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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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田岡俊次 『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(その6)

 だが、中国が初の核実験をしたのは1964年10月で、翌65年には日本に届く「東風2号A」(射程1250キロ、20キロトン弾頭)の実験をしたから、脅威は40年以上も前からある。日本はそれを承知の上で72年に中国と国交を樹立し、76年には米、露、英、仏、中に核保有を認める核不拡散条約を批准し、78年に日中平和友好条約を結んだのだから、いまになって「脅威だ」と言い立てるのは国際政治的に得策とは思えない。中国は、免許を取って以前から銃を持っているアメリカの取引先の社長に似ていて、それを知りながら長年付き合っているのに、突然、「あいつは拳銃を持っている。脅威だ」と騒げば相手はむくれるし世間からも「変な人」と思われるだけだ。(p.240)



なかなかうまいことを言うものだ。




 米中の軍事的対立関係が薄れても、もう一つの対立要因として米国の対中貿易赤字問題がある。2006年の赤字は2325億4900万ドル(約28兆円)で、前年より15.4%も拡大し全貿易赤字の30%を占めているから、米国で問題となるのが当然だ。
 ただ、中国から米国への輸出の大部分は、米国企業の中国工場や日本、EU諸国の企業が中国で作った製品だ。本質的には「米中対立」というより、中国に工場を持つ米国大企業と、それに圧迫される米国内の中小企業との間の「米米対立」の要素が大きい。
 中国で生産する米大企業やそれを扱う流通業、消費者にとっては米国ブランドの安い中国製品が米国に入ることは望ましく、一方、中小企業の経営者と従業員にとっては死活問題だから当然米国内で利害が対立し、米国が一枚岩となって中国と対立する形にはなりようがない。(p.249-250)



米中の貿易問題は、米中対立というより「米米対立」であるという指摘は重要である。ここには、かつて(19世紀から20世紀初頭に)帝国主義や資本主義などと言われた現象の問題性が表れている。冷戦構造が崩壊したことで、世界の動き方を支配するルールは、冷戦以前のものと近いものになったと私は見ているが、そのことを示している。

それはさておき、いずれにせよ、米中がそれほど強く対立する状況は当面は考えにくいと見るべきなのは確かだろう。

なお、図式的に言っても、アメリカは前のヘゲモニー国家であり、中国は次のヘゲモニー国家であるとすれば、これらの勢力はイギリスからアメリカへの覇権の移転の際と同様に繋がりを持ちながら継承されていくと考えるほうが自然である。

その際、日本の立場は不安定になっていくと考えるべきであり――当面は現状維持的であっても日本の利益にはなるだろうが――政治・外交において硬直的な姿勢を取り続け、ナショナリズムに陥ることは(感情的な排外主義を生み出すため)、自らの選択肢を狭めることであり、不利なコンジョンクチュールへの対応が困難になることを意味する。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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