アヴェスターにはこう書いている?
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権丈善一 『ちょっと気になる社会保障 知識補給増補版』(その2)

 また、政府規模の国際比較で押さえておいてもらいたいことは、図表54のように、基礎的なインフラが整備された後は、政府の規模を大きくしていくのは社会保障になるということです。
 これは動かしがたい事実でして、結局、小さな政府なのか、大きな政府なのかは、「貢献度」に基づいて市場が分配した所得を「必要度」に応じて分配し直している度合いが小さいか、大きいか、家計における人々への必要の充足を個々の家計の責任に強く求めるかどうかできまっているわけです。そして日本は、社会保障が小さいだけではなく、少し信じられないかもしれませんが、社会保障以外の政府支出も小さな国であるわけです。
 こう言うと、「だって公務員が多くて、ムダ遣いしているという話が多いじゃないか」という話になります。そこで、国際比較ができる形にOECDがまとめたデータを見れば、日本の「労働力人口に占める公務員の割合」は、図表55の一番右、すなわち最も少ないことが分かります。このあたりのことを詳しく分析した本として、前田健太郎東大准教授が2014年に上梓された『市民を雇わない国家――日本が公務員の少ない国へと至った道』などがあります。(p.124-125)


ここに書かれている基本的な事実は、私としてはほぼ「何を今さら分かりきったことを…」といった内容だが、社会保障や財政に関する問題が政治利用されており、厖大な「印象操作」が行われているため、あまりまともにこうした問題を調べたことがない人にはこうしたことをきちんと伝えなければならない状況となっている。

なお、『市民を雇わない国家』は面白そうなので読んでみようと思う。



そして厚生年金の適用拡大は、基礎年金全体の給付水準の引上げにも寄与することが、2014年(平成26年)の財政検証で明らかにされました。その理由は、厚生年金の適用拡大が進むと、数が減った第1号被保険者1人当たりの国民年金積立金が増えるからです。(p.153)


なるほど。厚労省が適用拡大に向けて動こうとしている気配があるのはこうした理由があるからだったのか。政府の動きはいろいろと胡散臭いものが多いが、この動きは推進してよい方向と見ておく。



 民主主義社会においては、そうした合理的に無知であることを選択した有権者の耳目にまで情報を運ぶコストを負担できる者、すなわちキャンペーンコストを負担することができる者が多数決という決定のあり方を支配できる権力を持つことができます。そしてキャンペーンを通じて有権者の耳目まで情報を伝達するコストの負担は財力に強く依存します。資本主義社会の下で財力を持つ集団は経済界ですから、民主主義というのは、経済界が権力を持ちやすく、そこでなされる政策形成は経済界に有利な方向にバイアスを持つことになるという民主主義の特徴を、僕は「資本主義的民主主義」と呼んできました。(p.181-182)


様々な政府による規制を緩和したり、資本移動のグローバル化を進めると、こうした経済的に豊かなアクターたちはより一層有利な条件を獲得できる。すなわち、デモクラシーの方法に基づいて権力を自己の利益のために利用できる度合いが高まる。これにより中間層以下の人々の生活は苦しくなるが、政府はこうした人びとの役には立たない。こうして「現在の政治体制」への不満が高まることで、ポピュリズムないし極右ポピュリズム政党の台頭(ヨーロッパ、アメリカ、日本など)をもたらしている。



もし、余命幾ばくと宣言されていない人が、当面の生活費を工面する方法があるのならば、可能な限り遅く受けとりはじめることをお勧めします。70歳で受給しはじめる年金は、60歳で受給できる年金額の約2倍になり、それを亡くなるまで受け取ることができるわけです。(p.188)


年金受給開始年齢をどう考えるかという問題について参考になった。年金が保険であることについて理解しておく必要がある。



 年金受給権のある人には、そのいくぶんかは生活保護の補足性の原理から外すということである。現在の生活保護制度のもとでは、年金収入があればその分は保護費が減らされる。結局、未納者と同じ生活水準となり、過去において保険料を納付したり免除手続きをとったりしてきた意味がなくなってしまう。(p.221)


なるほど。興味深いアイディア。ただ、生活保護の最低生活費は(世帯の人数にもよるが)水準が高すぎるので、その水準を少し削った上で基礎年金満額受給者の生活費は現行の最低生活費を若干上回るといったような設計が良いのではないかと思う。

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