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山本秀行 『ナチズムの時代』

ヴァイマル共和国の政党は、階級や宗教ごとに陣営化され、個別利害の代弁者の役割をはたしてきた。ナチ党の躍進の背景には、こうした政党政治が、1928年からの農業恐慌や、ついで波及した世界恐慌のなかでゆきづまり、市民層を中心に、既成の政党離れが進行したことがあげられる。(p.22)



小泉政権時代の自民党の躍進と通じるものがある。また、先日の「そのまんま東」東国原・宮崎県知事の誕生とも通じる。「既成の政党離れ」が既成の政党政治への不満・不信により起きているとすれば、それは現代の日本では「自民党をぶっこわす」と言った小泉への支持や、東国原氏のような「しがらみのなさ」が政党支持層からも支持されたことに表れている。

こうした政治への不満・不信が蔓延しているときこそ、「ナチ党の躍進」のような現象が最も起きやすい状況であると思われる。




 そもそもプロイセン保健局が断種法案の作成に乗り出したのも、世界恐慌で財政が破綻した地方の自治体から、福祉の負担を軽くするために、断種法制定の圧力がかかったからである。
 分配や削減、負担やコストの問題は、不況の時期や、経済成長が望めない時代に、むき出しにされ、先鋭化する。ナチ断種法は、ナチスの意図は別として、こうした世界経済の収縮期、低成長期の問題として、考えることができるかもしれない。(p.41-42)



現代の日本はここまでひどい状況ではないが、中央政府の政策は確実にこれに近づいている。障害者自立支援法などの福祉の切り詰め政策や医療保険の負担の増大などの形で表れている。これは日本の経済が低成長であることと関連しているが、ナチの時代ほど酷くなっていないのは、世界経済全体としてはそれなりの経済成長がなされており、そのために本来ならば、もっと深刻な不況に陥るはずの日本の状況が救われている面がある。今後もこうした上昇局面が続く保障はないとすれば、できるだけ早期に社会福祉の体制を充実させうる状況にすることが重要であると思われる。




 ヒトラー崇拝は、ナチスが政権をとる前からみられたが、これが国民に定着するきっかけとなったのが、1934年6月のレーム事件であった。この事件は、ヒトラーが、ナチ革命の継続を唱えるレームら突撃隊の幹部と政敵を粛清したものであった。非合法な大量殺人にもかかわらず、国民はヒトラーの断固たる措置を歓迎し、ヒトラーの威信はかえって高まっている。
 ナチ組織の腐敗、幹部の目にあまる増長ぶりに、国民は、そうした幹部をヒトラーが押さえつけてくれることを期待したのである。いってみればナチ党への不満が、逆にヒトラーの人気を押し上げているのである。(p.47)



これは非常に納得した箇所である。小泉政権時代に小泉首相が人気があったのと同じ構図だからである。逆に安倍政権で安倍首相が人気がないのもこの観点から見ると分かりやすい。

しかし、現状がこのようなものだとすれば、日本でも第二のヒトラーが誕生する可能性がある。その下地があるということである。日本の政党政治がある程度の信頼を回復できるかどうか、これが一つの問題なのかも知れない。

個人的には、差し当たり一度、民主党と社民党、国民新党などの連立政権が誕生した後、大規模な政界再編がなされるべきだと考える。その前に選挙制度を比例代表が中心となるように改めた上で、であるが。

今の日本の政治状況においては、二大政党制にはメリットはない。多元主義的な政治によって、それぞれの勢力の主張がそこそこに実現される、どのような意見もそこそこに政治に反映しているという実感が持てることが、差し当たり重要ではなかろうか




 ナチズムの時代は、正常化がキーワードとなった。ナチスも正常化への訴えを武器としていた。(p.52)



これはイタリアのファシズムとも共通する。そして、現在の日本でも一部の勢力、特に改憲を望む勢力はこうした言葉を用いることがよくある。

『ファシズムと文化』へのコメントでも述べたとおり。




 ナチズムは、男と女の違いを強調し、女性の領分は家庭にあるというイデオロギーを振りまいた。(p.61)



現在の日本の極右勢力もほとんど同じイデオロギーを信奉している。日本会議などの右翼団体がそうだが、安倍晋三もこれと同じ発想の持ち主である。

ナチズムの時代は、現代の日本と二重写しになっている。少なくとも、あまりにも重なりが大きい部分・勢力が存在する。このことに対して無神経であってはならないであろう。
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