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アヴェスターにはこう書いている?
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野嶋剛 『台湾とは何か』(その1)

 盗聴については、台湾では今日でも、アジアのなかで群を抜いて当局によって盛んに行われているのは確かだ。原因は中国との対立にある。台湾に浸透した共産党スパイの摘発のため、法務部調査局、国家安全局、国防部軍事情報局など各インテリジェンス組織が強力な陣容を持ち、盗聴をその有力な捜査方法にしている。すでに共産党のスパイへの懸念は低減したが、組織は能力があれば使いたくなるもので、民進党の議員などは自分たちの電話が盗聴されているという前提で生活しており、この「口きき」問題は図らずも台湾の盗聴大国ぶりを印象づける形にもなった。(p.31)


現在では台湾というと日本よりも民主的な政治が行われている地域と私は考えているが、こうしたイメージからすると盗聴が盛んであるというのはやや意外にも思われたが、中国との関係という歴史的経緯を踏まえれば合点がいく。



「湾生回家」の価値は、激動の歴史を歩んだ台湾の近代史のなかで、「台湾から日本に戻ったあとも、台湾を忘れず生きてきた」という湾生の物語を新たに発掘したところにある。台湾社会のなかで、1945年以降に台湾を去った日本人たちが、これほど台湾を深く懐かしみ、思い続けたことは、台湾でも日本でも語られなかった話だ。(p.73-74)


なるほど。是非ともこの映画は見てみたい。



戦前の台湾の経済水準は日本の地方都市を大きくしのぎ、給料面でも東京に遜色ない金額を得ることができたとされている。(p.75)


全般的にこのような状況だったかどうかは疑問。どのような人がこのような恵まれた状況にあったのか、また、こうした恵まれた状況になかった人はどうだったのか、ということには興味がある。



 日本人は中国が領土拡張の野心を持っていると警戒しがちだが、中国は建前でも本音でも、「新たな領土」への野心はそれほど強くない。それは、ロシアや中央アジアとの間で進めた国境画定交渉における比較的冷静かつ実務的な対応にも現れている。彼らが固執するのは「取り戻す」ことであって「広げる」ことではない。中国にとっては台湾も尖閣諸島も「取り戻す」という論理で重要になっているのである。(p.94-95)


なるほど。この見方は重要かもしれない。

中国の一般の人々もナショナリスティックに反応するのも、これらの土地が「奪われた」ことによる「屈辱」と結びつけられているからだと合点がいく。

とは言え、本書の指摘には落とし穴がある。ナショナリズムというものは、他国より力が劣る間は「防衛的ナショナリズム」として発現し、拡張は志向せず、「奪われないこと」や「取り返すこと」のために国民が協力することを促す。しかし、他国より力が強くなると「侵略的ナショナリズム」に変質する。中国の領土の場合にだけ、こうした一般的な傾向が当てはまらないと言える根拠はない。

従って、これまでの中国は「取り戻す」論理と感情によって動いてきたとは言えるが、今後はこの論理を使って侵略や拡張を正当化しようとすることはない、とは言えない。中国から見た「失地」を「回復」することができたとすると、その次には拡張の動きに転じるという可能性は残る。もちろん、私もすぐにこうした動きが全面的に展開するとは考えていないが、中国の動き方が過去から未來まで不変であるかのような印象を与えてしまう点には留意すべきと思われる。



 台湾に優良な中華文化が維持されているというのは正しい理解でもある。蒋介石は台湾に逃げてくるときに、中国の文学、演劇、映画、学者など、一流の文化人をこぞって連れてきた。彼らは共産中国で活躍の場がないと考え、国民党と一緒に台湾に渡り、そのまま大陸に帰ることなく、台湾で文芸の道を極めた。多くの弟子をとって、文化の種を台湾に撒いた。その結果、台湾には、高いクオリティの中華文化が育つことになった。(p.128-129)


なるほど。



そして、たどり着いたのは、「大陸反攻を放棄し、台湾化した中華民国は、台湾の人々にとってはもはや『克服』すべき対象ではなくなりつつあるかもしれない」という認識だった。(p.182)


国名としての中華民国。実態としての台湾の政治的自律性。「国名としての中華民国」は大陸との間で「一つの中国」という点に合意することにより大陸からの武力介入を外交論理上防ぐ機能を担う。これが実体としての台湾の政治的自律性を守ることに繋がる。ある意味では台湾の多くの人が望む「現状維持」をするために「中華民国」という国名は(少なくとも現状では)役立つようになっている。

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