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アヴェスターにはこう書いている?
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増田直紀、今野紀雄 『「複雑ネットワーク」とは何か 複雑な関係を読み解く新しいアプローチ』

小さい平均距離と高いクラスター性の組み合わせ(スモールワールド性)は、ほとんどの実世界のネットワークが持っている。それと比べると、実はスケールフリーは普遍的ではない。(p.118)



これはバラバシの本(『新ネットワーク思考』)でははっきり書かれていなかったポイントであり、これら二つのタイプのネットワークを認識枠組みあるいはある認識を得るための道具立てとして使用する際には注意すべきポイントでもあると思われる。




 野外で遊んだりゲームをしながらキャンプの日々は過ぎていく。シェリフらは最初、参加者を2つの集団に分けておき、各集団には相手集団のことは知らせなかった。そして、ある段階で他集団の存在が双方に知らされると、集団間の対抗意識が芽生えたのである。次に、ソフトボールなどの集団対抗試合が行われた。当然、集団間の対抗意識は燃え上がっていく。それとともに集団内では結束度が上昇していった。参加者は無作為に所属集団を決められたのにである。(p.123)



有名な「サマーキャンプ野外実験」というやつだ。

ネット上の政治言説のあり方とも通じるものを感じる。ネットウヨと呼ばれるような人々には、嫌中・嫌韓とでも言うべき情念が感じられるが、まさに彼らはこの野外実験における被験者のように見える。

とりわけ、彼らの社会分析に関する知見が極めて素人的であり、特定の見解を主張するために必要な分析のプロセスを踏んでいないことなどから、社会科学や社会政策に関しては完全にド素人であることが極めて多いと思われるのだが、これはとりもなおさず、それらの人々が社会問題に対してそれほど関心を持ってこなかったということを示していると思われる。

そうした人々がバブル以後の不況やその中で生じてきた「財政赤字で破産する、大変なことになる」という、脅迫的=強迫的な扇動に乗せられることによって(もはやこれは完全に一般の常識と化しており、刷り込みが完了しているといってよいだろう)、社会に目を向けざるを得なくなった。そのとき、複雑な現象であり、専門的な数字などの意味が把握しにくい経済の分析や行政の緻密=稠密な制度の具体的諸問題には目が行くことはなく、一般に報道される頻度が小さい、NPOや市民運動・社会運動などの動きをよく知るわけでもなく、「報道されるままの政治」に目が引き付けられることになる。そこで外国、特にアメリカと日本近隣の外国――特に中国と朝鮮半島――(ばかり)が目に入る。

そこでナショナリズムに火がつく。その上、オリンピックやワールドカップなどの試合が対抗意識をさらに高めるのに僅かながらも力を貸すことになる。(ただし、実験と違い、自らがプレイするわけではないので、それほど大きな効果はない。)

ただ、この実験と現実の政治意識の大きな相違点は、集団の結束度を上げようとする際に、未来が見えない社会状況であること、つまり、明確なビジョンがない、あるいはそれほど明確でなくとも明るいビジョンさえない、という状況において、閉塞感が漂っているために、「自信喪失」のような状態に陥りやすいということである。

そこで「誇りと自信の持てる日本」や「美しい国」が登場するわけであり、その際に、対照項として「自分より劣ったもの」の表象が必要とされる。それが中国であり朝鮮半島である。しかし、北朝鮮を除けばこれらの地域は上昇局面にあり、次第に本の経済的優位は失われつつある。そこで、どうにかしてこの近隣諸国を蹴落とすことで優位を保ちたいという卑しい心理が生じる。これが嫌中・嫌韓の情念の根底にあるものの一つであろう。

この「腐った根性」は、『ワーキングプア』を取り上げた際に、格差社会を望む人々の心境についてかかれたこととかなりオーバーラップがあるように思われる。

冷静な議論が成り立たないのはこうした暗い情念――本人たちはこのことに向き合うことは極めて困難である――が根底にあるからであると思われる。彼らが「サヨク」と呼ぶ考え方は、こうした劣等意識を自覚させてしまうものであるが故に、このような言説に接すると、「ネットイナゴ」のような攻撃性として表れるものと思われる。

これが全ての要因とは言い切れないが、このような情念が蠢いていることはかなり的を射ているのではないか。




 実は、スケールフリー・ネットワーク上では、病気の蔓延が起こりやすくなる。これは、憂慮すべき結果だ。(p.145)



これはネットを使う際にも留意すべき点である。
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