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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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権丈善一 『ちょっと気になる医療と介護』(その1)

 多くの人たちが気合を入れて取り込もうとしている、このデータヘルス計画って、「日本再興戦略」という、いわゆる「成長戦略」の一環として政策展開されている話なんですね……って、「成長戦略」って、なんだか聞こえの良さそうな言葉だけど、その実態は?ということはこの本の中で、いろいろと触れていきます。
 ……(中略)……。
 まぁ、データヘルス計画によって公的医療保険の保険者である健保組合や協会けんぽ、それに国民健康保険から、ICT産業にお金が流れることは確かです。でも、データヘルス計画をしっかりやったからといって、国民が健康になったり、QOLが高まるかどうかはなんの保証もありません。この国では、かつて、「コンクリートから人へ」というスローガンが声高に言われていましたけど、成長戦略としてのデータヘルス計画というのも、そうした流れに沿っていると考えれば理解できます――つまりは、コンクリートから人へ、もっと言えば補助金はブルーカラーからホワイトカラーへ……う~ん、この冗談、分かるかな。(p.ⅵ-ⅶ)


データヘルス計画については、いままでは漠然と医療費の削減による社会保険財政の支出削減のために策定されたものだと思っていたが、「成長戦略」の一環だと知り、いろいろなことに納得した。こんなことをしてもIT業者に金が流れるだけで医療費の削減や健康寿命などにはほとんど意味がないのではないかと疑問に思ってきたが、その違和感は大元の政策の出所にあったようだ。



 いまのように「世界の技術最前線に躍り出た」日本で、かつてのような経済成長は起こせるという観点から、国民が将来を選択するのと、そうではないという観点から選択するのでは、おのずと選ばれる社会経済政策に違いが生まれてきます。そうした選択に影響を与える根源的な世界観については、その切り替えが強く求められているんですけどね。この意識の切り替えは、人口が減少している国の経済成長の目標は1人当たりGDPを用いること、日本の1人当たりGDPの伸び率は欧米と比べても見劣りせず、しかも雇用面も良好――したがって、日本の経済は別に大病を患っているわけではないという、意識の切り替えです。(p.35)


全く同意見である。こうした当たり前のことが一般に理解されていないこと自体が解決すべき問題であろう。



1990年には偏差値が最も低いと45くらいで私立の医学部に行けたようです。最も高いところはずっと慶應大学ですね。ところが90年代に最も低いところの偏差値がどんどん上がっていって、偏差値の散らばりを示す変動係数は、どんどん小さくなっていきました。(p.132-133)


この現象は都心の進学校の卒業生が地方の医学部に進学するようになったためだと本書は指摘する。90年代にエリート層がバッシングを受ける中で進路選択に変更が生じるようになったとされている。

『消えゆく限界大学』では、推薦やAOや内部進学のような入試の多様化が偏差値を高める方向に作用していることが示されていたが、医学部の場合はどうなのだろうか?



介護保険の受益者は、要介護の虚弱老人であることはもちろんですが、それ以上と言っていいくらいに家族です。(p.36)


非常に納得させられたフレーズ。



 消費税はたしかに、財源調達側面だけをみれば逆進的です。でも、消費税という化け物のような財源調達力を持つ税で社会保障の財源を賄えば、ネットで見ると累進税になるんですね。(p.200)


私は消費税の増税に対してはあまり積極的な評価をしていないが、消費税によって調達した財源をベーシックインカムのような配り方をする場合にはここで述べられているような結果になることは分かる。確かに税を語る場合、財源調達面(歳入の側面)だけを見るのは不十分であるという批判は正しい。しかし、使い道がベーシックインカムのように一様に配分されるという想定は楽観的過ぎるように思われる。なぜか?もし消費税を社会保障のための目的税にしたとしても、例えば社会保障に対する歳出の総額を変えずに、消費税によって浮かせた一般財源を社会保障以外の領域に支出するという選択を政府がした場合には、逆進性が解消される保証はないからである。



ここで押さえておいてもらいたいことは、歳出の中で最も優先順位が高く、その額を節約できないのは国債費だということです。
 ……(中略)……。
 でも先に説明をしたように、借金のストックが増えて大きくなった国債費は社会保障と歳出項目において競合します。そして、社会保障費よりも国債費の方が歳出の優先順位は高い――だから、国債費を賄うために社会保障は減らされてしまい、国民負担相応の福祉を享受できなくなってしまうわけです。(p206-212)


国債費が多いか少ないかによって社会保障などの圧迫のされ方が違う。その原因は歳出の優先順位にある。なるほど。

なお、現在の日本はすでにこうした状態に陥っていると見るべきだろう。

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