アヴェスターにはこう書いている?
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トマ・ピケティ 『トマ・ピケティの新・資本論』(その2)

 ここで忘れてはならないのは、企業が払う税金というものは存在しないことだ。どんな税も、払うのは必ず個人である。残念ながら現世で税金を払えるのは、生身の人間しかいない。なるほど形の上では企業に納税義務があり、小切手を国税庁に送ることになっている。しかし最終的に払うのは個人だ――つまり、企業は払った分を必ず取り返す従業員から(給与を減らす)、株主から(配当を減らす、株主資本を積み上げない)、消費者から(販売価格を引き上げる)、取り戻すのである。(p.187)


法人に対する課税で忘れられがちなポイント。

この点に着目すると、最近20年ほどの間、法人税が年々引き下げられてきたが、その分は、従業員に給与を上げる、株主に配当を増やす、株主資本を積み上げる、消費者に価格を下げる、といった仕方で還元されていることになる。株主や経営者という少数の持てる者に利益を還元し、従業員や消費者にはあまり還元されていないことを問題視すべきではないか。そして、政府は法人税を下げた分、消費税を増税することで税収の穴埋めをしてきたのであり、これは株主や経営者という金持ちが潤った分を一般の消費者(上のカテゴリーで言えば従業員ともほぼ重なる)に負担を負わせてきたことを意味する。



 悲しいかな、税というゲームは、弱い者がまず勝てないようにできている。(p.188)


確かに。弱者が身を守るためには、せめて知識の力が必要。



 無策で選挙に勝つことは可能か――もちろんである。選挙の歴史をひもとくと、そうした例は枚挙にいとまがない。大衆を熱狂させる公約のおかげではなく、単に敵の失敗や対立候補に対する嫌悪感から勝利を収めた政党はいくらでもある。問題は、有権者がいずれその代償を払わねばならないことだ。(p.194)


策がある政党が勝った場合でも、その内容が酷い場合、有権者は結局代償を払う必要が生じてしまう。安倍政権の成立(第一次も第二次も)はまさにこれに該当する。



 ご存知のとおり、ヨーロッパ最大の銀行BNPパリバが、2009年度に80億ユーロの利益を計上した。これまで最高だった2007年度を抜いて史上最高益だという。それがどうした、という読者もおられるかもしれない。銀行が倒産するより儲かっているほうがいいだろう、と。たしかに。
 だが、この巨額の利益がどこから来たのかを探ってみても悪くはあるまい。ヨーロッパの上位10行の2009年度の利益を合計すると、500億ユーロ近くになる。ここにアメリカの上位10行を加えると、1000億ユーロだ。欧米いずれも2009年は不況だったというのに、なぜこれほどの利益を上げられたのだろうか。理由ははっきりしている。金融危機の際に、中央銀行は超低金利で民間銀行に融資した。それを民間銀行はずっと高い金利で貸した、ということだ。貸した相手と言えば――個人、企業、そして国である。(p.205-206)


個人、企業、そして政府から銀行が金を巻き上げている。中央銀行の金融政策がそれを可能にしている。



税のダンピングに基づく成長戦略は失敗するに決まっているし、隣国にとっても有害だからである。重要なのはEUが主導権を握り、金融安定化と引き換えに、不当に低い税率を打ち切らせることだ。……(中略)……。
 ヨーロッパではどの国でも、政府税収と社会保険料収入がGDPの30~40%に達しており、これでインフラ整備や公共サービス(学校、病院など)、社会保障(失業保険、年金など)をまかなっている。法人税を12.5%という低水準に設定すると、こうした社会的な事業が回らなくなる労働所得に重税をかければ話は別だが、それは正当でも効率的でもないし、失業者を増やすだけだ。
 はっきり言おう。隣国との取引でゆたかになった国が、次には隣国の課税ベースを横取りするとしたら、これは市場経済や自由主義の原則とは何の関係もない。ただの泥棒である。そして盗まれた当人が無条件で泥棒に金を貸してやるとしたら、これは愚行である。
 さらに悪いことに、ダンピングは、それをする当の小国にとっても有害である。要するに軍拡競争と同じで、負の連鎖に陥ってしまう。アイルランドが低い法人税を維持するなら、ポーランドも、エストニアも……ということになる。このばかげたゼロサムゲームに終止符を打てるのは、EUしかいない。(p.234-236)


同意見である。課税ベースの奪い合いは自由主義の原則とは関係がなく、泥棒だという評価は興味深い。

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