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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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梶谷懐、高口康太 『幸福な監視国家・中国』

 話を戻すと、勘のよい読者であればおわかりのように、筆者らは人々のより幸福な状態を求める欲望が、結果として監視と管理を強める方向に働いているという点では、現代中国で生じている現象と先進国で生じている現象、さらには『すばらしい新世界』のようなSF作品が暗示する未来像の間に本質的な違いはないと考えています。(p.28)


ここで述べられているのは、本書に通底する一貫した考え方だが、現代中国をいわゆる「先進国」と異質な世界として捉えるのではなく、地続きの世界の中で同じ方向に向かいつつある社会として捉えるという見方は、日本から中国を見る際には重要な留意点であると思われる。(もちろん、異質な部分もないとは言えないが、異質なだけの社会として思い描くと大きな誤りを犯すことになる。)

その際、監視社会化の関連では、個人が自らの幸福(効用)を追求しようとするという功利主義的な考え方が、むしろ全体の厚生を下げる結果をもたらすという指摘がされており、これもまた重要な論点であると思われる。このように考えると、中国がなぜ他の社会よりも早く監視社会化が進んでいるのかということもクリアに理解できるように思われる。



官僚主義の代表的な弊害である縦割り行政を、制度改革ではなく電子化によって乗り越えようというのが「現代中国」らしいやり方です。(p.61)


行政の手続きを利用する際に、かつては様々な役所を決まった順番で回らなければならず、日数や労力が必要だったが、スマホアプリだけで様々な手続きができるようになっていることなどについてのコメント。制度改革をせずに対応するという部分は確かに、権威主義的な国に相応しいように思う。



 ここには独裁政権ならではの逆説があります。独裁国家は民主主義国家ではありませんが、それでも民意を無視できるわけではありません。むしろ、選挙で正当性を担保されていない分、民主主義国以上に世論に敏感という側面があります。究極的には暴力的な弾圧を行う力と選択肢を持っていたとしても、民衆は独裁政権を支持しているという建て前を可能な限り守る必要があるのです。(p.126)


中国の政府(というより共産党)が情報統制や監視をしようとするのは、こうした敏感さの故である。実際には正当性がないからこそ、民衆を恐れなければならず、民衆を恐れるからこそ情報や言論を統制し、批判が起きないようにしなければならない。選挙で選ばれたとしても、やろうとしていることを正直に国民に伝えていないような政府(安倍政権がまさにそれである)も、同じことが当てはまるということは指摘しておきたい。



 そこで注意しなければならないのは、このような経済面での「平等化」と、トクヴィルの強調した政治的権利の「平等化」とでは、特に権力との関係において反対方向のベクトルが働くという点です。
 そのため端的に言えば、中国社会においては往々にして、前者の「政治的権利の平等」を要求する立場(リベラリズム)が、後者の「経済的平等化」を要求する声にかき消されるか、あるいは政権によってあからさまな弾圧が加えられる、という状況が生じてきました。
 経済面での「平等化」、すなわち再分配を行うには大きな国家権力による介入を必要とします。したがって、経済面における「平等化」の要求は、国家権力を制限するのではなく、むしろパターナリズムを容認し、強化させるように働きがちです。上述のように「群体性事件」と呼ばれる直接的なデモ行動や陳情行為が、しばしばより高い政治的地位にある「慈悲深い指導者へのお願い」の形をとるのはその象徴です。(p.164-165)


経済的平等化は国家権力によるパターナリズムを強化する傾向があるという指摘は確かにそうかもしれない。

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