、理想に準ずる「次善の策」と考える者である。ハードランディングさせるのはバカでもできる。オルタナティブな可能性を示し、発信していくことが求められる。




 その中、日米の絆を強化するためとして、自衛隊のイラク派遣が行われ、04年1月から06年7月まで陸上自衛隊約600人を派遣して約743億円を費やし、航空自衛隊のC130H輸送機3機と人員約200人はなおクウェートを拠点に多国籍軍と国連のための輸送に従事している。だが、その日米関係上の効果は一般に思われるほど大きくない。感謝は口先だけで、日本が安保理常任理事国となるのに米国は中国と組んで反対した。この一因は日本がドイツ、ブラジルと協力したためで、日本に敵意はなかったとしても、韓国のように米、英に次ぐ3300人の兵力をイラクに派遣しても米国は本当に感謝した様子はない。(p.254)



イラク派兵に航空自衛隊の分を含めれば1兆円を超える税金がつぎ込まれることになるってことだろう。このことについて政府はまともな説明をしていないように思える。こうした点を突くべきというのが私見である。つまり、もっとクローズアップされてよい問題だ。

また、日米同盟の強化などと言われるが、要するにアメリカが日本の軍隊を利用できるようにするだけのことで、「同盟の強化」というのは「隷従化」とでも言うべき内容である。そのことがきちんと報道されずに言葉だけが流される報道には違和感を感じる。




 いずれにせよ、1975年に小平がジスカール・デスタン大統領に示した目論見通り、共産主義から脱却した中国は急速に興隆しつつあり、軍事力よりも経済力と外交手腕によって日本を高層ビルの日陰の商店街に似た形にしかねない。仮にそれが人口の規模からしてもやむを得ないとしても、日本が駅前通りのシャッター街になっては困る。いかにして協力関係を保ちつつ独自性と競争力を維持し、中国に伍して行くことができるかどうかが今世紀の日本の課題だろうと考える。国際政治の要諦は、敵はできる限り中立に近づけ、中立国はなるだけ味方とすることにあり、わざわざ中国を敵に仕立てるようなことは愚の骨頂ではないかと考える。(p.268)



上で簡単に私見を述べたとおり、筆者の考えには共感できるところが多い。強大化すると分かっている隣国を敵に回すのはアホとしか言いようがない。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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