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アヴェスターにはこう書いている?
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國分功一郎 『100分で名著 スピノザ エチカ』

 「ベントー」はポルトガル語の名前です。スピノザの祖先はスペイン系のユダヤ人で、15世紀の終わり、スペインでユダヤ人への迫害が強くなった際に一家で隣国ポルトガルに逃れています。貿易商だった父はポルトガルの生まれです。しかしポルトガルでも迫害は厳しくなり、一家はフランスを経由してオランダのアムステルダムに移住することになります。スピノザは、1632年11月、この街のユダヤ人居住区に誕生しました。
 彼の肖像画を見ると、髪は黒く縮れ、瞳も黒く、肌の色も浅黒くて、イベリア半島の出身を窺わせます。(p.9)


なるほど。



 エチカの語源はギリシア語の「エートス ethos」なのですが、ここまで遡るとおもしろいことが分かります。エートスは、慣れ親しんだ場所とか、動物の巣や住処を意味します。そこから転じて、人間が住む場所の習俗や習慣を表すようになり、さらには私たちがその場所に住むに当たってルールとすべき価値の基準を意味するようになりました。つまり倫理という言葉の根源には、自分がいまいる場所でどのように住み、どのように生きていくかという問いがあるわけです。(p.24-25)


エチカはその語源からしても「上から押し付ける道徳」にはなじみにくいわけだ。

話は変わるが、「エートス」というと、ウェーバーの資本主義の「精神」が想起される。ウェーバーの場合、この語は、ある種の「心理的起動力」として規定されていたが、外側から強制されるのではなく、内側から湧き出てくるイメージは、語源とも共通するところはありそうである。



 おそらく優れた教育者や指導者というのは、生徒や選手のエイドスに基づいて内容を押しつけるのではなくて、生徒や選手自身に自分のコナトゥスのあり方を理解させるような教育や指導ができる人なのだと思います。そう考えると、古典芸能などでいう「型」というのは、その型を経ることで自分の力の性質を知ることができる、そのようなものなのかもしれません。(p.51)


型を経ることで自分の力の性質を知ることができる、というのは、なるほどと思わされた。

スピノザが力(コナトゥス)に着目するところでは、オートポイエーシスの「作動」と共通するものを捉えているときがあるように思い、興味深い。



 スピノザは確かに契約説の立場を取っていますが、一度きりの契約という考え方をしません。毎日、他人に害を及ぼすことがないよう、他人の権利を尊重しながら生活すること、それこそが契約だというのです。(p.64)


スピノザの契約説の考え方は、もう少し詳しく知りたくなった。通常の社会契約説よりも妥当な考え方であるように思われる。

ただ、毎回毎回契約し直す、更新・確認され続けるということになると、契約という言葉との相性はやや悪くなり、一般に受け入れられやすくはないのではないか、とは思う。同じことを何か別の原理によって説明する方がより適切に表現できるのではないかという気がする。



 自分を知ることは自分に何らかの変化をもたらします。つまり、何かを認識すること、真理を獲得することは、認識する主体そのものに変化をもたらすのです。私たちは物を認識することによって、単にその物についての知識を得るだけでなく、自分の力をも認識し、それによって変化していく。真理は単なる認識の対象ではありません。スピノザにおいて、真理の獲得は一つの体験として捉えられているわけです。(p.105)


この辺りもオートポイエーシスと通じるものがあるのではないか。スピノザの書き方は幾分、反省的ではあるが、そこで言い表そうとしていることは反省的に記述されたものではなく、作動の局面にあるものを捉え、それを言い表そうとしているのではないかと思えるときがしばしばある。ここで説明されていることも、こうしたものの一つであると思われる。

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