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アヴェスターにはこう書いている?
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I.ウォーラーステイン 『入門 世界システム分析』(その3)

 1968年の世界革命は、世界システムの作用について長く存在してきた怒りと反システム的運動が世界を変革する能力についての失望とが重なり合って導かれたものである。1968年の爆発には、二つの主題が含まれており、その二つの主題は、地域によって文脈こそ違え、ほとんどあらゆる場所で反復された。ひとつは、アメリカ合衆国の覇権(ヘゲモニー)的権力の拒絶である。しかも、これは同時に、アメリカ合衆国の反対勢力とされていたソ連が、実際には、アメリカ合衆国が打ち立てた世界秩序に共謀しているという不満をともなっていた。もうひとつは、伝統的な反システム的運動が、権力についた後、その約束を果たしていないというものであった。これら二つの不満が結びついて――実に広い範囲で繰り返された――ひとつの文化的激震を構成したのである。(p.201)



この記述を読んだとき、1968年というより、1990年代から2000年代の日本の状況であるかのように思われた。これらの考え方は、現在の日本では根強いものと言えるだろう。アメリカに対するスタンスは、親米的と反米的にかなり分かれるだろうが、「伝統的な反システム的運動≒旧左翼」に対する不満は常識になってしまっており、その根拠が問い直されること自体がほとんどなくなっているように見える。

ウォーラーステインの図式で言えば、このときに起こったジオカルチャーの変化が日本の地域にも表れているということになろうか。




そこで、多数者の自由と少数者の自由とを区別することが有益かもしれない。多数者の自由とは、集団的な政治的意思決定が、多数者――それは実質的に意志決定過程を支配している可能性のある少数の集団に対立するものとして捉えられる――の選好を実際に反映している程度において測られる。・・・(中略)・・・
 少数者の自由は、これとはまったく別の問題である。それは、あらゆる個人ないしは集団が、多数者がその選好を他に押しつけることはいかなるかたちでも正当化されえないあらゆる領域において、自らの選好を追求する権利を持つということを意味している。(p.211-212)



ウォーラーステインが述べている「多数者の自由」と「少数者の自由」という用語が適当かどうかには疑義があるが、言おうとしていることは単純である。

多数者の自由は(私の用語法で言えば)「デモクラシーが民主的に作動すること」であり、少数者の自由は「各個人には、他者を侵害する権利はなく、自らも他者から侵害されない権利があり、そうした範囲内で自発的な選択をする権利がある」ということに近い。

ちなみに、私はデモクラシーは制度を指す用語として使用し、民主主義は理念をさす用語として使用している。

ここでも現在の日本について言えば、「多数者の自由」は大いに侵害され、形骸化してしまっている。その結果、「少数者の自由」が次々と削り取られている。まったく「哀れな国」というべきだろう。




 平等は、しばしば、自由の概念と対立する概念として提示される。物的な財へのアクセスの相対的平等のことを言う場合は、特にそうである。しかし実際には、それは、同じ一枚のコインの表裏である。・・・(中略)・・・。概念としての平等を強調することは、多数者がその自由を実現するのに必要な立場を指し示し、少数者の自由を鼓舞することである。(p.213)



基本的に正しい見解といってよい。そして、あまりこのことには気づかれていない。例えば、安倍首相などが「格差が固定しない機会の平等」が大事だと言いながら、「結果の平等な社会にはしない」という趣旨のことをしばしば言う。

これは上記の引用の用語になおせば、安倍は概ね次のように言っていることになろう。つまり、自由は尊重するが平等は尊重しない、と。しかし、そのようなことはほとんど不可能である。むしろ、自由と平等、また、機会の平等と結果の平等には、深い相関関係があり、どちらか一方だけを実現することは事実上、不可能であろう。
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