アヴェスターにはこう書いている?
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小菅桂子 『カレーライスの誕生』

 彼は明治3年、16歳のとき、会津藩から選ばれて、国費留学生としてアメリカへわたる。北海道の開拓を司っていた政府機関の開拓使が、北海道と似た環境の、寒さの厳しい東北から十数人の少年を選抜して、アメリカで開拓者精神と開拓技術を学ばせ、開拓に役立たせようという国策に基づくものであった。(p.13)


山川健次郎についての記述。開拓使が少年をアメリカに留学させたというのは、今まで読んだ文献でも何度か目にしていたが、東北から選んでいたというのは今まで気付かなかった。しかし、山川健次郎は帰国しても北海道の開拓には関わったという話は聞かない。そのあたりの経緯ももう少し詳しく知りたい。



ヘイスティングズがイギリスにカレーを紹介したのは1772年であるため、ヘイスティングズが直接「ヴィクトリア女王に献上」したわけではないが、ヘイスティングズが持ち帰ったカレーはやがてイギリスの社会に浸透していったのである。
 その背景にあったものとはイギリスの食文化の貧しさである、と指摘する人もいる。調味料ひとつをとっても、ろくなものがなかった、それが二人に福を呼ぶことになったというのである。
 ウスターソースやケチャップの類がイギリスで生れたのもおなじ理由からで、東南アジアに植民地を築いていたイギリスは、アジアの美味をつぎつぎとイギリスに持ち帰らせ、アレンジしてイギリス人の舌に合わせた味に仕立て上げ愛用するようになった。二人が開発したカレー粉についても、インドのガラムマサラというお手本をもとに作り上げたのではないか、と推測することもできる。(p.52)


なるほど。カレーやウスターソース、ケチャップはもともとは貧しかったイギリスの食文化を背景として、東南アジアとの接触により開発されたというわけか。食文化が貧しくなくても、異なった食材が容易に入手できるようになればこうしたことは起りうると思う(例えば、イタリアにおけるトマトなどが想起される)が、こうした調味料がもたらされた(開発された)ことにより、イギリスの食文化がそれ以前よりも豊かになったことは確かだろう。



 西洋野菜の栽培には北海道が大きく関わっている。しかも開拓使によるところが大きい。(p.72)


日本のカレーにはジャガイモ、ニンジン、玉ねぎという「西洋野菜」が三種の神器として使用されることに関連する記述。カレーというものを追う中で、新たな探求課題に突き当たったと感じる。



 ライスカレーが日本人の食卓に普及し定着した背景には、漬物、それも福神漬との名コンビが大いに存在感を発揮している。
 牛丼のトッピングにショウガが付きものであるように、トンカツには味噌汁と漬物、ご飯がセットになってはじめて日本人の定食として定着した。つまり西洋料理は和洋折衷的なコンビを組めたものが、国民食として市民権を得ているのである。(p.122-123)


確かに、一般の市民の家の食卓に上がるためには、既存のものとの組み合わせは重要になってくる。それ以外の同時に食卓に乗る食べ物との相性にも繋がっていくだろうし。



 明治20、30年ごろは一般家庭で惣菜に西洋料理がならぶことはなかった。「和洋折衷」という言葉は、明治の終わりごろからよく使われるようになってくる。(p.136)


生活水準がある程度上がってくるのが明治30年代以後であることが、30年ごろまでは西洋料理が並ばないこととは関連があると思われる。



豚は明治30(1897)年を過ぎるころまで統計資料もなく、豚は統計以前の存在だったのである。

 豚の需要が伸びるのは明治も30年代後半のことで、その背景には、戦争という事情があった。
 日清、日露の戦争が起こって牛肉の缶詰が軍需食糧として盛んに戦地へ送られるようになると、牛肉の相場は暴騰して、明治37(1904)年には10貫目(約38キロ)14、5円だった牛肉が翌春には25、6円という極端な高値となる。……(中略)……。
 こうして市場に流通する牛肉が減り、値上がりしてくれば、安い豚肉に関心が向き、豚の飼育頭数は急増してくる。……(中略)……。
 以来関東では豚肉が定着して、カレーでいえばビーフカレーよりポークカレーが普及している。また、もしこうした背景がなかったら今日ポークカツレツ、つまりトンカツ、カツ丼、カツカレー人気はなかったとも考えられる。
 これに対し、関西は牛肉の産地を控え関西人をますます牛肉党にしてしまったのではないだろうか。(p.152-153)


関東では豚肉、関西では牛肉を使うことが多いことの歴史的背景。大変興味深い。
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