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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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フェルナン・ブローデル 『地中海』(その7)
第Ⅲ部 出来事、政治、人間 より

地中海で平和が新たに確立されるのは、戦争が隣の広大な空間、すなわち、西では大西洋、東ではペルシャ国境付近とインド洋を住処と決めてからである。トルコが東へと向きを変えるに従って、スペインも西に向かって動き出す。出来事の歴史は、まさにその歴史の本質からして、こうした大規模な揺れ動きを説明することができない。(p.89)



システム論的な国際関係論になっている。前回のエントリーでも触れたように興味深い見方である。ウォーラーステインとブローデルを比較すると、ウォーラーステインはシステム論的な見方を力の上下関係(中核が周辺を搾取する)に還元してしまう傾向が強く、政治史よりも経済史が重視されるのだが、ブローデルの場合は、「戦争と平和」や「大きな戦争と小さな戦争」の布置の説明もシステム論的に(というよりは、長期持続ないし変動局面の時間軸を使う際に、それに見合った空間を暗に想定しながら)行われるところに考え方の色合いの違いがある。




ところで、この長引く戦争(引用者注;スペインとフランスの戦争)は、誰にとって、利益になるのか。もっぱら、また、間違いなく、プロテスタント列強諸国と、その海軍にとってである……。プロテスタント諸国の海軍は大西洋の空間を思いのままに荒らし回る。オランダ連合州は、カトリックにとどまっている南部の諸州が悲惨なほど貧しい状態にあるからこそ、強大化するのである。・・・(中略)・・・。フランス人とスペイン人が都市、要塞、土くれを奪い合っている間に、世界はオランダ人とイギリス人の手に握られようとしている……。(p.152)



日本政府が拉致問題に強硬かつバランスを失するほどにこだわり続け、同時に歴史問題を通じて戦争責任問題を再燃させるなどの争いを続けることは、誰にとって利益になるのか?国際的な影響力を強めるのは中国政府であり、覇権を手放したいアメリカ政府もまた自らの望みを叶えることになる。16世紀のスペインとフランスの場合とは違って、現代の問題では係争のもう一方の北朝鮮政府まである程度の利益を得られる。では、問うが、日本政府にとっての(人権問題上の、ではなく)外交戦略上のメリットは?




訳者あとがき より

つまり普段見ている世界像はつねに見る者の位置からしか見えないというわけで、たとえば第三世界の人々から現代の世界を見れば、その世界像は必然的に我々の世界像とは異なるということである。(p.199)



ナショナリストにはほとんどすべての場合、この視点が不足している。(もちろん、これが不足しているのはナショナリストに限らないが。)安倍政権になってから閣僚がやたらと失言を連発している――女性は産む機械、人権メタボ、日本人は同質的、従軍慰安婦強制の証拠はない等々――が、彼らの失言はまさにこうした別を踏まえた複数の視点からものを見ていないことと関係がある。彼らには、「支配する(強権的権力者たる)男性」の視点しかないのである。
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