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アヴェスターにはこう書いている?
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菊池一隆 『日本軍ゲリラ 台湾高砂義勇隊 台湾原住民の太平洋戦争』

 実際のところ、台湾原住民の高砂義勇隊参加は、自ら志願したものだったのか、それとも強制だったのか。これは複雑な問題である。
 2006年8月13日に筆者が各板山タイヤル族のポート・タンガ(中国名は林昭光)にインタビューした際、彼は、志願は強制ではなく、部族として自ら積極的かつ主体的に決定したものだと強調した。タイヤル族では、頭目が「太陽あって水あれば」と言いだした時、すべてが決定されるという。「太陽」と「水」とは「人間の生命」を意味し、この言葉によって部族が一つに団結した。高砂義勇隊を結成した時もそうであった。
 ――あの時もタイヤル族の頭目が「太陽あって水あれば」と言った。だから、タイヤル族は一致団結して高砂義勇隊に志願した。日本によって強制されたものでは決してない。自ら志願したのだ。中国大陸の連中や国共内戦に敗れた蒋介石・国民党とともにやって来た外省人は「強制された」と言っているが、それは間違いだ。
 このように頭目の役割は大きく、原住民を円滑に一つにまとめあげたのは頭目だと言っているのである。しかし前述したように「警察には逆らえなかった」という証言もある。この双方の事例から考察するに、警察による「志願」を名目とする強制はあったが、それを円滑に進めるには各頭目の同意と協力が不可欠だったということであろう。ただしポート・タンガ自身も、「時期によって異なる。後には強制的なものに変わっていった」と付け加えている。(p.54-55)


台湾原住民が高砂義勇隊などに参加していくのが強制だったのか自らの志願だったのか?この問題については、志願を強制する力が働いていたであろうとは思っていたが、この叙述によってかなり具体的にイメージできるようになった。



台湾原住民が高砂義勇隊に積極的に志願した動機の一つは、差別解消にあった。(p.55)


このことについては、本書では何度も繰り返し述べられるが、確かに極めて重要なポイントである。



 当時、台湾総督府理蕃課では、東南アジアの日本軍占領地への高砂族移住を検討し、軍当局に了解を求めようとしていた。これは、明治時代に北海道、樺太に布かれた屯田兵制度とほぼ同様な形態で、熱帯に抵抗力が強く、豊富な経験を持つ高砂族青年(家族を含む)約1万人を選抜して、農作物栽培に従事せしめ、かつ有事の場合は銃をもとらせる、将来は彼らを南方に永住させる、とする。台湾原住民に、農業生産とともに、日本軍による南洋支配の先兵としての役割をp担わせようと計画していたといえよう。(p.83)


北海道の屯田兵たちがかなり悲惨な経験をした者が多かったことを考えると、また、満州に満蒙開拓団のような形で行った者たちのことなども考えると、まともに実施されなくてよかったと言えよう。同じようなことが繰り返されるということは、支配者側にとってみれば、それなりにうまくいったと認識されているということなのだろうか?



 ここで看過できないのが、夫、婚約者、恋人が南洋戦場で命を賭けて戦っていた時、残された女たちの一部が近隣に駐屯していた台湾守備隊の慰安婦にされていたという事実である。……(中略)……。
 ……(中略)……。
 これを調査した柳本通彦が、「なぜ慰安婦のような仕事をしたのか」と問うと、彼女らは「あの時は総動員でしょう?」と答えたという。学校に通っていた時、日本人教師から「女も総動員」と教えられたという。こうして、原住民は老若男女が日本の「聖戦」に総動員された。柳本は、台湾女性の慰安婦化は44年末、一連の「先住民女性調達計画が台湾島内で実施」され、行政(総督府)・軍・警察が三位一体となって進めた「秘密計画」であると断言する。(p.88-93)


このような政策を実施する政府や軍はクズだと言わざるを得ない。



 日本敗戦時に集団自決を含めて、日本兵と高砂義勇隊員との行動形態に違いがあったことが分かる。台湾原住民は「日本人・日本兵」になりきっていたとはいうものの、最後の状況での対処法は異なっていた。「日本人であること」から解放されて、本来の台湾原住民の姿に戻ったともいえそうだ。(p.179)


これは興味深い指摘。



 元高砂義勇隊員などの一部が、今度は国民政府軍の一員として中国共産党軍(以下、中共軍)と戦わざるを得なくなるという事態が起こった。この事実は見逃すことのできない重要問題である。
 ……(中略)……。ごく少数の技術陣を除けば、絶対多数は脅迫、強制によって、あるいは騙して、連れていかれた者である。なぜなら228事件(台湾を日本植民地から解放したはずの蒋介石・国民政府が強制的支配をしようとし、それに反発した台湾民衆が、47年2月、台湾全土で反抗した。国民政府はそれを徹底的に鎮圧、数万人の台湾民衆が殺害されたという大事件)後、台湾民衆は蒋介石・国民政府を信用しておらず、入隊を願う者はいなかったからである。(p.191-192)

差別される側、支配される側、数が少なく弱い立場に置かれる側、こういったものとして台湾原住民は扱われ続けたことが見て取れる。その上、戦闘能力にも長けていたのでなおさら便利に「使われた」ということか。

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