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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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I.ウォーラーステイン他 『開かれた歴史学 ブローデルを読む』(その1)
フランソワ・フルケ「新しい空間=時間」より

世界的規模に身を置くという単純な事実が、経済理論のなかでは市民権のない事象を舞台中央に登場させる。・・・(中略)・・・
 その結果、かつての理論上の登場人物――国家、資本など――はその威厳をすべて失う。彼らは舞台裏に消え去るのではなく、たんにもはや見えなくなるのである。そのとき、奇妙なことに気づく。すなわち、彼らは遠くから見えていただけにすぎないのである。われわれが歴史学の、また社会学の虫めがねでより詳しく見ようとするや、これらの実体は溶解し、その意味深い影響力は霧消する。そしてこの新たに見出された光景では、すべてがつねに混じり合っている。実際には、資本主義と国家は混じり合っているように思われる。それらは、深くまた親密な関係のなかで「共生」しているのである。
 ・・・(中略)・・・。われわれは、マルクスの「資本主義的生産様式」に似せて「資本主義」をつくり出した。それは、国家の古い概念からきっぱりと区別された新しい概念である。われわれは当然、それを国家に対置する。そのあとでわれわれは、この二つの概念的実体がどのような関係にあるのかを自問する。しかし、そもそもそれらを考え出したのはわれわれではないのか。・・・(中略)・・・
 結論。「共生」という言葉こそを捨てなければならない。それは、一つのすてきなメタファーではあった。しかしそれは、厳密に結びつくそれぞれ別の二つの組織の存在を現実世界において仮定する。申し訳ないが、そのようなものは存在しない。(p.72-74)



「資本主義」の概念と「国家」の概念、そして、それらの関係についての概念についての、ここでの考察には、概念を用いて物事を考える際にしばしば見られるパターンが表現されている。すなわち、「ある概念がどのように構成されてきたかという成り立ちによって、それらの概念が含意する内容や概念間の関係が規定されてしまう」という問題である。

これは概念を言語や図式を用いて表現する場合、避けがたい問題であるが、このことを意識しながら概念を用いるかどうか、という点が重要である。それが意識されていれば、自らの概念の限界がかなりの程度自覚された状態で思考することができるが、そうでない場合、限界を踏み越えて強すぎる主張を行うことになりがちである。

しかし、こうした誤りも「概念使用の試行期間」においては――つまり、ある概念を修得するためには、それをできるだけよく使うのが一番なのだが、概念の使用のトレーニングないし試行錯誤を意図的に行っているようなときに――誤りを犯しても必ずしも責められるべきではないだろう。特に学問的な議論においては。(ただし、政治的な議論や政治的発話をした場合においては、発言の社会的文脈に応じて、責めを負うべき場合もあるとは考えている。)

なお、上記引用文で用いられているような「資本主義」や「国家」の概念については、今のところ私は使用することをできる限り禁じている。(ただし、「資本主義」の概念については、現在読み進めつつあるブローデルの資本主義概念を参照しつつ、そこから何を得るべきかを見極め、その使える部分を表現するために、今後使用することにするかもしれない。)フルケは、それらを「共生」という関係で捉えることの問題性を述べているが、私見では、これらの概念自体が問題であり、可能な限り使用を避けるのが妥当である。それに代わって、ブルーノ・ラトゥールのように「個々の行為の後を追い、それを記述していく」ことがまずなされるべきだと考えている。それを補助する、「誤った地図」として使用することは許されないとまでは言わない、というのが実際の私の立場である。(ただし、「ツァラトゥストラはこう言っている?」のブログなどでは分かりやすさのため通俗的に語ることはありうる。)

Idealtypusとラトゥール的な捉え方の折り合いをどうつけるべきか、というのは、最近の私にとっての理論的な関心を引く問題の一つである。基本的にそれに対する自分なりの答はほぼ見えているのだが、それをまだまとめて書いたことがないので、一度は書くべきだと思っている。
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