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アヴェスターにはこう書いている?
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高安正明 『よみがえった「永山邸」 屯田兵の父・永山武四郎の実像』

 島判官、岩村判官が本府づくりに取りかかったころ、札幌のメーンストリートは大友掘(のちの創成川)の東側に沿った通りで、官邸などの建築もまずこれに沿って始まった。しかしこののちの区画割りは札幌通の東の方向へは創成川の西方面ほどには進まなかった。(p.74)


明治初期の札幌は、現在の創成川の東側の通りがメインストリートだったという点は、現在の都市のあり方から見ると非常に違和感を感じて興味深い。札幌の都心と言えば創成川の東側よりも西側の方が遥かに開発されているし、街のまとまりを見ても、南北よりも東西の一体感の方が強い印象がある。例えば、大通公園や狸小路はいずれも創成川の西側にあり、かつ、東西に連なって都市を区切っている。なぜ西と東でこのように開発の進み方に相違ができたのかには興味がある。地形や地質の問題が関係していそうな気はする。



 この意味では、太平洋戦争後は別として、戦前、開拓使から道庁に至る高級行政官で、札幌に自宅を建て、終身、道内で官職を全うした永山武四郎は、“腰かけ”ではなく“北海道人”として生き抜いた数少ない一人であることは確かであり、最高の評価をしてよい。(p.75)


この「北海道人」という見方は、本書が描くところの永山の「実像」の核心をなす部分であるように思われる。なお、この点は永山が内陸開発を進めるべきだと主張していたこととも関係が深いのではなかろうか。



 札幌市中央区部の公園は、西の円山公園は島判官が奉持し来って安置した開拓三神を祭る札幌神社(現北海道神宮)が明治3年に創始されたのを中心としている。北の偕楽園は明治4年に岩村判官がつくり同13年の清華亭建築により公園として一層の機能を確立した。南の中島公園は同20年に物産陳列場が設置されて物産共進会が開催されてから中島遊園地として札幌人士のいこいの場となった。東方だけはこれまでこれに類するものがなかったが、初めて永山記念公園が登場し、しかもその焦点に旧永山邸が置かれているのはきわめて意義深い。(p.76)


永山記念公園が公開されたのは平成元年(1989年)のことであった。初期の札幌では東の開発があまり進まなかったことが、東側には「都市を象徴するような公園が欠けていること」に現れているように思われる。



 最初の琴似屯田(明治8年)をはじめ明治10年代から一部は23年までの兵村がそれであり、これらはまず札幌本府の周辺、次いで太平洋沿岸の“戦略的要地”に配置された。(p.91)


「戦略的要地」として設置された兵村は現在の根室市、室蘭市、厚岸町にある。これらの地域は、札幌周辺よりも入植の際には苦労が多かったとされる。根室に兵村が置かれたことと、開拓使が解体された後の三県の時代に根室県があったことからみて、明治初期には北海道を支配する側から見ると、根室は大きな意味を持つ土地だったらしいことが見えてくるように思われる。



 半年後の12月、黒田清隆が伊藤博文の後継で内閣総理大臣に任ぜられた。黒田-永山ラインが北海道開拓の軸となったのである。
 ともに鹿児島出身、薩摩藩の伝統である兵農兼ねた郷士制を手本にして、北海道の屯田兵の生みの親となった二人である。このラインによって、すでに十余年を経た屯田兵制の改正、大幅な拡充が進められた。これには永山の一年間にわたる最新の外国兵制視察が重要な参考となった。(p.92)


北海道開発は明治の前半は薩摩出身者が中心となって行われたが、薩摩の郷士制が屯田兵制の手本だというのは興味深い。現在放送中の大河ドラマ「西郷どん」でも若き日の西郷の薩摩での生活は、士族であっても半ば農業に従事しているように描かれていたが、これも郷士制と関係があるのではないか。この制度についても少し調べてみたくなった。

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