アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

山本紘照 『北門開拓とアメリカ文化――ケプロンとクラークの功績――』

 この選挙こそは『広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ』との五箇条の御誓文が渙発されたその年であり、衆議院議員の第一回総選挙よりも23年前、昭和22年春に行なはれる第一回地方長官の公選に比較すれば、実に80年も前のことである。榎本武揚こそは、日本で一番先に民主主義政治を実践した人ではあるまいか。(p.21)


「蝦夷共和国」などとも呼ばれることがある蝦夷島政府の明治元年(1868年)の選挙(入札)についての論評。

本書は1946年、敗戦直後に出版された本であり、当時の日本における民主化への期待や民主的な国を作ろうとする思いなどが随所にちりばめられているのが興味深い。こうした思いは、アメリカ的民主主義は北海道から日本に広がったという主旨の発言がある序(著者とは別の者が書いたものだが)に端的に表れている。

こうした発想は、単に本書だけではなく、北海道大学総合博物館の展示で紹介されている矢内原忠雄東大総長の1952年の発言にも見て取ることができると思われる。すなわち、 「明治の初年において日本の大学教育に二つの大きな中心があって、 一つは東京大学で、一つは札幌農学校でありました。 この二つの学校が、日本の教育における国家主義と民主主義という 二大思想の源流を作ったものである。(中略)札幌から発した所の、 人間を造るというリベラルな教育が主流となることが出来ず、東京大学に発したところの国家主義、国体論、皇室中心主義、そう言うものが、日本の教育の支配的な指導理念を形成した。その極、ついに太平洋戦争をひき起こし、敗戦後、日本の教育を作りなおすという段階に今なっておるのであります。」というものである。

こうした考え方には戦後まもない時期において多くの人々に共有されていた価値観が表れていると思われる。戦後のアメリカによる民主化と明治のアメリカから学んだ民主主義とを重ねて、その当時進んでいた民主化が、単に与えられたものではなく、日本の歴史の中に根を持つものであり、それを掘り起こして育てていく、だから日本には民主主義が根づくことができる、といった期待が抱かれていたのではないだろうか。

そして、こうした歴史の見方は(時に多少の誇張はあるかもしれないが)単なる虚構というわけでもない。むしろ、現在のようなバックラッシュが酷い時代においては新鮮でもあり、想起・銘記すべき内容を含んでいるようにも思われる。

スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/1254-c27e4c86
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)