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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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社会思想史学会年報 『社会思想史研究 №22 1998 シンポジウム:社会システムの現状と問題点』(その1)
佐藤康邦 「システム概念の可能性について」より

ルーマンの社会システム論が依拠する「環境の複雑性の縮減」の原則は、環境への適応、自然選択に関するネオ・ダーウィニズム的発想をサイバネティックス的に言い換えたものとみなせましょうが(ルーマンがシステムの歴史に「進化論」という概念を当てはめていることは、それを裏書きする)、それは、環境を、ただその複雑性を縮減させる対象に過ぎないものに切り下げてしまうことによって、著しく貧困化する結果をもたらしたと言うべきであります。(p.26)


確かにシステムが自己準拠的に境界を区切っていくことでシステムとして立ち上がっていくとき、環境は「非システム」としてしか捉えられない。環境をそれ自体として捉えていこうとする発想には繋がらない。というか、そうした発想を拒否する所から出発していると言ってもよいのかも知れない。



水島茂樹 「ふたたび社会に経済を埋め込む」より

平等な人間から構成される透明な世界であるという市場の特性は、長所である反面、資本主義からの圧力に容易に屈服させられてしまう弱点ともなる。理想的な市場概念に近い町の市にさえ、資本主義が、市場の透明性や公正なルール、競争をかいくぐって入り込み、情報の独占や巨大資本に基づく特権的地位を利用して高利潤を上げることが稀ではないとブローデルは注意している。この曖昧さもまた市場と資本主義の混同を容易にすることになる。この曖昧な関係が捉えられず、市場と資本主義が唯一同一の現実と見なされるため、経済的自由主義の説得力が高まると上で指摘したが、マルクス主義は逆の方向でこの関係を捉え損ない、資本主義の悪を市場に直接投影してしまった。悪=資本主義と戦うためには、その根っこにある市場を廃棄しなければならないという、悲惨な結果を引き起こしたボルシェビズムの認識はこの混同に由来するのである。(p.51)


ブローデルの市場と資本主義の概念は非常に役立つ見方である。リバタリアニズムや新自由主義のような発想は、「市場」の論理によって人々を説得するが、「資本主義」の動きを捉え損なわせるミスリーディングな(人々を誤導させる)ものである。マルクス主義とリバタリアニズムが同じ混同に基づいて議論しているという指摘は、こうした議論をする人に対して気づきを与えさせるには役立つかも知れない。



資本家は専門化しない。彼らは状況次第で、海運業者にも保険業者にも、銀行家にも産業資本家にもなる。大きな利潤が上がる分野が変化するにつれて、活動や投資の分野を容易に転換する。こうした「急旋回を切る」能力を持っていること、これが資本主義の強みなのである。(p.52)


この見方は重要。グローバルなヒト・モノ・カネの移動の自由化が進むことは、事実上、この「急旋回を切る」能力を規制することが最大級に難しくなることを意味する。この意味で、20世紀後半の人類は大きな過ちを犯したと考える。



 まず福祉国家の危機について。それは財政危機だけの問題ではない。平等化という福祉国家の目的がかなり達成されたために平等という目標が疑われるようになったこと、そして国家を媒介とした再分配を通じて間接的に社会的連帯を実現するという福祉国家の仕組み自体が自動化・自立化しすぎて個々の市民に連帯の事実が見えなくなったところに問題の根がある。したがって現在の危機を乗りこえるためには、連帯に伴う義務を国家から社会に取り戻さなければならない。こうして問題の核心に福祉国家の達成が効力の限界にぶつかっているという事実がある以上、経済的自由主義に対して福祉国家の原理を唱え続けるだけでは後ろ向きの批判にしかならないことは明らかだろう。(p.58)


90年代以後のリベラルが保守派から押されて(多少の振り子の揺り戻しを続けながら)後退を余儀なくさせられているのは、こうした福祉国家が限界にぶつかっているという現状が背景の一つである。より積極的な批判をしようとすると、反保守の立場においても違いが出てくることになり、一つにまとまることは容易ではない。この問題をどう解決していくか。

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