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アヴェスターにはこう書いている?
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田岡俊次 『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(その3)

 日本が加わっているのは「中間段階」と「終末段階」の迎撃で、2007年3月には終末段階用の「パトリオットPAC3」(Patriot Advanced Capability 3)が航空自衛隊入間基地の第4高射隊に配備される。また、沖縄の米空軍嘉手納基地には、米陸軍第1防空砲兵連隊第1大隊のパトリオット発射機24輌(その一部がPAC3装備)が06年10月から配備されている。
 ただし入間に入るPAC3は8発にすぎず、第4高射隊が持つパトリオットPAC2自走発射機5輌のうち2輌を改修しPAC3各4発を積む。・・・(中略)・・・。PAC3は、1発8億円もするから多くは買えないのだ。
 PAC3の射程は20キロ(あるいはそれ以下)とされ、基本的には1地点しか守れない。まず入間に置くのは米空軍横田基地の在日米軍司令部を守るため、と考えられる。07年度(08年3月まで)には関東地方の他の3個高射隊(横須賀市武山、習志野、霞ヶ浦)にもPAC3が入るが、入間を含め計8輌、32発をすべて東京の西側に並べても首都圏全域の防衛は無理で、北朝鮮がもっとも狙いそうな横田、横須賀など米軍基地と、国会議事堂や官庁の集まる都心を守ることになりそうだ。
 08年度には阪神・中京地区、09年度には北部九州(佐世保など)、10年度には青函地区(三沢など)と、それぞれに8輌32発が配備され、さらに11、12年度に定期修理などの予備用に16輌が改修される予定とみられる。計48輌、うち配置に就く32輌が射程わずか20キロかそれ以下の迎撃ミサイルを各4発積んでも隙間だらけで、日本のごく一部しか守れないのは明らかだ。(p.89-90)



PAC3は1発8億円もするのだが、これを48輌×8発買うと3,072億円である。3,000億円以上かけて、国土のごくごく一部の防衛に使うというのは、どう考えても効率的ではない。「税金の無駄遣い」という言葉があるが、これこそまさに無駄使いの最たるものではなかろうか。

また、「何を守る」ために配備しているのかにも注目して欲しい。米軍や政府の「お偉方」を守るために配備されるのである。軍隊というものは「国民」を守るものではないのだが、まさにそのことを実証しているといえる。

(軍隊が守るのはまず軍隊自身であり、可能であれば政治と経済の中枢にいる支配者たちであり、さらに可能であれば、その「おこぼれ」として「国民」が守られるという形になる。これは日本に限らず世界中の歴史を見てみればよくわかることである。

軍備拡張などについて議論するとき、この事実を見据えない観念論は、私に言わせればダメな議論である。リアリズムと呼ぶべきは、こうした冷厳な事実を見据えたもの見方のことである。改憲して軍備を整えようとする人々はむしろ観念論的であり、反戦・平和主義者の方が、そうした「リアルな現実」を見据えていることが多い。

ただ、反戦・平和主義者は、平和や生命の価値の重要性を説くだけでなく、よりプラグマティックな議論の展開が必要ではあり、そうした点で反省すべき点があるはずである。

ちなみに、沖縄の集団自決も軍隊が「国民」を守るものではないということを端的に示す事実であった。こうした事実の隠滅は許されることではなかろう。)




 また開発中の「SM3ブロック2」は、本来米国に向かう長距離ミサイルに対抗するために大型化し、高い高度での迎撃を目指すもので、北朝鮮から日本に飛来する中距離ミサイルは高度も低いから、現在の「SM3ブロック1」でも欺瞞対策さえすれば射程や速度の面では不足はない、との説も聞かれる。米本土を守るための迎撃ミサイル開発に日本が資金を出すのは変な話で、「米国に向かう弾道ミサイルを日本のイージス艦が撃破するのは、従来違憲としてきた集団的自衛権行使に当たるか否か」という憲法論議以上に現実的問題だ。防衛省では「現在の迎撃ミサイルだと日本海に2隻のイージス艦を出しておく必要があるが、射程の長い能力向上型だと1隻ですむ」などと説明している。だが大型で長射程の迎撃ミサイルの開発は米国が本土防衛のために推進していることは明らかで、防衛省の説明はそれに追随せざるをえなかったことを後付けで正当化していると言えよう。(p.93-94)



この長距離迎撃ミサイルの開発も、自衛隊が米軍の手足として利用され、そのために――アメリカのために――日本の税金が投入されることの事例の一つ。(こうした米軍の補完を示すものとしては、自衛隊の保有する艦船が米軍を補完する形で配備されていることなどが典型であり、いくらでも事例は出てくる。)

憲法改正論議も結局はここに源泉の一つがある。アメリカには日本に対する警戒がある一方で、日本を軍事的に利用しようという動きも一部に存在する。米軍の支出を少しでも減らすために日本政府(日本の税金)を利用しようという狙いがアメリカにあり、それが日本での憲法改正論議の発端を担った勢力と深く関わっている。憲法論議をする際に、この視点は欠かすことができないものである。

こうしたアメリカによる「搾取」に対しては、日本政府に税金を納めている者なら、常識的に考えれば、怒りを感じて当然だと思われる。まずはこうした事実が少しでも人目に触れることがまずは必要だと思う。

日本の腰抜けマスメディアでそれがすぐにできるとは思えないので、国会での質疑や質問主意書などで追及すべきだし、また、ネット上でならいくらでもこうしたことを書けるのだから、できることからやっていこうと思う今日この頃である。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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