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アヴェスターにはこう書いている?
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田岡俊次 『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(その1)

 私のように長く軍事問題を考えてきた者にとって、冷戦が終了し、本物だったソ連の脅威が消えた今になって軍事論議が活発になったことは皮肉、と半ば思いつつ、「関心がないよりましか」と考えるのだが、軍事常識に乏しい人々が時流に乗って非合理なほど「タカ派」的な説を弄ぶ風潮には危惧を感じざるをえない。98年に北朝鮮の「テポドン」が東北地方の上空を飛んで三陸沖に落下した際、一部の野党国会議員が防衛庁の役人を呼んで「自衛隊は報復攻撃をすべきだ」と迫り「報復とおっしゃるが、宇宙を飛んで公海に落下し日本に被害は出ていません。弾頭ではなくテレメーター(飛行状況の送信機)を積んでいました」と説明すると、「君たちがそんな甘いことを言うからなめられるんだ」と怒鳴りつけ、このあと防衛庁で「タカ派というよりバカ派との言い方が流行した。それから8年余たった2007年、「バカ派症候群」の感染者が続出している。後の詳述するが、その数例を挙げておこう。

①北朝鮮の実戦用ミサイルは、移動発射機に搭載され、山地のトンネルに隠されている。詳しい位置は不明だ。偵察衛星は一日1回、北朝鮮あるいはその付近の上空を時速2万9000キロ程度で通過するから、一地点を撮影可能なのはせいぜい1,2分であることを知らず、常時監視ができるように思って、「発射しそうなら先に攻撃せよ」と主張する

米国の強い要請で、日本が核不拡散条約(NPT)に加わり、その無期限条約化も呑んだこと、NPTからの脱退は日米対決を意味することを忘れて、核武装を主張する。

北朝鮮への禁輸に当たって、米国はPSI(拡散に対する安全保障構想)の原則によると言っており、これによれば公海上の船舶検査は船の旗国(船籍を置く国)の承認を得て行うことになっているのに、「米海軍が北朝鮮船舶を停船させて乗り込もうとし、反撃を受けて戦端が開かれる」という幻想を抱いて、その際の対米協力を論じる

④台湾住民の85%余が現状維持派であり、米国は台湾独立へのいささかの動きも強圧的に抑え込む。台湾の経済人も軍の将校も大半が独立反対で、独立はまず考えられない状況なのに、「台湾が独立しようとして中国が侵攻。ついでに沖縄の島を占領する」という無理な想定を描き、日米共同で中国と戦う集団的自衛を論じる

⑤中国が資本主義を採用して急速に発展し、巨額の米国債を保有して米財政を支え、証券取引所を設け、憲法を改正して「私有財産の保護」を謳っていることや、共産党が経営者の加入を求めて商工会議所化しているなどの根本的変化を無視して、「共産党独裁国家」と言う。これは日本に憲法9条があることを根拠に、「日本は非武装国家」と言うに等しい。中国は世界最大の外貨保有高1兆700億ドルの2~3割(25~38兆円)を海外、国内で運用する国有投資会社を作るといわれており、「国家資本主義」という非難なら当たる部分があるだろう。

バカ派”の基本的誤りは、1989年11月のベルリンの壁の崩壊で冷戦が終了し、世界はイデオロギー対立から脱却し、各国の利益追求の時代に戻ったことから目を背けていることだろう。(p.19-21)



以上は、本書の「序章に代えて」という部分の一部である。何より「バカ派」という言葉があまりにも適切すぎて私のツボにはまった。たまたま本屋で手にとって、この「バカ派」という言葉を見たとき、即座に購入を決定した。

上記引用部分は「バカ派」の言説がいかなるものであるかをあまりにもよく示しているので、今後も利用する価値があるだろうと思い、ここに掲載しておく。

「タカ派」ないし保守・右翼(右派)などと言われる政治家や右派の政治ブログにおける外交や軍事に関する言説の大部分は、「バカ派」の言説であると見てほぼ間違いない。これは私が定義する「右翼的言説」とも通じている。いずれもcriticalでない。

上記引用文に関するコメントは、後にウェブサイトに書評を書こうと思っているので、それまで保留しておくことにする。
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