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アヴェスターにはこう書いている?
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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O・シュタマー 編 『ウェーバーと現代社会学 下』
ラインハルト・ベンディックスによる発言より。

ところで、よく考えておかなければならないことは、ドイツ国内ではくりかえし専ら政治家マックス・ウェーバーが語られるのですが、たとえばインドへ研究旅行しました折などには、いろいろなインドの学者が私に向かってインドに関するウェーバーの宗教社会学研究のことを驚嘆しながら語っていた、ということであります、もしもこういった事態が将来にもちこまれますと、ドイツではウェーバーの論稿は政治的側面からのみ見られるだけだ(現在でも、このようになんでも政治的に見るという傾向があるために、時折彼の科学的理念はもはやさっさとどこかへ片づけられています)とされ、科学的著作の継受は外国にまかされたままになっているという仕儀になりかねないのです。(p.57)


確かにドイツでは政治的な著作についての議論がアメリカや日本よりも盛んだったことは確かであり、これらの地域の方が方法論や宗教社会学などに関する業績に対して相対的に関心が強い傾向が続いたということは、この学会があった時期以後にも言えそうである。

もしかすると、この学会から50年ほど経過した現在における『マックス・ヴェーバー全集』の編纂にあたっても、今一つちぐはぐな対応のまま編纂が進められている面があるとすれば、それは学問的な側面への関心が相対的にドイツでは日米などより低かったことも反映しているのかもしれない。



つまり、前述の箇所で、ウェーバーは心理的刺激(アンライツ)についてだけ述べるべきだったのですけれども、実際には信仰に含まれている心理的起動力のことを述べておりますために、問題の理解にとって興味深い一つの誤りを犯しているのです。と申しますのは、信仰に含まれている刺激がどの程度まで起動力となりうるものか、もしくは、どの程度まで起動力となっているのかということが、ウェーバーの研究の決定的な問題にほかならないからです。……(中略)……。
 ……(中略)……。ウェーバーが繰り返し強調しているところによりますと、単純化と誇張とを援用する時にのみ、無限に多様な歴史的世界とこの世界を特色づける流動的な変化とを概念的に把握できるのです。プロテスタンティズム=論文においてウェーバーがとくに述べておりますのは、彼の論述がある種の神学的な根本思想を体系化しているから、厳密に原典にだけのっとってものされたものよりも、論理的には一層高度の整合性をもちうるであろうということです。……(中略)……。他方、この際閑却してはならないことは、つぎのことでありましょう。つまり、分析を行なう際にぜひとも必要だということでこういった単純化と誇張を行ないますと、理念と行為にいろいろな意味があることが捨象され、さらには、概念的に現象を捉えることが人間の関心事を理解するにあたって有効性をもつかどうか疑わしいものとなる、ということです。上に挙げた問題にあてはめて考えてみますと、このことの意味はこうです。つまり、ウェーバーにとって仮定されたある種の神学上の教義のもつ働きが全面的な妥当性をもつのは、自分の信仰にまったく忠実な人――こういう人にとっては、カルヴァン派の教義学の論理的にねられた終局的な帰結というものが心理的に決定的な意味をもっています――を考えてみるときだけである、ということです。たしかに、ウェーバーは、たいていの人間がこういった意味での宗教的な達人ではないことを強調してはおりましたが、ウェーバーは――私の見るところでは―― 一義的な概念構成と多義的な人間存在との間にここで私が述べた関係があることを明らかにしてくれてはいないのです。(p.58-59)


ウェーバーのプロテスタンティズム研究を例として理念型の構成に対して批判しているが、適切な批判であると思われる。

私の理解に基づいて、上記のベンディックスの批判の内容を敷衍すると以下のようになる。すなわち、ウェーバーが現実を一面的に上昇させたり捨象したりして構成した理念型を使って現実を認識しようとする場合、改めて現実の因果関係などを反映しているかどうかの検証をしなければならないが、ウェーバーはそうした検証をしていないために、現実を誤って認識してしまっている、ということになる。



とくに、このことは、ウェーバーの政治上の予測についていえることでして、といいますのも、ウェーバーの政治上の予測が理念型の映像にもとづいてつくられているからであります。理念型の映像というのは、論理的妥当性があると主張しうるだけで、歴史的妥当性があるとはいえないものだからであります。(p.63)


上記の批判と同じことだが適切な批判である。理念型を構成したことによって描き出されたイメージは、歴史的な現実を捉えたものとして主張することは(検証を経て妥当性が確証されるまでは)できない性格のものである。

これに続いてベンディックスは、ウェーバーによる「全般的な官僚制化の進行」というビジョンも、自らが構成した官僚制の理念型に基づいて予測されていることを指摘しているが、この点はもう少し細かく確認しなければ妥当かどうか私にはわからない。



クリスティアン・ジークリストの報告より。

ウェーバーはその苗字からしても織物師であったし、それのみか、近い先祖をたずねると、以前に排斥されていた職業集団――彼の祖父は亜麻布商人であった――と関係が深かったのであって、こういう事はウェーバーの発言の成立と連関のある、外的な事情ではある。(p.285)


ウェーバーが提起した「パーリア民族」の概念に関しての指摘。



 私には、ウェーバーの概念構成は、その構成にあたって少ないメルクマールだけに局限されることなく、概念が曖昧なままにおかれているというところに、欠点があるように思える。曖昧だというのは、ウェーバーが、概念を用いる際に、同じメルクマールを、場合によって、必要だといったり、無くともよいといったりしていることをいうのである。職業的専業化と儀礼的不浄とが、このように使われることもあり、使われないこともあるメルクマールである。……(中略)……。しかし、こんな風にメルクマールを用いたり用いなかったりしてもよいとすると、具体的な場合には常に、概念と現実との不一致が指摘され、つまり、理念型が現実によって「充実」されることがないことになるのだから、研究上の便宜主義的な戦術が生まれることもありうるのだ。(p.286-287)


ウェーバーの「パーリア民族」の理念型に対する批判。この理念型をインドに適用する場合と古代ユダヤ教に適用される場合で概念構成が異なっていることについて指摘されているものと思われる。



とりわけ、理念型に一致する、つまり極端な変異を示すことのない、場合をのみ追求し、それとは反対の場合を軽視するという傾向には、問題がある。(p.287)


理念型を用いた研究には一般にこうした傾向になりがちであると思われるため、この指摘は理念型という方法自体に備わる問題点として認識されるべきだと思われる。



 支配に反抗的な心情の投射が、支配者から少数のパーリアへ「移動」する、近代における一つの例は、産業社会における反ユダヤ主義である。抑圧されている社会層にとって、水平化の行動を実行することが安全弁となるが、反ユダヤ主義は、階級分化とそれに伴い要求される社会的安定とを破壊することなしに、この機能を果すのである。(p.298)


なるほど。



社会的保障のための整備されたシステムが欠けていると、パーリア集団の発生ないし永続化を促進する(アメリカ合衆国)。(p.301)


アメリカにおいて黒人差別が他国よりも根強く残ってきた歴史を説明する一つの要因と思われる。



 きわめて一般的に、マージナルな集団に対する排斥思想と迫害行為を刺激する魔術的な観念群が克服された時に、治療を効果的に始めることができる。……(中略)……。
 このような観念群を分析的に解明することによって、社会科学は世界の魔術からの解放に寄与する。(p.302)


現代の日本における生活保護バッシングや中国・韓国に対する排外主義的な言説などについても、確かに、「魔術的な観念群」即ち、「非合理的な観念群」があることに気付かされる。対象者に対する現実的な認識ではなく、虚像を注入された者が、これらの虚像をヘイト言説の中で再生産することで、排外主義的な言説や行為が増幅されている。こうした「魔術的な観念群」を分析的及び実証的に批判することは、確かに社会科学が果たすべき役割であろう。(ただ、誰もが社会科学の成果を理解できるわけではないという点には留保が必要にはなるが、政策立案に関わる集団やこうしたヘイト言説に対して対抗的な市民運動をエンパワメントしていくことにはなるだろう。)

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