アヴェスターにはこう書いている?
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ダン・アリエリー 『お金と感情と意思決定の白熱教室 楽しい行動経済学』

だから、問題行動をひとつひとつなくしていくことが大切だ。なぜなら一人の問題行動の影響は、それだけにとどまらず、「皆そうしているから大丈夫だ」とほかの人に思わせてしまう危険性があるからだ。一人の良くない行動が連鎖的にほかの人たちに影響を与え、それが社会にとって当たり前のことになってしまう恐れがある。だからそういう行動に対しては、はっきりと批判的な態度をとり、容赦しないことが大切だ。そうしないと、やがてひとつひとつの問題に対処するよりもはるかに高いコストがかかるようになる。(p.65-66)


これはいわゆる「割れ窓理論」などで言われている結論と同じことになる。「割れ窓理論」それ自体は実証されていないという反論もあるようだが、少なくとも、本書で示された実験結果から導かれる帰結は同じところに行きついているように思われる。

このような問題行動の連鎖は、ルーマンの社会システム理論によっても理解しやすい領域の一つであるように思われる。すなわち、ある一人の問題行動が他の人々に認識される際に「そのような行動をとっても批判(非難)を受けない」ものとして理解され、他の人々がそれを規範として動き始めることで、社会の新たな規範が形成されてしまう、という社会の変動。

さらに言うと、高史明の『レイシズムを解剖する』という本について、そう遠くないうちにこのブログにもアップすることになると思うが、この本で、ネット上(ツイッター上)の在日コリアンに対するレイシズムを広めようとする言説が、少数の差別主義的な煽動者によって発せられていることが明らかにされており、この少数者をSNSの運営者が発言を制限すれば、かなりの差別発言をネット上から減らすことができ、そこからの間接的な影響も軽減できることが示唆されている。煽動者が差別発言をしても批判されない(制裁を受けない)ことによって、「皆そうしているから大丈夫だ」と思わせてしまうことになっており、それが差別発言を流通させるのに大きな意味を持ってしまっているという現状は、上記で指摘されているように、既に「一つ一つの問題に対処するよりもはるかに高いコストがかかる」段階に入ってしまっているように思われる。



優秀なスタッフは言われなくてもやるべきことを心得ている。君たちが一流の歌手だとして、報酬が減らされたからといって、わざと下手に歌うだろうか?一流の歌手なら、おのずと上手く歌うだろう。むしろキーを外して歌う方が面倒だ。コールセンターのスタッフの中には電話のマナーが良かったり、会話が上手な人もいるが、今以上の成果を期待するのは難しい。業績が高くない人にこそ、ボーナスの効果は大きいんだ。(p.176)


なるほど。あまりこのような道筋で考えたことがなかったが、言われてみればその通りだ。金銭がパフォーマンスを高める動機としては機能しにくいものであることは理解していたが、パフォーマンスの質が高ければ高いほど、お金などでは動機や技能を高めることには役立ちにくい。この辺りまではよく考えていたが、ここから一歩先に進めば、むしろ、質が低い方が効果的というところまで導くことができるわけだ。(アリエリーの行動経済学の強みは実験によってこうしたことがある程度確かめられた上で指摘している点である。)

成果主義的な考え方によれば、成果が上がっている人にボーナスを多く払い、そうでない人には低く払うべきだということになるが、これは上記のような現実から見ると明らかに倒錯したものであることが分かる。



面白いことに、人は何かに労力を注げば注ぐほど、それを高く自己評価するんだ。最も端的な例はもちろん、子供だ。
 ……(中略)……。子育ては困難で手間がかかり、説明書だってないからだ。子供への愛情の大半は、実は自分への愛情なんだが、このふたつは区別がつけ難いので、親は子供を溺愛するんだ。(p.192-193)


なるほど。面白い。子供への愛情がかなりの程度、親の自己愛と区別ができないことがあるというのはそのとおりであるように思われる。

思うに、この区別がきちんとできていなければいないほど、育て方はよくないものになる傾向にあるように思われる。


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