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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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ホブスン 『帝国主義論』(その3)

 軍備のみが平和に対する最良の保障をなすという、「若し汝が平和を欲するなら戦に備えよ」流の議論は、この恐ろしい犠牲を払うことを要請される諸国民の間に、真実の利益の正真正銘な永続的敵対が存在するという仮定に基づくものである。
 我々の経済的分析はすでに次の事実を明らかにした。即ち敵対的なのは互いに競争する実業家の仲間――投資家、請負業者、輸出品製造業者、及びある種の自由職業階級――の利害関係だけであり、これらの仲間が国民の権力と声とを横奪して、彼らの私的利益を追求するために公共の資源を利用し、現実には何の根拠ももたない国民的敵対を装って、この大規模且つ破壊的な軍事上の勝負事に国民の血と金とを費やすのである。ロシアが朝鮮を獲得することをば日本と提携して妨害するために、ロシア及びフランスとの戦争の危険を冒すことは、富の生産者としても納税者としてもイギリス国民の利益にはならない。しかしこの危険な政策を促進することは、一団の商業的政治家達の利益には役立つであろう。金銭投機者がその私的な目的のために公然と挑発した南ア戦争は、かかる国家主義の横奪の著しい例として歴史に残るだろう。
 戦争は、しかしながら、この政策の成功をではなく、失敗を示すものである。この政策の正常的な且つ最も危険な果実は、戦争ではなくて、軍国主義である。領土及び外国市場を得るためのこの競争的拡張が「国策」として自らを主張する誤りが許される限り、利害の敵対は本当のようにみえ、国民は益々費用のかさむ戦争の機構を維持するために汗と血を流して辛苦しなければならない。(下巻p.23-24)



「備えあれば憂いなし」とコイズミがよく言っていたが、まさにそれこそ帝国主義の論理なのである。そして、それはホブスンに言わせれば、ありもしない利害対立を煽るものであり、国民の声を横奪するものである。

炯眼なのは、戦争はその政策の失敗を意味するという指摘であり、また、その最も危険な果実は戦争ではなく「軍国主義」であるとしている点である。軍国主義は、単発の衝突(戦争)ではなく、継続的・持続的に戦争を惹き起こしてしまうものであり、目を覚まさせることは困難な病だからである。

極右政治家である安倍晋三が首相となるほどまでに右傾化した日本の世論は、すでにかなりの程度、軍国主義化してきていると見て良いであろう。




終局を思い見よ。善良な市民の活動と兵士のそれとの間には絶対的な対立が存在する。兵士の目的は、往々誤り伝えられているように国のために死ぬことではない。それは国のために殺すことである。(下巻p.31、訳文の傍点は下線に変換)



先日、埼玉県知事が自衛隊は人を殺すための訓練をしているという趣旨の発言をしたが、実はそれは不謹慎でもなんでもなく、ありのままの事実を語ったにすぎない。私に言わせれば問題なのは、それをもって自衛隊を「ほめ称えなくてはいけない」と言ったことにある。

防衛力は必要悪だとしても、倫理的に見ればほめられたこととはいえないのである。
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