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アヴェスターにはこう書いている?
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上山安敏 『ウェーバーとその社会』(その1)

 大学の拡大は大学の団体としての独立性に微妙な影響を与えた。学生聴講生の数の増大によって国家の負担する費用が増加すればするほど大学の物的施設が整備拡充され、それに伴って国家権力の大学に対する影響も財政・人事の国家による把握と管理権の強化となってあらわれる。しかも権力の側の大学の官僚制化への社会的基礎は前述のように十分にでき上っていた。そこに立ち現われたのは、ドイツの大学史上有名な「アルトホフ体制」であった。(p.22)


アルトホフ体制にもそこに至るまでの前史があったことがわかる。大学の数的な規模の拡大が、政府からの費用負担の必要性を高め、政府からの財源に依存すればするほど(もともと「組合」というような意味を持つ)大学の団体としての独立性が侵食されていったというプロセスがあり、その基礎の上だったからこそ、アルトホフ体制が可能となっていたわけだ。



その上アルトホフのやり方の最も特徴的なものは、特定の大学でなく、一般的大学目的の使用と結びついて政府が自由に処分しうる額を大量に用意したことである。その額は彼の在職中三倍になった。しかも重要なことは、その費用の中に優秀な私講師の招聘と保持並びに講義担当の委任という名目が入っていたのだ。(p.23)


私講師の招聘や保持、さらには担当する抗議まで政府が介入できるという体制には驚くほかない。戦前のドイツの大学の大きな問題点だと、私が思うのは、大学が事実上、政府の官僚組織の一部になってしまっており、大学の自治がなかった点にあると考える。どこの大学の教師を誰にするのかということまで政府の側に握られており、さらに次の世代の教授の卵である私講師までも政府が決められるというのであれば、政府に対して批判的な教師が大学で教える可能性は狭められる。批判の度合いが強ければ強いほど忌避されることとなり、結果的に政府の利益にとって都合の良い立場の人間たちが知識人としての重要な地位を独占していくことになる。ワイマール体制というものがありながら、容易にナチスの台頭を許したことの背景の一つとして、こうした大学制度に基づく、代表的知識人の右傾化・保守化傾向というものが当時のドイツの一般の言論空間に影響を与えていたことが遠因の一つになったのではないか、と思われる。

ある意味、当時の日本の「帝国大学」のシステムにも通じる部分があったのではないか。



 ウェーバーは大戦前にドイツの大学に少なからぬ点でアメリカ化が進行していることを認めるが、1900年以降大学は帝国主義段階に入って新たな再編成の時機を迎えていた。化学を筆頭にした自然科学、心理学を花形にした社会科学の研究分野では研究システムの革命が徐々に進行しており、それにともなって研究者集団の官僚制化と研究者の手段からの疎外状況が深刻な問題をはらんでいた。この研究体制は、産業化が飛躍的に進んだ段階において、財団方式=アメリカ化の問題につき当たらなければならなかったのだ。ドイツのように殆んど全面的に国家に財政を依存していた大学体制は、従来と異なって財界を含めた私的基金による財団大学と財団研究所の設立のラッシュでその様相を変えていった。財団による大学への寄金は、たんに大学の枠を超えて文部省の教育政策を匡正しかねない、深刻な政治問題に転化していったのだ。しかもこの研究体制の変化に、実はシュモラーらの講談社会主義者とウェーバーらの若い世代の間に体制原理の選択をめぐる対立があって、これが価値判断論争に流れ込んでいる。「価値自由」の草稿を生んだ価値判断討議の中に「一般的方法論的原則と大学教育の使命」がとりあげられたのもそうした意味をもっている。(p.62)


当時のドイツの「政府がコントロールできる大学」に対して、私的な資本が財団大学や財団研究所という形で「政府がコントロールできない研究機関」が設立され、競争関係に立つことになり、政府の側は懸念を強めたわけだ。

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