FC2ブログ
アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

筒井清忠 『戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道』

 この経緯から、余裕があればむやみに天皇シンボルを濫用するわけでもないことがわかる。天皇型ポピュリズムに走るのは政治的に苦しい立場に立たされたときなのである(もしこのときも「大権干犯」論を持ち出せば、「俸給権干犯」論となったのであろうか)。(p.112)


天皇型かどうかにかかわらず、ポピュリズムに走るときというのは、支配や統治を行う側に対してそれに直接は深くコミットできない一般の人々が不満を持っているときなのだが、政府の側がそれに走るときというのは、他の手段が有効だと思えないときに使われるのではないかと思われる。

その意味で、ポピュリズムは「逃げ」の選択肢であり、否定的なものでしかなく、積極的に何かを作り上げていくことには結びつかないものと考えるべきではないか。



世論工作の失敗が、対米七割を達成できずワシントン会議が失敗に終わった原因と考えた海軍は、ロンドン会議に向けてその挽回を期していた。
 具体的には、新聞との意思疎通に失敗したと考えていた海軍は、ロンドン会議が始まる前に緒方竹虎ら新聞社の代表と会合を持つことにした。(p.123)


この戦前の海軍の動きは安倍政権の動きと重なる。安倍内閣はある意味では戦前の海軍と同じことをしている。

マスメディアを権力側に引きつけて世論を操作する。安倍政権の場合、このようにすることで、「妥当でない政策」を実行可能とするために「妥当ではない世論」を作り出している。「妥当な政策」であればメディアを支配下におかなくても何ら困ることはない。自らのやろうとしていることが「妥当でない」ことが分かっているから安倍政権はメディアをコントロールし、情報を隠蔽し、説明逃れを続け、文書を改ざんし、言い換えによって物事を人々に把握できなくさせている。この点を見落としてはならない。



 村田が警察部長として赴任してみると、大分県には警察の駐在所が政友会系・民政党系と二つあった。政権が変わるたびに片方を閉じ、もう片方を開けて使用するという。結婚、医者、旅館、料亭なども政友会系・民政党系と二つに分かれていた。例えば、遠くても自党に近い医者に行くのである。結婚などは私行上のことなのでともかくとしても、土木工事・道路などの公共事業も知事が政友会系・民政党系と変わるたびにそれぞれ二つ行われていた。消防も系列化されていた。反対党の家の消火活動はしないというのである。
 それぞれの党の県本部の下に各市町村ごとに下部組織ができあがっていて、常に党員の獲得と離党阻止に異常が努力が払われていた。しかも各支部の幹部は、日ごろから各党員の私生活にまで立ち入って、何くれとなく世話を焼いていたので、党員の団結は非常に強固で、隅々まで連絡網が張り巡らされていた。
 このような強力な組織をもって、双方の政党は、野党時代には政権党の内閣の知事の下での県職員の行動を厳重に監視し、いったん政変により政権党になると、そのたびごとに反対党の知事はじめ職員を一斉に退職させた。(p.176)


かつてのアメリカのスポイルズシステム(猟官制)が想起させられる。こうした党派的な行政運営は当然、(ここでも反対党の家の消火をしない消防などに端的に表れているように)行政の公正さに悪影響を及ぼす。

しかし、現在の日本の政治システムに目を向けると、90年代を通じて行われた政治改革や行政改革の中で、内閣府への権限集中が進んだが、安倍政権が深くコミットして作られた(注)内閣人事局の設置(2014年)は、現行の日本の官僚システムを再び猟官制に戻した(少なくともそれに近づけた)。最もそれがはっきりわかるのは佐川元理財局長による森友問題に関する態度である。官僚があのような異常な言動をするようになったのは、再猟官制化がもたらした弊害であると理解すべきだろう。

(注) 安倍内閣は、第一次内閣の際に創設に繋がる検討会を立ち上げ、政権復帰後に設置法案も提出した。


スポンサーサイト




この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/1333-5949eb1b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)