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アヴェスターにはこう書いている?
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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明石順平 『アベノミクスによろしく』

日銀の金融緩和って、食欲が全然ない人の前に、思いっきり食べ物を積み上げるようなことだよね。そんなことしたって食べるわけないのに。(p.33)


マネタリーベースを増やせば、人びとにインフレ予想を起こさせ、貸し出しが増えて市中にお金が沢山出回るし、消費も伸びる、と前提されていたが、実際のデータはこのようになっていないことを示した後のコメント。「アベノミクス」で景気が良くなったかのような演出がされるが、自分の生活を顧みると全くそのように感じられないのは、実感の方が正しい(データと整合している)、というわけだ。



 (前略)ところでさあ、なんで直近2年だけ正規社員が増えているの?
 ずっと続いていた傾向が急に変わる背景には、法改正による強制力があると見るべきだね。これは正規社員の推移を男女に分けてみるとよくわかるよ。図5-10の表は、正社員減少が底打ちした2014年と、直近2016年の男女別の正規社員の増加を比較している。
 え?全然違うじゃん。男性は約20万人だけど、女性はその3倍の約60万人も増えてるね。増えた正社員の約75%を女性が占めているということか。これなんで?
 おそらく、労働契約法の改正が影響しているんじゃないかな。労働契約法の改正により、非正規でも5年を超えて雇った場合は、その社員からの申込みがあれば、正社員として雇うことが義務付けられた。
 非正規社員を雇って5年を超えたら正社員にしなければならないということか。
 そう。この法律の影響で正社員が増えたとすれば、男女差が異常に大きいのも説明できる。図5-11のグラフのとおり、非正規に占める女性の割合は約7割で、圧倒的に男性より多いからね。
 なるほどね。この法律改正が公布されたのっていつ?
 2012年の8月10日。つまり、民主党政権の時だ。だから、アベノミクスとは関係ない。(p.109-111)


安倍政権は、自身の政策の成果として求人倍率や失業率が改善したかのように言いふらしているが、それは全く成り立たない議論であることを本書は示している。その点をまとめたものは次の引用文にメモするが、上記は、正規雇用が減り非正規雇用が増える傾向が続く中、2年間だけ例外的に正規雇用が増えた時期についての説明。

この辺りは「悪夢のような民主党政権」という安倍政権による誹謗中傷も、やはり不当なものだということを示す一つのデータであると思われる。



日本は生産年齢人口(働き手)が減っていく傾向にある。
日本は、正規雇用が非正規雇用に置き換えられることにより、雇用をたくさん必要とする雇用構造に変化している。
高齢化の影響で、医療・福祉分野の需要が伸びている。

  以上の3つが重なって、人手不足の状態となり、有効求人倍率や失業率が改善していく。これらはアベノミクスが引き起こした円安とはまったく関係ない。
 だから、アベノミクスの前後で有効求人倍率や失業率のグラフの傾きが全然変わらないということなんだね。

……(中略)……。
モ そう。いろんな数字が「アベノミクスで良くなった」と言われているけど、鵜呑みにしてはいけない。アベノミクス前後で傾向に変化があったのかどうかを見極めなくてはならない。多くの場合、アベノミクスの前から改善傾向が続いている数字について、アベノミクスの「成果」とされてしまっている。(p.112-114)


①については、団塊世代が2007年頃、60歳になり定年退職を迎えたことの影響は無視すべきではないと考える。退職後もすぐに年金が出ないため、65歳まで多くの人が働くとすると、その時期がちょうど2012年であり、安倍政権が成立する時期に当たることは、この政権にとって極めて幸運な(日本に暮らす人々にとっては不運な!)結果となっている。



 まとめると、日銀(量的金融緩和・ETF購入)とGPIF(年金)のおかげで株価が維持されているということか。これ全部やめたらどうなるんだろ?
 大暴落するんじゃないかな。それがわかっているから、やめられない。でも、さすがにいつまでも続けることはできないだろう。
 大暴落したら年金吹っ飛んじゃうじゃん。
 そうだね。GPIFは2016年度に関しては7.9兆円という大きな利益を出した。だけど、そうやって短期的に利益を出した事実は、長い目で見た場合、重視すべきではない。まず、大きな利益を出したといっても、それは「含み益」であるという点が重要だ。……(中略)……。
 利益を出したといってもしょせん仮定の利益に過ぎないし、そのまま株を持っていても、やがて暴落して大きく損失を被ることが待っているということか。そう考えると確かに意味ないね。それ、結局ほぼ間違いなく年金吹っ飛ぶってことじゃん。(p.136-137)


年金などを株価の下支えに利用している点は、私も以前から苦々しく思っていたが、安倍政権に一貫しているのは、自身が権力を握っている間にだけ都合がよければよく、それ以後のことなど何も考えていない(むしろ、あとの時代を混乱させることで、自身の政権がよかったかのような誤解を広げようとしている)、という振る舞いである。このような権力者側の欺瞞的な態度に対して日本の社会全体として拒否反応があまりに小さいことに問題を感じる。



そして、はっきり言えるのは、円安も円高も行き過ぎると害があるから、ちょうど良いところでバランスを取らないといけない。だが、アベノミクスは明らかに行き過ぎた円安を引き起こし、賃金上昇を伴わない悪性インフレを招いて国内需要を冷え込ませ、経済を停滞させたと言えるだろうね。(p.145)


本書が出たのは2017年10月であり、2018年末頃に問題となった統計不正問題が問題化される前のことである。統計不正問題に対する野党の追及の中で、実質賃金の補正した値について安倍政権は実質賃金の数字は当面出さない対応としたが、これは政権に都合の悪い数字だからであろう。この疑惑を払拭する責任(これが説明責任である)は政府にある。すなわち、政府が疑惑を払拭できない限り――これとは別の解釈が可能であり、その解釈の蓋然性が高いと専門家を含めた大多数の人が思えるだけの具体的な事実を政府側が示さない限り――、そうであることを前提として政府の政策を評価すべきである。



ブラック企業は違法なサービス残業をさせて賃金をごまかしているけど、これは経営者が労働者から賃金を盗んでいるのと同じだからね。(p.166)


サービス残業とはこのようなものであるという認識は重要。




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