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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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権丈善一 『ちょっと気になる医療と介護』(その2)

しかしながら、イノベーションを唱えたシュンペーターは、これが経済発展にとって重要であることを指摘しても、その起こし方については何も語っていないんですね。……(中略)……。
 進化論は生物学上の事実でしょうが、進化を人為的に操作することが難しいことと同じように、シュンペーターの言うイノベーションを原因とする経済の進化は、政府が先導するかしないかで起こる・起こらないが決まるようなものではありません。(p.255-256)


重要な指摘。サプライサイドを重視する立場の経済学者や政治家などがしばしばイノベーションを軽々しく口にするが、イノベーションという概念は、後に「イノベーション」だったと評価されるある出来事が起こった後に、その時点での事実に対する評価を伴いつつ、あの時起こったあの出来事はイノベーションだったと判断している「観察者」の視点により構成された概念に過ぎず、その出来事を起こしている「行為者」に起こっていることとは全く異なっている。この種の概念によっては、それが指し示そうとする行為が導かれることはないし、分かっているつもりになってはいるがそこで起こっていること自体は捉え損ねている。



・予防・健康増進活動で医療費はむしろ増加する
 ・各国でさまざまなモデル事業や膨大な実証研究が行われてきました。それにより、予防や健康増進活動による健康アウトカムの改善効果はそれなりに確認されていますが、医療費節減効果はほとんど確認されていません。逆に、厳密にランダム化比較試験に基づき、広く社会的次元で費用計算を行った研究では医療費を増加させるとの結果が得られています。
 ・アメリカの軍人を対象にした最近のシミュレーション研究により、長期的には(生涯医療費のレベルでは)、禁煙による健康状態の改善による医療費削減は余命延長による医療費増加により相殺されることが示されています。(p.265)


予防や健康増進活動を奨励しても「医療費削減」には繋がらない。やはりこういうことは本当に健康を増進することで一人一人が健康で文化的な生活を維持していくことができるようにするという目的に素直に沿って進めていくべきである。政府や自治体には医療費削減(適正化などと誤魔化しの入った表現がよく使われる…)に繋げようとしてやっているところがあるように思われるが、そうした考えは捨てるべきだろう。



 東大理科Ⅰ類(理Ⅰ)を筆頭に、工学部の人気が“凋落”と呼べるほど落ちているようです。理Ⅰに行くより地方の医学部に行くという時代になってきて、医学部は「一人勝ち」です(134~135頁参照)。この傾向は、経済を長期的に考えた場合、非常にまずい
 現在の日本経済で最も大きなウェイトを占めているのは第3次産業ですが、そこで生活する人たちの生活水準は、「交易条件」の高さに依存します。交易条件とは「輸出物価指数÷輸入物価指数」で求められる指標です(図表8 25頁)。第2次産業の奮闘で日本のブランド価値が高まってこそ良くなる交易条件は、残念ながら年々悪化しています。原油をはじめした輸入価格の上昇に比べて、日本の製品を高値で売れなくなっているということです。
 工学分野や理学分野での人材確保は重要な課題であるはずなのに、人々は医学部ばかり目指している。優秀な人材を医学部だけに集め続けると、早晩、経済が足元からぐらつきます。(p.290)


興味深い指摘。では、工学部や理学部の人気を回復させるためにはどうすればよいか?これが難しい。



もし、もしですよ、赤字国債をバンバンと出して、そのお金で社会保障の給付をどんどん行ったら所得格差はどうなると思いますか?(第15章における給付先行型福祉国家参照)
 たぶん、格差は縮まって、不平等指数(完全平等を0として完全不平等を1とする指標)のひとつであであるジニ係数は小さくなり、そのことはおそらく、ジニ係数の改善の改善と評価されることになるのではないでしょうか。といことは、今の再分配所得のジニ係数は、けっこう赤字国債でかさ上げされた結果の良い値を示していることになります。(p.298)


なるほど。



 政治家が官僚人事に深く入り込みすぎると何が起こるか。官僚は自分の大臣と官邸のどちらに仕えるか曖昧になる。能力もないくせに時の官邸に色目を使い、政治的にうまく立ち回って出世しようとする奴が出てくる。ゴマすりが横行し出せば、終わりだよ。大事でも日の当たらない仕事は誰もやらなくなるぜ。……官邸主導で良かれと思って作った人事局が訳の分からない政権に悪用され、雇い主である国民から見てとんでもない霞が関瓦解を招きゃしないか。一つの内閣は一時の存在だけど、日本国政府は永久に続くっていう自覚を政治家は持たなきゃダメさ。


この点はまさに森友学園問題や加計学園問題でまさに目撃中である。


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