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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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ダン・アリエリー 『アリエリー教授の人生相談室 行動経済学で解決する100の不合理』

 私は大学院を卒業するとき、研究者としての最初の就職先にどの大学を選ぶべきかを、指導教授のジブ・カーモンに相談したんだ。教授は、五年過ごしたら今とまったくちがう人間になれそうなところに行きなさいといった。人生は学習と向上の積み重ねだから、まだ融通の利く今のうちに(私には当時まだ妻も子もいなかった)、自分の開発と成長に次の五年間を投資するべきだと。(p.18-19)


この考え方は重要。



 私がしばらく前にジーナ・フロストとマイク・ノートンと行った研究では、デート相手に関していえば、相手のことを知れば知るほど、恋愛感情は高まるどころかむしろ薄れるという結果が出た。簡単にいうと、恋人候補のことをほとんど知らないとき、私たちは想像をはたらかせて楽観的すぎる方法で情報の欠落を埋めるものの(たとえば相手が音楽好きとしか知らなければ、17世紀のバロック音楽じゃなく、自分の好きなタイプの音楽が好きにちがいないと思い込むなど)、その後実際に会ってお茶するうちに、過大な期待が砕け散るってわけだ。……(中略)……。
 恋愛の領域で得られる教訓の多くは、生活のほかの面にもあてはまる。人を雇う場合もそうだ。外から招かれたCEOは、生え抜きのCEOに比べて高い報酬を得るが、実績はむしろ低いことを示す証拠がいくつかあがっている。この場合も情報不足のせいで、期待がむやみに高まるのが原因なんじゃないかな。(p.30)


外部からのCEOの実績が低いという点はもう少し詳しく知りたい。行政や政治に習熟していない政治的リーダーの実績が期待よりかなり低い傾向が指摘できるのであれば、例えば、トランプ大統領のような反エスタブリッシュメントの風潮を背景や追い風として就任した政治的リーダーの実績がどのようなものになるのかを予想する際に有益だろう。(それよりもはるかに小物であり、小物過ぎて語る程の価値もないのだが、私の研究フィールドの一つである小樽市の市長にはこの傾向は明らかに成り立っている。)



 つまり、私たちは何か(選んだ歌など)をよく知っていると、その知識をもたない状態を想像しにくくなるんだ。これを「知識の呪縛」という。(p.49)


これは日常的によく感じる。



彼らは殺されようとしているマウスを助けるか、見殺しにして報酬を得るかを被験者に選ばせた。……(中略)……。
 実験の結果、マウスを見殺しにした被験者の割合は、個人条件(45.9%)よりも、市場条件の方がずっと高かった(二者間取引では72.2%、多者間取引では75.9%)。このことから、人は市場に集まると個人的な利益のために道徳的基準をないがしろにしがちだということがわかる。(p.52)


マイケル・サンデルの議論を彷彿とさせる実験。



 

どうしてゴシップ新聞や雑誌に人気があるのかさっぱりわからない。どこが魅力なんだろう?
デイブより



 私もよくわからないが、たぶんあの魅力は社会的協調とも関係があるんじゃないかな。私たちは社交の集まりに出ると、誰もが参加できる話題を探そうとして、天候やスポーツ、ゴシップなどのネタを選ぶことが多い。つまり、そういう場では誰もが会話に参加できりょうに、話題が自然と低俗になりがちだということもわかるね。(p.78)


なるほど。説得力がある。



「楽しい時間は経つのが早い」のは知っているけど、一週間をもっと長く感じられる方法はないものかな?
アヴィより


 ……(中略)……。
 今度旅行に行くときは、毎日ちがうことをして過ごすのはどうだろう。スノーボードをするもよし、スキーをしない日をつくるもよし、スキーのレッスンを受けたり、ソリ滑りを楽しんだり、ただスキーの道具を変えてみるだけでもいい。たとえスキーほど楽しめなくても、いろんな活動を織り交ぜることで、休暇が一つの長いスキーの経験としてではなく、多様な経験の連続として記憶される。(p.131-132)


なるほど。同じようなことを続けると、それがひとまとまりの記憶となる。多様な活動をすれば多様な経験の連続として記憶される。



損失回避は、社会科学の原理のなかでもとくに本質的で理解が進んでいる考え方で、ざっくりいうと、同じ価値のものであれば、得るより失う方が感情的なインパクトが大きいことをいう。(p.175)


公共事業について考えると、最初に大盤振る舞いをして後からそれを絞っていくと、絞っていく時に感情的な反発を受けやすい。最初は小出しにしておいて少しずつ必要性を満たしていく方が反発は受けにくい。しかし、場合によっては初動で大きな額を動かさなければ効果がなかったり、効果が小さい場合もある。このバランスをどうとるかというのが難しいところであると思われる。(最初から撤退の時期などを決めておくというのは一つの知恵かも知れない。)



 フェイスブックやツイッター、メールなど、インターネットで情報をやりとりする人は、なぜネット上で低俗な行動をとりがちなんだろう?
ジェームズより


 ……(中略)……。インターネットをとおすと、ふだんいかに内容の乏しいやりとりをしているのかが見えやすくなるだけなんだ。(p.181)


なるほど。確かにそういう面はありそうだ。



社会規範について覚えておくべき重要なことは、ささいな違反をした人のことも容赦なく批判する必要があるということ。違反が繰り返されるうちに規範そのものが変容し、望ましくない新しい規範に誰もがとりこまれるおそれがあるからだ。(p.212)


ヘイトスピーチや歴史修正主義などにこのことは非常によくあてはまる。もっと強くこれらは批判されるべきである。



 自分の経験したことをよく覚えている人ほど、人生に対する満足感と幸福感が高いことがわかっている。(p.235)


経験を覚えていると、その記憶を思い出すことでも幸福感を感じられるということも、その要因だろうか。このためには新しい経験を積み続けることが有効であるようだ。



運のいい人はいろんなことをしょっちゅう試していて、頻繁に試す分、成功することも多いんだ。……(中略)……。
 ……(中略)……。つまり運のいい人っていうのは、何かを試す回数が多いだけじゃなく、うまくいかなさそうな道をすばやく切り捨てて、有望な道に力を注いでいるんだね。(p.239-240)


これに当てはまるような人が確かにいる。次々とアイディアを出していろいろなことを試している。試行錯誤を重ねる中で研ぎ澄まされた感覚で事の軽重を直観的に判断している。そんな人に見習うべき点は多い。



 いったん環境が決まると、私たちはおおむねそれに見合った行動をとるようになる。とはいえ、現実の私たちは日々ドーナツの誘惑にさらされる必要はない。職場からドーナツ売りを締め出すことはできるし、より一般的にいうと、失敗の可能性を減らすように環境を設定することはできるんだ。
 私たちの自由意思が宿るのはそこだ。自分たちの強みを活かし、より重要なこととして、弱みを克服するような方法で環境をデザインする能力にこそ、自由意思がある。(p.244-245)


環境のコントロールは重要だ。このことに思い至らない人が結構いる。社会科学的な知識や多様な経験を積んでいることは、環境をコントロールするための工夫を促しうる要素の一つであるように思われる。

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