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アヴェスターにはこう書いている?
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田岡俊次 『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(その4)

 案の定、「お茶」だけでは済まず、2003年には弾道ミサイル防衛の導入に進み、05年には能力向上型(SM3ブロック2)の日米共同開発も決まった。共同技術研究に使った経費は156億円だったが、装備化の経費は04年度は1068億円、05年度は1198億円、06年度は1399億円と補正予算が142億円、07年度予算案は1826億円で、前年当初予算比30.5%の伸びだ。07年度までで計5790億円だ。このほか追加建造中のイージス艦2隻の建造費約3000億円(1番艦「あたご」は1496億円)も実質上はミサイル防衛経費だ。ミサイル防衛は「配備を進めながら開発をしていく」方針だから、次々に新型のミサイル、通信装備などの更新、追加が必要で、今後長期間にわたって07年度と同レベルの負担を迫られることになりそうだ。(p.98-99)



ミサイル防衛がいかに「金食い虫」であるかがよくわかる。経費ばかりかかる割に効果はほとんどないし、ミサイルを配備してもほとんどは――何事もなければ一つも!――使うことなく廃棄されるんだろうから、まさに無駄。

ここ4年ほどで1兆円も使ったことになるわけだが、今後も毎年2000億円近くかかりそうな見通しってわけだ。しかも、新型兵器が開発されるとそれだけ値段も高くなるのは軍事の常識ってもんだろう。それを考えると年2000億では済まなくなっていくだろう

北朝鮮も中国も現時点では脅威といえる戦力はないのだから、まずは国内の財政再建を優先し、「無駄な支出」をやめることを優先すべきだろう。

私は歳出削減論者ではなく、増税論者だが、だからこそ金食い虫である軍事費(防衛関係費)ごときに金をつぎ込むことには納得がいかないと思っている。




 これは純粋な法律論としては正しいだろう。相手が拳銃を向けた場合、それに至る事情にもよるが、先に発砲しても正当防衛が成り立つ場合もあるし、日本に向け核ミサイルがまさに発射されようとしている場合に、それを破壊するのは自衛権の範囲といえよう。
 だが、軍事問題は法律論ではない。日本では憲法9条と現実の差があるためか、防衛問題をもっぱら違法合法で論じるという奇癖が生じ、何かあるたびに「法の不備」を探すというメディアの手法も恒例化した。軍事問題を論じるには膨大な予備知識が必要だが、法律論は簡単なのも一因だろう。だが、勝敗に国運がかかる戦さの世界では国内の法令もさることながら、「勝算の有無」のほうがよほど大事で、「合法だからやろう」という発想は滑稽だ。企業が新規事業に乗り出すさいに、「定款にそれがあるかないか」を論じて事業の採算を考えないような形だ少し具体的に成否を考えてみれば、先制攻撃はまったくの机上の空論、「観念タカ派」の説で、仮に日本が攻撃力を持ったところで弾道ミサイルが発射される前にそれを破壊することはまず不可能なのだ。(p.101)



先制攻撃が不可能である技術的な理由については、本書の叙述に譲るので、気になる方は是非この本を読んでみてもらいたいが、軍事問題をもっぱら「合法か違法か」という基準で論じる「奇癖」が日本で生じてしまったという指摘は重要である。

この軍事問題を論じる際の法律論偏重の傾向は、タカ派的な観念論が蔓延る温床となっているとも言えるかもしれない。観念タカ派(=バカ派)と観念的平和主義は同位対立にすぎない。どちらかと言えば後者に道理はあり、両者で議論がなされれば私はそちらに加担するだろう。

しかし、観念論の同位対立からは脱却すべきである。平和主義者はリアリズムに立つと、戦争を容認してしまいそうだと警戒すると思われる。しかし、私見ではリアリズムに立てば立つほど戦争や軍事に対して批判的になる。それは政治家の活動について知れば知るほど、政治家がクリーンだとは思えなくなるのと同じではなかろうか。その意味で、ハト派的な人たちにとって、本書のような本があることは貴重だと言えよう。




本物の弾頭を積んで日本を狙うという確実な証拠なしに日本が先に攻撃すれば、相手は「通常の訓練中に突然、日本が攻撃した」と非難するだろうし、それに対して反証を挙げて諸外国を納得させるのは容易ではあるまい。
 特に相手が核ミサイルの場合には、もし先に攻撃をするなら一挙にすべてを破壊しないとかえって危険だ。(p.108)



バカ派の諸氏に対して、私はしばしば不思議に思うことがあるのだが、ここに述べられたような点を無視して先制攻撃論を支持するような論調は、まさにそうした不思議の一つである。特に、イラク戦争という悪例がありながら、こんなことにも言及しないで先制攻撃論を支持するアホの気が知れない。まさに反省的思考力がないということを示していると思われる。こうした言説は、当然、criticalであるわけもなく、私の言う「右翼的言説」と重なることになるわけだ。




 ノドンが200発でなく90発、あるいはそれ以下だとしても、そのどれが「核付き」であるかわからないから、同時に全部を叩く必要がある。こちらが攻撃すれば相手が反撃してくるのは必至だが、近年の日本での防衛論議では、攻撃は一方的にこちらがやるような発想で、その法律上(しかも国内法上)の当否を論じるものがある。日本人が60年余の平和の中で戦争を具体的に捉えにくくなり、理念で考える「平和ボケ」の標本だ。
 また、先制攻撃で相手の弾道ミサイルをすべて破壊できたとしても(実際はまず不可能)、相手がまた造って発射してくることも考えなければならない。すべてを壊したことを確認し、再生産を防ぐには、結局は北朝鮮全土を占領する以外に手はなさそうで、それを韓国が座視するはずはないから、「先制攻撃で核ミサイル攻撃を防ぐ」というのは夢物語に類する。
 かつて情緒的な観念論、現実を知らない防衛論は左派、ハト派の専売特許で、私も苦笑しながら彼らと議論したものだが、今日では右派、タカ派に同様な観念論が強いように見える。右派観念論は権力に近いだけに、うるさいだけだった左派観念論より実害がある。(p.109)



ほぼ完全に同意見である。北朝鮮が相手の場合は、資源や資金の問題もあるから、再生産される危険性はそれほど大きくないのかもしれないが、単に先制攻撃してミサイルを破壊しただけで危険が去ることはありえない。先制攻撃は、先制攻撃でミサイル破壊した後、相手に反撃する口実を与えることになるのであり、その反撃を完全に阻止することはできない。しかも、反撃という形で日本が攻撃される可能性は、先制攻撃する前よりもむしろ高まるのであり、こうなれば戦争状態といって差し支えない。

戦争は基本的には外交の失敗である。外交についてどうしていくのか全く具体的な方針も、それどころか基本となる理念さえも示されていない今の日本で、先制攻撃論や敵基地攻撃論のような観念的で攻撃的な言説が出てくることは極めて危険な傾向であるといわなければならない。

右派観念論(バカ派)が、権力に近い故に実害があるという指摘については、特に強く同意する。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この人、早めに中共か北朝鮮に亡命した方がよいと思います。
危険だわ。
【2007/05/01 10:41】 URL | ドール #HfMzn2gY [ 編集]

右翼的言説の見本
ドール氏とやらは、「具体的な反論はできない」けれども私の意見は「気に入らない」ということのようですな。コメント読者は、これが排外主義的発想であることに注意されたい。

さらに、具体的な反論ができない点は私が言うところの「右翼的言説」として認定したいと思う。削除しても良いのだが、見本として残しておく。

(ちなみに、ある言説が「右翼的言説」であるということは、その人の政治的立場が右翼であるということを意味しない。これは「言説ないし思考の様式」をカテゴライズするための用語だからである。)
【2007/05/04 15:52】 URL | Zarathustra #- [ 編集]


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