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アヴェスターにはこう書いている?
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白井厚 編 『大学とアジア太平洋戦争 戦争史研究と体験の歴史化』(その3)
白井厚 「戦争体験の歴史化をめざして――慶大経済学部における「太平洋戦争と大学」の講義」より。

「七三一部隊」とは「前列七人、中列三人、後列一人という編成で攻撃する部隊」という答案を見て、私は天を仰いで嘆息した。
 昨年11月に「太平洋戦争と大学」で小テストを試みたところ、百人以上の学生の大半が知っていた単語は「現人神」だけ。以下「七③一部隊」「国体」「復員」「三光作戦」「予科」「わだつみ」「国権皇張」「仮卒業」「八紘一宇」「人民戦線事件」「醜の御楯」「修正」「甲幹」「学生狩り」の順に正答は激減し、誰も知らぬ「予備学生」に至る。半年以上講義を続けたあとでもこの程度であるから、戦時中の日記や遺書を読んで学徒兵の心を理解する能力は今や急激に低下しつつある、と考えねばならないだろう。(p.267)


この講義が行われていたのは90年代の前半から中盤頃であり、ここで戦時中の人々のことを理解する能力が低下していると指摘されているのは、現在の40歳前後の世代に当たる。90年代以降の(一般には「歴史修正主義」などと呼ばれる)「歴史改竄主義」の台頭と、ここでの指摘には関連性があるように思われる。すなわち、このような無知が背景要因としてあったことが、「歴史改竄主義」の歴史観が受け容れられることを容易にしたと考えられる。

ただ、直接戦争を経験した世代(概ね1940年以前生れ)、それに隣接する世代(50年代前後生まれ)などと比べ、70年前後生れの世代が生まれる30年近くも前の社会で通用しており、既に存在しなくなっているものを表現する言葉の意味を知らなかったとしても、一概に責められないのではないか。公的なルートで教育をしっかりしたとしても、戦争を経験した人びとがかなりの割合を占めている社会で生活してきた人と、そうした人たちが非常に少なくなった社会で生活してきた人とでは、戦時中に使われた語彙についての知識に落差があるのは当然ではある。

歴史改竄主義の歴史観に結びつかないように、社会の側が正確な知識や事実を確定するための方法論などを習得させるような教育が求められる。



白井厚 「戦争体験から何を学ぶか――「太平洋戦争と大学」最終講義」より。

我々が日本人として理解し得る事は、果たして外国人にも理解されるんだろうか、常に考えなければならないのです。
 そして更にですね、我々はこの歴史、この体験というものを未来に伝えなければならない。後世の人というのは我々にとっては外国人と同じだ、と覚悟するのが私は一番いいと考えます。(p.296)


私が呼ぶところの「自慰史観」には、このような視点は完全に欠如している。ここで述べられているような視点を持ち続けることは、誤った歴史認識に落ち込まないために重要であると考える。

後段の内容に対応するための方法としては、後世の人は現在の自分たちが共通認識として知っていることを知らないものと前提しなければならず、その前提に立ちながらできるだけ誤解されることのないように十分に説明を尽くすべきだ、といったところだろうか。



吉田明 「「従軍慰安婦」問題から「戦後補償」へ――高校「現代社会」での授業実践の概要と考察」より。

若者たちが心底ショックだと感じたのは、「加害の事実」とともにそうした「事実を知らされてこなかった」ことであり、彼らは、事実を知らされないことによって人間としての誇りを傷つけられたと感じたのである。(p.347)


事実を知らされていなければ、しかるべき時にしかるべき行動ができなくなる。そのような状態にさせられることは人間としての誇りを傷つけられることだ、ということだろう。「加害の事実」をなかったことにしたい、あるいは矮小化したい、という人が、残念ながら今の日本の世の中にはいるが、そのような人は上記の立場から言うと、「人間としての誇りを持たずに恥知らずな行いをしている人」ということになるだろう。


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