アヴェスターにはこう書いている?
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寺内順子 『検証!国保都道府県単位化問題 統一国保は市町村自治の否定』

 保険者が都道府県と市町村になったのですが、実質的には国保の様々な実務(賦課、徴収、給付や健診等)は市町村が行います。しかし、市町村のみの単独運営であったこれまでの国保との最大の違いは都道府県が国保財政をにぎるということで、これにより都道府県が大きな権限をもつこととなります。
 ……(中略)……。つまり、財政を握ることによって医療費適正化、医療費の削減をやろうとしているのです。(p.14-15)


国(中央政府)がこの制度改正(国保の都道府県単位化)でやろうとしていることは、医療費削減による財政支出の削減にあるというのは、核心的なポイントを突いていると思われる。なお、もう一つ加えると、中央政府は財政責任を放棄し、都道府県に財政責任を転嫁することにより、医療費削減による歳出削減が思うように進まない場合でも中央政府の財政が悪化しないようにするということに、この制度改正の狙いはあると考えるべきだろう。



 ただし、このガイドライン及び都道府県国保運営方針そのものも、その扱いは、あくまでも「技術的助言」であるということが冒頭明記されています。
 技術的助言とは、地方自治法第245条の4第1項等の規定に基づき、地方公共団体の事務に関し、地方公共団体に対する助言として客観的に妥当性のある行為を行い、又は措置を実施するように促したり、又はそれを実施するために必要な事項を示すものです(「総務省における今後の通知・通達の取り扱い」平成26年7月12日付)。
 ですから、ここに書かれている内容は「法的拘束力」を持つものではなく、地方公共団体の自主性と自立性に配慮されたものでなければならないのです。(p.21-22)


都道府県化(都道府県が保険者となり、市町村はそこから受託して窓口のみを置く形態)ではなく、都道府県単位化となったことによるある種の齟齬を解消する際に「運営方針」が活用されることが予想される。例えば、市町村ごとの判断で行っている給付や減免などの判断基準について都道府県内で統一すべきだと都道府県や域内の市町村が考えた場合、運営方針にその統一基準を明記したりして対応することになるだろう。

ここで「法的拘束力」がないという認識が重要になる。国保運営方針は基本的には(域内の全市町村が同意しないかぎり)あるひとつの判断基準で都道府県内の取り扱いを統一するように指示することはできない代物であり、内容自体も市町村の自主性・自立性への配慮が必要である。こうすることにより、仮に運営方針にある基準が示されたとしても、あくまでも「技術的助言」に過ぎず、個々の市町村では実状にそぐわないと判断される場合には、市町村は当該基準とは異なる判断を下すことができるということが明確となる。

しかし、本書のこの箇所で指摘されていないのは、保険料算定や調整交付金のような仕組みによる財政面からの都道府県から市町村への統制が可能であり、この拘束力は上記の運営方針以上に強いものになる可能性が高いという点である。市町村は財政を握られている以上、運営方針と異なる基準で運営しようとしても、財政上の措置を運営方針と紐付けされてしまえば、実質的には運営方針に従わざるを得なくなる。新制度の運用開始後は、こうしたことがどの程度行われるかに注視が必要であるように思われる。



 地域の実態とかけはなれた標準化、統一化は被保険者にとってはデメリットでしかありません。(p.64)


重要な指摘。中央政府のナショナル・ミニマム放棄と結びついた医療費削減のための制度となっている以上、都道府県が標準化や統一化をする内容の(すべてではないにせよ)多くは医療費を削減する方向に向かうことが予想されるからである。

望ましい改革の方向は、現在進められているようなものではなく、中央政府が保険者となって財政を保障するような方向性であり、保険としての側面の強調ではなく、社会保障としての側面を強調していくことである。なお、その分の財源は累進的な課税によって賄うべきだと考えている。

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